初めてのナイアガラ(シャトルバスでナイアガラ・オン・ザ・レイクへ) 2006.6.22  


<イントロ>

 「ナイアガラ」は、以前からN子(配偶者です)が、一度は行きたいともらしていた観光地です。04年の秋と05年春の上海と香港の旅は、街の雑踏・塵・汚水・洗濯物、微妙に違和感のある中華料理、トイレ休憩の度に繰り返されるセールス・トーク、折に触れて感じる嫌日意識等々で、N子にとっても決して良い思い出にはならなかったようです。

  昔、仕事で米・仏に出張経験がある私が、熱心に北米旅行を薦めたことも手伝ってか、N子はJTBの「10万円ポッキリで行けるナイアガラとトロント」の宣伝文句に飛びつき、「旅物語」の「ナイアガラ大瀑布とトロント6日間」にエントリーしました。さすが「10万円ポッキリ」だけあって、現地まで添乗員の同行は無し、現地での3日半のうち1日半はフリー・タイム(オプショナルツアー付き)、食事は昼食1回と夕食2回がついておらず、ホテルは当然に「滝が見えないホテル」です。さて、どんな珍道中が待ち構えていることやら。
 


<往路/米国入国審査/国内線乗り換え>

 関空発ノースウェスト(NW)の07便。747の真ん中4人掛け座席の中央2席をアサインされる。右の通路側座席は、横綱「曙」を一回り小さくした感じの巨大な外人女性、左側は、米軍関係者と思われる不気味なサングラス男。この二人にN子と私がサンドイッチにされて楽しい旅のスタートです。ビールを我慢して、道中、サングラス男に“excuse me を1回だけやってトイレに行くが、このサングラス男が座席を立ったのは、この時だけで、巨体のミズ曙は一度も座席を立ちませんでした。外国人にとっては、あたりまえのことなのか、結局、両脇の二人は約12時間のフライト中、一度もトイレに行かなかったのです。

 後日、思い返すと搭乗手続きの際に当然に訊かれるはずの「座席」位置の希望についての質問が全くありませんでした。座席位置の選択権が無く、サンドイッチ状態を強いられるフライトは、この手の格安ツアーでは必然のことなのでしょう。しかし、これは序の口でした。帰路には更なる悲劇が待っていたのです。

 
 NW07便はデトロイトに降りて、ここで入国審査。会社勤め時代に米国には仕事で3回ほど出張経験があるが、同時多発テロ以降の入国審査での手間ひまの掛けようは隔世の感ありで、審査待ちの長蛇の列。やっと出番がきて人差し指の指紋と顔写真を撮られ、米国内線に乗り換え。待ち時間が長かったせいで、乗り換えるNW1752便の出発時間が迫っているが、国内線の荷物チェックがまたも長蛇の列。金属探知ゲートをくぐる際には、靴まで脱がされる。何とか
BORDING TIMEぎりぎりでゲートに到着して、一息つく。旅物語のバッジを着けたお仲間と思われる皆さんたちも、添乗員無しの格安ツアーを選ぶだけあって旅慣れている様子。迷子にならずに到着したようです。

 バッファローで、カナダに長期滞在しているという30代の日本人の男性添乗員と合流し、バスでレインボーブリッジを渡りカナダ側に。入国審査では、何の質問も無し。若い審査官が、となりのオッサンと世間話をしながら、無造作に入国スタンプを押してくれました(p1)。パスポートの写真くらい見ろよと言いたくなりますね。

 

<ナイアガラフォールス(1日目)>

 ホテル(DAYS IN CLIFTON HILL)は、ビクトリア・アベニュー沿いにあって、確かに滝は見えませんが、道路を隔てた向かい側がカジノで、アメリカ滝が正面に見えるポイントまで歩いて10分ほどの便利な場所にありました。部屋もバスルームも驚くほど広く、窓が大きくて部屋が明るい点も気に入りました。セーフティボックスや、飲料用のビン入りの水まで用意されていました。

大金を替えるわけでもないので、両替は現地で十分と考えていたため、カナダドルは全く持ってきていませんでした。まずは両替・・とホテルのフロントに話しをすると、両替はホテルではしていない。この先に両替所があると言う。ビクトリア・アベニューを200mほど南に歩くと、交差点の角に確かに両替所があるが、掲示されているレートがエラク悪い。しまったと思いつつ5000円だけ替える。

