菅首相は、どこまで無能なのか?(菅政権と東日本大震災)
                                  
   2011.4.4
 
 



  菅首相は4月2日午前、被災地の陸前高田市で避難所となっている米崎小学校体育館で被災者を見舞った。被災者から厳しい批判の声が出るのを恐れたためか、菅首相は取材陣を全てシャットアウトし、被災住民との対話の様子をビデオカメラに収めることを許さなかった。対話の相手が自制能力に優れた東北人の皆さんだったのが幸いして予期したほどの批判に晒されなかった安堵感からか、テレビ画面で眺める避難所から出てきた菅首相は驚くほど上機嫌であった。そして記者団に「ホタテやカキの養殖をどうやったら再建できるのか、国としても精いっぱい支援していきたい(4/2付 読売新聞)」と語った。

 私は、市民運動家出身の菅首相があの避難所の状況を見たら「こんな過酷な環境に被災者を置いておくわけにはいかない・・」というニュアンスの言葉を開口一番、記者団に発するだろうと予想していたが、全く違っていた。避難所で生活する被災者をいたわる言葉は、少なくとも記者団には向けられなかった。避難所訪問は、被災者の窮状を自らの目で確認して、政策に生かすためではなかったのか? これでは、ヘリで福島に舞い降りた震災の翌日と同じパフォーマンスだと思われてしかたがない。知らぬ間に菅劇場の特出し公演の共演者にさせられてしまった被災者は、本当に気の毒である。

 その前日の4月1日、菅首相は「震災発生後3週間」の記者会見を行った。質問は報道各社の代表者によるものだったことから、質問内容は事前に首相側に通知されていたものと推測されるが、産経新聞電子版に掲載された菅首相の回答の浅薄さ、軽薄さは驚愕すべきものだった。

(1)    まず原発事故に関して「いつになれば事態が落ち着くと思っているのか、目処や目標も聞かせてほしい」という質問に対して、菅首相は「時期的な目処については今の時点で明確にいうことはまだできない状況にある」と答えた。記者は「明確にいう」ことなど期待しておらず、半年なのか、1年か、5年か、それ以上か? くらいの感覚で訊いているはずだが首相は答えない。何時収束するかも知らされずに不安の中で避難所生活を強いられている人たちの心情を蔑ろにするような許しがたい無責任な発言である。事故対策の本部長の言葉とは到底思えない。

(2)    「有識者による復興構想会議とはどのようなものか? 復興担当相の具体的人選は? 中期的復興計画の作成の目処は時期的にいつ頃か? 復興財源には、消費税や所得税の増税も検討するのか?」の質問に対しては、「復興構想会議については、地元関係者、有識者を含めてしっかりと議論をいただきたい・・どのような形がふさわしいかを・・検討してまいりたい・・・そういった中で、復興担当相というものを置く、置かない・・これも自ずから決まってくる・・・必要な財源についても・・構想会議、あるいは場合によっては与野党協議の中で議論を進め、合意形成を図っていきたい」と答えている。要するに「私は何も考えていないし、考える能力もありませんから・・、どんな形態にするかは決めていませんが復興構想会議という名称の組織を作って、そこにマル投げします」ということだ。

(3)    何も答えない菅首相に困った別の記者がもう一度訊く。「復興の財源について、首相は予算の組替えだけでは足りないといったが、赤字国債を視野に入れているのか? 増税を視野に入れているのか? それとも両方なのか? 首相の考えは?」 菅首相が答える。「復興構想会議の重要なテーマであると同時に、与野党の協力、あるいは合意がなければ、予算なり関連法案を成立させることもできない。そういう中で、議論をし合意形成を図りたい」 ここでも「議論します・・」としか答えない。スッカラ菅とこの男を表現する人がいるようだが、まさに言い当てている。首相の座にあるこの男の頭の中は、カラッポなのだ。疲れているから・・と同情したいところかも知れないが「議論して欲しい・・」は頭に何もないときのこの男の常用語なのだ。予算委員会などの質疑でもこの言葉を繰り返してきた。

(4)    業を煮やした別の記者が、さらに訊く。「首相の考えはどうなのか?」 首相が答える。「・・まずは、いろんな意見を聞くというのが今の私の姿勢だ・・」 ここまで来ると漫才や落語の領域をはるかに飛び越えてしまっている。この男も宇宙人なのかも知れない。

(5)    「東電に対して日本政府の公的資金投入や債務保証の考えはあるのか?」に対しては「東電は、・・基本的には民間事業者として頑張っていただきたい」と答え、この記者会見の質疑応答で初めて自分の考えらしいものを述べた。ところが菅首相は、この前日に来日したサルコジ大統領との会談後の共同記者会見では「事故が収束した中で、今後の電力会社のあり方も、存続の可能性も含めて議論が必要になる」と述べて、東電の国有化も匂わせていたのだ。方向性らしきものを打ち出してはみても自信がなく、翌日には後退や方向転換する。無能宰相にはよくあることだ。

(6)    「屋内退避が解除されない理由は?」と問うと、「原子力委員会・・地方自治体とも、いろいろ意見交換をしている」 と質問に全く答えない。

(7)    「生活再建支援法の見直しや拡充はあるか?」に対しては「・・十分な支援ができるように努力したい」 またしても質問に答えない。

(8)    「今年度予算を一部凍結と言ったが、一部の政策で撤回や修正する考えはないか?」に対しては「子ども手当て・・の案は・・取り下げた。・・今後・・与野党の間でしっかり議論して合意形成を図っていきたい」 得意技の「議論して・・」で煙に巻く。

(9)    「脱原発の方向を考えているのか?」の質問には、「・・検証からスタートするということだ」と答える。カチンときたのか別の記者が「首相は、まずは検証というが、原発を減らしていく方向性は、首相はもっていないのか?」と訊くと、「・・すべては検証するところから始っていくと。このように考えている」 質問に答えられない。極めて低俗な禅問答。

  日本が未曾有の国難に直面しているこの状況下においてさえ、総理大臣の頭の中には、この日本をどうするかの考えがカケラも無い。

 
 NHKテレビ(4/2 22:00〜 NHKスペシャル)は、患者で溢れかえった被災地の病院のライフラインが未だ途絶し薬剤や医療物資も決定的に不足した状況の中で、医師、看護師、薬剤師などの医療スタッフは疲れ果て、持病を抱えた高齢者などが次々と亡くなっていく惨状を伝える。この状況は地方自治体の手に負える範囲を超えている。「政府が思いきった緊急の対策を打たない限りこの状況は改善できない・・」とナレーションが流れる。


 しかし、震災発生以来、この菅政権が被災地や被災者の救援のために政府として組織的に動いたことは一度たりともない。私たちは「えーっ・・まあ・・ 十分に議論して欲しい」としか言えないこの無能総理大臣に命をあずけなければならないのです。


 



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