夏のイタリア(フィレンツェ[世界遺産の街でスーパー探し]、イタリア式トイレ事情)                       
                                                                      2009.6.14
 


<イントロ>

 屋根のない博物館と称されるフィレンツェの中心部にある歴史地区には、イタリア・ルネッサンスを代表する多数の建造物、文化財が保存されており、ユネスコの世界文化遺産に登録されている。私とN子が参加した阪急トラピックスのツアー「新びっくりイタリア 9日間」での唯一の半日間フリータイムは、この世界文化遺産の街、フィレンツェのサン・ジョバンニ地区のドゥオーモ(p1)広場近くの中華料理店(北京飯店)の前で始まりました。

 ツアー4日目の昼食後、30人を超えるツアー仲間のうちシニアのご夫婦一組と単独行の中年女性、それに私たち二人の計5人を除いた皆さんは、ピサ半日観光のオプショナルツアーに出発しました。私とN子は、サン・ジョバンニ地区に残って、まず、「中央市場」でイタリア庶民の生活に触れてから、「アカデミア博物館」で本物のダビデ像のチXXコをN子に鑑賞してもらい、さらにスーパーを探して安いイタリアの食料品を購入しようという算段です。さて。今回の首尾は?


     p1 ドゥオーモ     
 


<フィレンツェ徘徊>

◆ フィレンツェ名物

 まだ6月半ばだというのに、フィレンツェは、とにかく暑い。石畳の道路をはじめとして、周り中が石造りのサン・ジョバンニ地区。その石が太陽光の直射を受けて焼け石と化している。日陰は少なく、風も無い。まさに地獄の暑さだ。しかし、フィレンツェ名物と言えるのは、この「暑さ」だけではないようだ。レプリカ広場のこれでもかというほどの「人の群れ」(p2)、ドゥオーモ広場へ向かう石畳の道に散乱する「ゴミ」(p3)、そこら中にある「らく書き」(p4)、そして石造りのベンチの上には大量の「鳥の糞」。いずれもフィレンツェ名物の候補といえるかも知れない。

   
 p2 レプリカ広場の人の群れ   p3 路上のゴミ          p4 街中に溢れる落書き

◆ 中央市場からアカデミア美術館へ
 歴史地区を散策して多くの文化財を目にしても、その背景となる政治史や文化史を知らない人間は、その地区の文化的価値を正当に評価できず、辺りの美醜や居心地の良さに判断の基準を求めてしまう。私を含めてイタリア史について深い知識を持ち合わせていない人間は、ここに来てはいけないのでは? そんな気持ちになりながら、ドゥオーモ広場から露店が立ち並ぶ一角(p5)を抜けて目当ての中央市場に向かう。

 
ところが・・。今日は、日曜日なので? 市場はお休み。しかたなく、サンマルコ広場の北側にあるサンマルコ美術館(p6)を眺めてから、その斜め南側にあるアカデミア美術館へ。しかし、どういうわけか、ここも閉まっている。ガイドブックには、月曜日が休館日とあるのだが・・。ダビデのチXXコは、レプリカ(p7)で満足するしかないようだ。
       

 p5 ドゥオーモ近くの露店       p6 サンマルコ美術館      p7 レプリカ広場のダビデ像

◆ ジプシーの女性が・・

アカデミア美術館の東側にある孤児養育院美術館(p8)は開館中である。この美術館は、「ロッビア」の作品を展示していることで有名らしいが、「ロッビア」が何者かも知らない文化音痴には、立ち入り無用の場所である。

 どっと疲れが出る。日陰を見つけて、近くの売店で調達した炭酸水を口に含んで一休みしていると、突然、白っぽい薄い布を頭に被り、粉を塗って真っ白になった顔がニュッと私の目の前に現れて、何やら呟いている。若い女性だが、どうもお金をせびっている雰囲気だ。通りすがりの地元の人と思われる人たちが、身振り手振りで「お金を渡しては駄目だよ」というサイン?を私に送ってくる。これはまずいと、逃げ出す。
 
 ロマとか、ジプシーと呼ばれている人たちのようだ。彼女の心を傷つけてしまったかも知れないが・・。事情を知らないアジアからの旅行者は、彼女たちの格好の資金源なのかも知れない。



  p8 孤児養育院美術館

◆ 世界文化遺産の街でのスーパー探し

 本日の目標のうち二つは、既に不達成となった。最後の一つ「スーパー探し」を始めることにする。出発前にネットで所在地を調べて、ガイドブックの付録の地図に目印を入れているので、これを取り出す。ドゥオーモ広場からは、イル・チェントロ(IL CENTRO)というスーパーが一番近い。Via DeGinori と Via Taddea がT字型にぶつかるコーナーにある。南に少し歩いてVia degli Alfani に出て、西に進みVia DeGinoriとの交差点で左に折れて、南方向に歩くと、確かに道路の右手の角に店舗がある。