 シャワーを浴び、着替えをして、さて今日の夕飯は? 実は、夕食は既に手に入れているのです。バスの中で配られた「おにぎり弁当」です。10万円ポッキリですから贅沢はいえません。お腹が空いていたこともあって、これで十分。お腹がおちついたところで、N子と二人で滝の偵察に出かける。先程の交差点からクリフトン・ヒルを東に下る。周囲は老いも若きも、短パンにサンダルのナイアガラ・ルック? 400mほど歩くと川を隔てて対岸にあるアメリカ滝の前に出る。かなり離れているにもかかわらず雄大さに圧倒される(p2)N子も満足そうです。

     
   p1 入国スタンプ           p2 アメリカ滝


<ナイアガラ・フォールス(2日目)>

◆ ナイアガラウォーキング

 カロリーたっぷりの朝食をとって、今日は、午前中は添乗員についてナイアガラ・ウォーキングした後、霧の乙女号で大瀑布の滝壺に接近する。午後はフリー・タイムというスケジュールです。集合はホテルのロビー。バスが迎えにくると思っていたら、何と徒歩で滝に向かうという。午後はフリー・タイムだからホテルへの帰り道を知っておくためだろうと勝手に納得する。ツアー仲間の単独行のお父さんは、短パンにサンダルの現地ルック。行動力に感心です。アメリカ滝を写真に収めた後、ナイアガラ川沿いを歩いてカナダ滝のテーブル・ロックへ。滝の大きさと水量の凄まじさに圧倒される。もの凄い迫力です。

◆  霧の乙女号
 次は霧の乙女号に乗ります。ブルーのポンチョを被って乗船する。最上階のデッキはあっと言う間に満員御礼。出遅れた私たちは、下のデッキに。(実はこれが幸いしたのだと悟るのは、この4年後のことです。[注])船は、まずアメリカ滝に接近する。アメリカ滝の横では、黄色のポンチョを纏った人たちが水しぶきの中で歓声を上げている。(これが「風の洞穴」というアトラクションであると知るのはホテルに帰ってからでした)次にカナダ滝に接近。頭上からドドッと降り注ぐ大量の水(p3)(p4)。まさに圧巻。

[注] 最上階のデッキにいるとカナダ滝で、ずぶ濡れになって、靴の中までグシュグシュです。カメラを構える余裕もありません。靴にはスパッツ。カメラは防水。そして水中メガネの着用をお勧めします。

  
   p3 カナダ滝         p4 霧の乙女号とカナダ滝

◆  昼食は滝の見えるレストランで?
 昼食は、滝の見えるレストランでお食事と勝手に期待していたのですが・・。フォールス・アベニュー沿いにあるホテル、シェラトン・オン・ザ・フォールス。ではなくその横のビルの最上階でバイキング。窓際まで接近すれば、ちゃんと滝は見えます。午後はオプショナルツアーで「気球に乗って空から眺めるナイアガラ」と「スカイロンタワーからの展望観光」が用意されており、これに申し込んだ人たちも多く、期待に胸膨らんでいる様子。私たちは、当然にフリー・タイムです。

◆  カジノで両替

添乗員のお兄さんから、両替のレートはカジノが一番という話を聞き、ホテル・シェラトンの隣りにあるカジノに向かう。入り口で荷物チェックがある。スロットマシンが並ぶ中をウロウロ。台車を押してるオジサンに両替所は何処かと聞くと、そこだとcashier を指差す。本当だろうかと cashierの窓口で聞くとOKの返事。今度は3万円を両替する。手数料が無料のせいかレートはかなり良い。せっかく来たのだからと1ドルでコインを4枚買って、スロットをやってみる。あっと言う間に全滅。

◆  滝の裏側 と 急流見物

  観光案内所(Welcome Center)でシャトルバスのピープルズ・ムーバの乗り放題一日券を購入する。ムーバに乗ってテーブルロックまで戻り、カナダ滝を裏側と真横から眺められるというジャーニー・ビハインド・ザ・フォールズのアトラクションに参加する。人気のあるアトラクションらしく、入場券を購入するための行列ができている。黄色のポンチョをもらって、エレベータの順番を辛抱強く待ち、地下に降りてトンネルを通る。滝の裏側は水しか見えずあっけないが、真横から見るカナダ滝(p5) は迫力満点です。またエレベータ待ちをして地上へ。かなり時間を費やしてしまった。

  次は、ムーバに乗って川沿いの道を北上し、ホワイト・ウォーター・ウォークへ。急流(p6) を眺めながら遊歩道を散歩してノンビリする。クリフトン・ヒルに戻るともう夕刻。

  
  p5 真横からのカナダ滝     p6 ホワイト・ウォータ・ウォーク

 明日はナイアガラ・オン・ザ・レイクにシャトルバスで行く計画なので、バスが出る時間と場所を確かめておく必要がある。観光案内所(Welcome Center)のお姉さんから Pardon me? を何度も繰り返しながら、シャトルバスがホテル・シェラトン・オン・ザ・フォールスの前に停車することを聞き出し、時間表をもらう。夕食は暗くなってならクリフトン・ヒル沿いのレストランで。



<ナイアガラ・フォールス(3日目)>

◆  シャトルバスでナイアガラ・オン・ザ・レイクへ
 今日は、一日フリー・タイムですが、オプショナルツアーとしてナイアガラ・オン・ザ・レイクへのバスツアーが用意されています。私たちは、このオプションを選択せずに、自力でオン・ザ・レイクに行こうという算段です。定刻の15分前にホテル・シェラトン・オン・ザ・フォールスのロビー前に到着し、5-0 Taxi社が運行するシャトルバスを待つ。

