何が一体改革だ! 無能政府の茶番を許すな      2012.1.14   



 野田首相は、1/13付で岡田克也前幹事長を副総理兼一体改革・行政改革相に任命する内閣改造を行い、消費増税に本気モードであることを装うのに大忙しである。デフレ克服は端(ハナ)から諦め、震災復興は遅々として進まず、超円高・産業空洞化には為す術も無く、あげくは外交無策で国家としての信用を根底から失墜させた民主党政権の最後の首相としては、せめて「どの政権も逃げた消費税増税をやり遂げようとした総理大臣」としての名前を何としてでも日本政治史に刻みたいのか・・、まさに最期の悪あがきである。

私は、増税に反対しているわけではない。急速な少子・高齢化にデフレ経済や自民党政権の無策が重なって、年金制度や健康保険/介護保険制度を始めとする我が国の諸々の社会福祉制度が危機的状態に至り、その改善のためには、先進諸国でも最低レベルにある消費税率を引き上げて税収を増やさざるを得ない状況にあることは、私を含めてほとんど全ての国民が理解している。おそらく消費税率を20〜30%に引き上げても制度を何とか存続させるのがやっとであろう。

ところが野田政権は、「税と社会保障の一体改革」のための増税であると大風呂敷を広げ、消費増税を行えば、社会福祉制度の内容は今よりも充実するとほざく。財源の裏付けの無いマニフェストで散々国民を騙しておきながら、未だにこれを撤回することもせず、この上さらに一体改革などという美名で国民を欺こうとする。この民主党政権の政治手法には我慢ができない。

政府の「社会保障と税の一体改革素案」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/pdf/240106houkoku.pdf)では新しい年金制度の創設を謳っている。年金は「所得比例年金」と「最低保障年金」の組み合わせである。「最低保障年金」は満額で7万円/月であり、財源には税金を充てるという。ところが2025年には、年金受給世代である65歳以上の総数は3,500万人に達するのだ。一人あたり毎月7万円の年金を支給するためには、年間30兆円の原資が必要になる。これを消費税で賄うとすると、税率を15%引き上げなければならない計算になる。(消費税率を1%上げると、税収が2兆円増えるという仮説が正しいという前提での話ですが・・) 年金だけでこの有様であるから医療や子育てなど他の福祉政策に税金を回せるわけがない。この一点だけでも、改革案は完璧に破綻している。

 上記の最低保障年金に上乗せされる「所得比例年金」は、「納付した保険料を記録上積み上げ、仮想の利回りを付し、その合計額を年金支給開始時の平均余命などで割って、毎年の年金額を算出」するという。政府は、社会保険方式だというが、賦課方式ではなく積み立て方式なのだ。仮に東京のような大都市で、現行の「生活保護受給者」と同等の所謂(いわゆる)最低水準と言われるレベル以上で老後の生活を送りたいと希望するのであれば、毎月17万円程度の年金が必要だろう。ということは、10万円/月の所得比例年金が必要になる。65歳から年金を受給できるとした場合、65歳の人間の平均余命は19年ほどであるから、年金原資として、2,280万円もの積み立て額が必要になるのだ。これを20歳から65歳までの45年間で積み立てることになる。一体改革素案では、保険料率は15%だとある。電卓をたたいてみると、驚くべきことに毎月28万円以上の給与収入を45年間に渡って維持しなければならない。上場会社のサラリーマンでもなければとても実現できない計算値だ。所得比例年金など絵に描いた餅。一般のサラリーマンであれば、ほんの2〜3万円の上乗せ分が積み立てられれば上出来というところだろう。政府は「すべての受給者が所得比例年金と最低保障年金の合算で、概ね7万円以上の年金を受給できる」と、この新しい年金制度を自画自賛するが、実のところ、国民の大多数が7万円/月の年金でさえ受給できるかどうかが怪しい制度なのだ。年金制度の改革案だけを取り上げてもこのとおりだから、他は推して知るべしである。

 

 さらに驚くべきことに、この一体改革素案には「政治改革・行政改革への取組」と題した一章が存在する。その冒頭には「議員定数削減や公務員総人件費削減など自ら身を切る改革を実施」した上で、税制抜本改革による消費税引上げを実施すべきである・・と、民主党がマニフェストで謳って、その全てを放棄したあのおぞましい決意表明が繰り返されている。ところが「具体的には・・」の接頭辞で書き始めるその改革の内容は、僅か10行だけで終わっている。50ページに及ぶ素案のうち、僅か10行しか「自ら身を切る改革」には触れていないのだ。取って付けたとは、このことだろう。国民を愚弄するにも程がある。

 バラマキ政策を散々喧伝したにも係わらず、その全てが破綻すると、今度は国民に負担を強いる。しかも「不退転の決意で・・」、「君子、豹変す・・」などと、本気モードを漂わす形容詞を連発して国民を欺こうとする。国民に約束したことが何もできず、全てを放棄し、それに対して国民に謝罪することもできない政権が、「社会保障と税の一体改革」をやると嘯く。ちゃんちゃら可笑しいとは、こんなことをいうのでしょうね。アハ。


                    
     増税狂 どじょう君



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