 売り場面積は、それほど広くはないが、食料品から生活雑貨まで一通り並べられている。価格もお手ごろ。私は、とりあえずナッツ類を探す。N子は様々な形状や色のパスタ類を嬉々として買いあさる。日本に帰ったら、当分の間はパスタ攻めになりそうだ。帰国後にネットに当ってみるとイル・チェントロ(IL CENTRO)の立派なHPが見つかった。

http://www.ilcentro.biz/punti vendita/firenze via ginori.asp

◆ ツァー仲間の女性から・・
 ようやく目的を果たせた満足感に浸りながら、安価でボリューム満点の食料品ばかりを突っ込んだ大きなビニール袋を二つぶら下げてドゥオーモ広場に戻る。「天国の扉」(p9)の横手の日陰になった礼拝堂のフィレットに腰を降ろす。周りは鳥の糞だらけ。N子の隣りはインド人。世界文化遺産に登録された歴史的建造物の端っこにインド人二人と日本人二人が腰掛けている珍妙な風景。

 あとは、集合場所のレストランで、ピサ観光に出掛けたツアー仲間の皆さんと合流して夕食を楽しむだけだとノンビリしていると、突然、「良かった!」と言う日本語が耳に入る。ピサ観光に行かなかったツアー仲間の単独行の女性が現れた。私たちを見つけたのがよほど嬉しかったのか、興奮ぎみに、集合場所のレストランが何処にあるのか分からないので、一緒に探して欲しいと言う。


  p9 ドゥオーモの天国の扉

 昼食前にドゥオーモを見物した際に、そのレストランの前をツアー仲間全員で通過し、添乗員のKさんが、「集合場所はここですよ」と丁寧に説明してくれたし、残留組は、さらにKさんからそのレストランの位置を示した地図までもらっているので、分かるはずなのだが・・。旅は道連れ、世は・・何とかと言う。安住の避暑地を捨てて、この女性のために一肌脱ぐことにする。

 地図で示された場所に迷わずにアクセスできたが、どうも午前中と雰囲気が違う。辺りを暫く歩き回るが、該当するレストランはない。最初の場所に戻って、注意深く観察すると閉ざされた入り口のガラス張りのドアに店の名前が書いてあり、確かに集合場所のレストランであることが確認できた。昼食前に通ったときは、店が開いていたので記憶との間に齟齬が生じたようだ。その女性、今度は・・教会に一緒に行きませんか? と言う。もう完全にバテてしまったので、これは断る。人間、目立つところに居ると何かが起きるようなので、今度はレプリカ広場の人ごみに紛れて休むことにする。本日は、一勝三敗? いや、二勝二敗の五分としておきましょう。



<イタリア式トイレ事情> 

 イタリアの小さなレストランでは、男女兼用のトイレが一つだけしかないというのが当たり前です。日本の店舗のように男性用トイレが複数並んで存在するところは、ほとんどありません。団体行動時には、添乗員さんや現地のガイドさんが便器の数が多い団体用トイレに誘導してくれるので、心配はありませんが、個人で行動するフリータイムは、前立腺肥大/過活動膀胱でトイレが近くなった人や、脳梗塞予防のために常時、水分摂取に励んでいる私のような人間にとっては、「トイレ探し」のひとときになってしまうかも知れません。

 ツアー2日目のミラノでは、ドゥオーモ(p10)の前での5分間の写真タイムを利用して、ガレリア(p11)のアーケードの中にあるマクドナルドのトイレに駆け込む。待ち行列は出来ていたが、幸いにも男性用の便器が二つ並んで存在しており、回転率は良さそう。何とか出発時間までに戻ってN子も安堵。5日目のオルビエート(p12)では、公衆トイレは皆無。ワインバーのご主人に頼みこんで、トイレを借りたら、大理石造りの王様御用達のような豪奢なトイレで恐縮しました。

    
  p10 ミラノのドゥオーモ            p11 ミラノのガレリア       p12 オルビエートの店舗

 6日目のカプリ島(p13)では・・・。Al Piccolo Barというお店の屋外テーブルで、注文したコーラを飲みながら、May I use the toilet? と店員さんに訊いてみる。Inside! と言うので、店の中に入ると、Toilet? と訊かれる。Yes! と言うと、店員さんからキーを渡される。その店員さん、No.1 と言いながら、通路側を指差す。通路におそらくトイレが幾つか並んでいて、そのうちの1番を使うのだろうと想定して通路に出る。しかし、それらしきものは見当たらない。階段道の通路を下って行くと、トイレがあったので、管理人らしい女性にキーを見せると、Up! と言う。そうか、ここは添乗員さんが言っていた有料トイレかも。通路に出てカフェテリアの方に戻ると、左手の壁面にAと表示したドアがあり、通路を跨いだその向かい側の壁面には@と表示されたドアがある。鍵穴がついているので、キーを差し込んで回して押すとドアが開いて、中に綺麗なトイレがあった。ドアに鍵をかけて用を足す。ドアを開け、通路に出てドアを閉め、鍵を掛けて、店員さんにキーを返す。いやはや大変なプロセスでした。
 
 カプリ島で見かけたアジア人は、日本人ばかり。店員さんのこの「トイレ処理」の鮮やかさは、「トイレ」、「トイレ」とわめく日本人に丁寧に対応してきた経験のなせる業なのでしょうか・・。



    p13 カプリ島




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