 本当にここで良いのか念のため、シェラトンのユニフォームを着た年配のオトウサンに聞いてみる。確かにここだ。そこで待てと言う。そう言われてもじっとしていられないのが私の性分で、あっちへブラブラ、こっちへブラブラしていると先程のオトウサンがやってきて、こっちへ来いという。オトウサンについていくと肝っ玉母さんのようなおねえさんがいる。シャトルバスのドライバーだという。直ぐうしろにシャトルバスが着いている。

 往復のチケットを買って、バスに乗り込む。私たち二人のほかに乗客は無く、オン・ザ・レイクまで貸切バスになる。道中は、ゆっくり喋ってくれる肝っ玉かあさんと、スローイングィッシュで世間話に花が咲く。途中にある「花時計」に寄り道してくれた。オン・ザ・レイクのはずれにあるバス停に到着。彼女は一旦、ナイアガラ・フォールスに帰って、また戻る由で、帰りのバスの出発時間を繰り返し言ってくれる。復唱すると安心した様子。

◆  オン・ザ・レイクの散策
 オン・ザ・レイクは、イギリス風の外観の店舗(p7)や季節の花に彩られた庭のある瀟洒な住宅(p8) が立ち並ぶ美しい街で、N子も大満足な様子。ガイドブックに紹介されていたGreavesというお店で、近所へのお土産に小さなビン入りのジャムやマーマレードを購入する。昼食は、サンドイッチとミルク/ジュースを買ってメイン道路沿いにある広い公園のベンチですませる。
帰りのバスはメキシコ系の親子ずれが同乗して貸切バスとはなりませんでしたが、大満足のバス旅行でした。

  
 p7 イギリス風の店舗と観光馬車      p8 瀟洒な住宅

◆  夜のアメリカ滝
 まだ、15:00前。一旦ホテルに帰って一休み。うとうとと二時間ほど昼寝をしてしまう。夕方、もう一度、滝を見に行く。途中のレストランで夕食。店の入り口に掲示されているToday
s specialを注文する。ステーキ、ポテト、サラダ、スープにピザがつくはず。待っていると確かにピザがついたが、径が30cmくらいありそうな馬鹿でかいピザが丸々一枚出てきた。これはとても食えないかと思ったが、結局、全部平らげてしまう。


 暗くなるとアメリカ滝は色とりどりの光線でライトダウンされ、幻想的な雰囲気を醸し出す。突然、花火が打ち上げられ歓声が上がる。ここは治安も良いようで、若い女性や子どもたちも遅くまで大瀑布の眺望を楽しんでいる。


<トロント(4日目)>
 
◆  カーサ・ロマ と トロント島
 添乗員と一緒にバスでトロントに移動。オンタリオ州議事堂や市庁舎を車窓から眺めた後、古城風邸宅「カーサ・ロマ」(p9)を見物。午後はフェリーでトロント島へ渡る。フェリー乗り場では、中国国内で弾圧を受けている法輪功の支持者たちが、そこかしこで中国政府批判の印刷物を配っている。船内はインド人、中国人、韓国人で溢れている。どこが魅力なのかよく分からない島(p10)で時間をつぶす。

  
    p9 カーサ・ロマ          p10 トロント島

◆  トロント と 毛皮屋さん
  トロントに戻ると日本人が経営する毛皮屋さんに案内されて、いつものセールス・トークに晒される。所狭しと並べられているミンクやビーバーの高級毛皮の加工製品を前にして、つい店員さんに「世界に向かって環境保護を主唱するカナダ政府が、絶滅危惧種の捕獲を許しているのですか」と皮肉を言ってしまう。「法律違反はしていません!」とかなり立腹されたご様子。これ幸いにと店を出て、時間まで店の近くの街をぶらつく。

 ダウンタウンでは、ブロアストリートで自由行動。日本食レストランを覗いてみるが、一見して日本人の経営ではないことが分かり興ざめする。夕食は、明らかに照度が足りないと思われる暗いお店でバイキング。無意識にやけ食いをしている自分に気が付く。宿泊は、クラウン・プラザ・ホテル・ドン・バレーでした。しかし、不思議なことに定番の「スーパー探し」目的でホテルから外出した記憶が全く無いのです。ああ、もう一日、ナイアガラにいた方が良かったなというのがトロントの総括です。


<帰路>

 帰路は、トロントからデトロイト乗換えで関空ですが、米国への再入国は無しで、デトロイトではトランジット。関空行きのNW069便では、N子と私は互いの姿が見えない程、遠くで離ればなれ、しかも真ん中の4人掛けのサンドイッチ席。キャビンアテンダントのお姉さんに俺の隣りは空いているので、N子をすわらせたいという(vacantというべきところをemptyと言ってしまったが、話は通じたようです)と、怒った顔つきでこの便は満席になるから駄目だという。観念して座っていると、4人掛け席の通路側に座っていた香港系と思われるお父さんが席を交換して欲しいと言う。どうやら私の左隣の二人がこのお父さんの家族らしい。OK! OK! これが二つ返事というのでしょうか。俺はこれでビールが飲めるが、N子は・・。10万円ポッキリの悲哀を味わいながら旅は終わりを迎えるのです。



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