中国に対する政府開発援助(ODA)は要らない            2011.3.3   



 3/1 前原外務大臣が中国に対するODAを減額するよう事務当局に指示していたことが分かり、GDPが世界第二位となった経済大国に対して未だにODAを供与し続けている政府の姿勢の妥当性がにわかに論議の的になっているようです。新聞報道などによると中国に対する円借款は08年度までに打ち切られ、ODAの総額は激減したものの09年度も人材育成支援や地方自治体(雲南などの少数民族地域等)への補助を中心とする無償資金協力で約13億円、石炭火力発電共同開発などの技術協力に約32億円の供与が続けられているという。


 外務省のホームページによると、ODAなどによる国際協力の目的は「日本の国益を実現」する。即ち、「存在感、影響力の増大によって尊敬される日本を実現する」ことにあると説明されています。ODAがこのような意図の下に行われるというのであれば、私は中国に対するODA供与には断固反対します。即刻、停止すべきです。


 外務省が主唱するODAの目的は正論だと思います。しかし、中国を相手にODA供与を通じて日本の国益を実現するだけの外交力を日本政府や外務省が持っているかと問えば、答えは否です。尖閣問題ではレアメタルの輸出を停止された上、フジタの社員まで人質に捕られ、狼狽した政府は外務省ルートではなく仙谷由人前官房長官の全共闘時代(緑ヘルメットのフロント)の仲間の篠原令氏に仲介を頼んで交渉役の細野豪志前幹事長代理を中国政府に接触させるという驚くべき方法をとりました。何とか人質解放に至ったものの、その見返りに中国政府に何を約束したのかは謎のままです。沖縄返還で佐藤栄作元首相が米国と結んだ密約などに比べたら、はるかに陳腐で低俗な内容の密約があったことは容易に想像できます。このように行き当たりばったりで無節操きわまりない貧弱な外交力しか持たない政府や外務省に、ODAによる対中外交を通じた国益の実現などできるはずがありません。ODAの資金を溝に捨てることになります。


 中国政府は総額で50億円に満たない日本の対中ODAの継続に強いこだわりを持っているようです。丹羽中国大使の「ODAは継続すべき」という発言も中国側の意を受けたものと思われます。中国政府は、たとえ僅かな金額であっても中国側の要請に基づいて日本がODA供与に応じるということは、日本政府が中国政府の意に従ったことを示すと考えているように思えます。近隣諸国に朝貢を求め宗主国のように振舞った王朝時代と同じ傲慢な中国の姿が私には見て取れます。


 政情が混沌とするリビアに中国人が4万人も残留しているという事実に、いま世界が驚愕していますが、中国はその経済力、軍事力、そして人口力を背景に世界中で資源外交、援助外交を展開してきています。その手法や行動は下品で悪辣です。スーダンでは南部の石油利権と引き換えにスーダン政府に武器と資金援助を行ってダルフールでの虐殺に手を貸し、ナイジェリアでは政情不安で手を引いた欧米諸国を尻目に独裁政権に援助攻勢をかけて巨大な石油利権を手に入れました。欧米諸国や日本による透明性が担保できる援助とは全く異なり、独裁政権の懐を潤すことを承知の上での援助を臆面もなく続けています。その受益国であるアフリカ諸国を動員して日本の国連安全保障理事国入りを阻止したのは記憶に新しいところです。国際経済会議では自国の利益を守るために自らの主張を譲らず、その横暴ぶりはアメリカやEUが制御できる範囲をとうに逸脱しています。さらにはソフトウェア製品のソースコード開示などの強制措置は、インドなど他の新興経済国家にも伝染して、国際協調を無視した中国の形振りかまわない手法が、いまや新興経済国家の行動の国際スタンダードになりつつあります。このような中国にODAを供与することは、国際社会における中国の行動を日本が是認しているかのような誤ったメッセージを世界に送ることになります。


 仙谷由人前官房長官は、資金協力から、新幹線や石炭火力発電の共同開発などの技術協力に重点を移すべきとの考えを示し、ODA継続へのこだわりを見せていると伝えられています。技術協力の果てがどうなるかは、川崎重工が中国に提供した日本のE2系新幹線技術の末路をみれば明らかです。仙谷氏のODA継続へのこだわりを耳にすると、尖閣事件で仙谷氏が中国に約束した見返りには、こんなものまで含まれていたのか・・? と勘ぐりたくなりますね。




                     トップページに戻る






  
  







































inserted by FC2 system