捏造した歴史を盾に海洋権益を略取する危険なチャイナ
                                                                     2013.2.9  
 
 



 6日、チャイナのフリゲート艦が海自の護衛艦に対して射撃管制レーダをロック・オンしたという日本発の衝撃的なニュースが世界を震撼させた。パネッタ米国防長官から強い言葉で自制を促されるなど窮地に陥ったチャイナは、案の定「シラを切る」作戦に出ている。各国メディアの反応をネットでチェックしたところ、オーストラリア(以下「豪」)の全国紙であるシドニー・モーニング・ヘラルド[Sydney Morning Herald](以下「ヘラルド紙」)が事件発生直後に興味深い記事を掲載しているのを見つけたので、これを紹介したい。(『 』内はヘラルド紙本文からの引用)

この記事は『中国の抱える国内問題が局地的大災厄を招く』というタイトルで、東シナ海や南シナ海に進出して海洋権益の略奪を狙う「チャイナ」がいかに危険で厄介な存在であるかを米豪の専門家の証言を紹介しながら解説しており、当事国である日本に比べてはるかに率直にチャイナの危険性を伝えようとする豪メディアの姿勢を知ることができる。また「チャイナは中共政府の宣伝部が捏造した歴史を振りかざして、狡猾に、かつじわじわと近隣諸国の海洋権益を奪いつつある」と米海軍情報部が状況を正しく認識している一方で、急速に軍事能力を高めた好戦的で傲慢なチャイナによる海洋進出を阻止するための有効な手段を持ち得ていない米国の苛立ちも露わにされている。

 
  まず注目されるのは、ケビン・ラッド前首相のコメントである。ラッド前首相は、先週、中国とその近隣諸国との間の領土紛争の舞台である東シナ海や南シナ海を『一触即発の海域である』と警告し、一世紀前に「欧州の火薬庫」と呼ばれ、『第一次世界大戦の火種となったバルカン半島における緊張状態に匹敵する』と述べて、紛争のエスカレーションに強い懸念を示している。背景には米海軍情報部のジェームズ・ファレル大佐の『2012年に中国海軍は、七つの海上活動部隊と過去最大数の潜水艦をフィリピン海域に展開している。中国海軍は、海に繰り出して海戦をいかに戦うのかを学ぼうとしている・・間違いなく、人民解放軍の海軍は、海上戦闘(の実践)に、そして敵艦を撃沈することに躍起になっている』の証言にあるようにチャイナが極めて好戦的であるという事実にある。チャイナは、歴史的にみてもチベット侵攻は言うまでもなく対露、対印、対越の国境紛争でも国境線付近で実戦にまで踏み込んでおり、血を流すことに躊躇しない。『米中いずれの国家とも敵対を回避したいと方策を探っている』豪にとっては、決して対岸の火事ではない。この豪メディアの反応をみると、日本があまりに能天気すぎないかと心配になる。


 タイトルに掲げている『
中国の抱える国内問題が局地的大災厄を招く』は、豪の国際政治に関するシンク・タンクであるLowy研究所のリンダ・ジャコブソン女史の主張であるが、行き過ぎた愛国教育(反日教育)によって狂信的な民族主義の若者を国内に無数に生み出しているチャイナの現状を前提にすれば『偶発的事象や見込み違いによって日本や東南アジアの隣国の一つとの軍事衝突が勃発すると、中国の指導層は国内の民族主義者の反発に揺さぶられて、その結果は破滅的なものとなる』とする女史の指摘は当を得ているように思える。

 
 米海軍太平洋艦隊の情報作戦副参謀でもあるファレル大佐はチャイナが『南シナ海や東シナ海の問題の島々の領有権を主張するために歴史を捏造している(fabricating)』と非難し、中国を『最大の脅威』と表現している。さらにチャイナは、『過去5000年間においてシナ(China)と呼ばれたいかなる政権も支配したことがなかった海域を統制下に置こうとしている』とし、『「俺のモノは、俺のモノ。お前のモノは俺と交渉だ」とする中国の態度は間違いなく膨張主義者そのものである』とまで語っている。

 
 ヘラルド紙は、このファレル大佐の辛辣なコメントを『米国は中国を痛めつける「アジアの狼」である日本を従えた「世界の虎」として行動していると言う中国の上級軍関係者による中傷に応えたものである』と推測している。チャイナの軍関係者は『「虎」の手先となったり、「狼」の片棒を担ぐようなことがあってはならない』と豪を威嚇しているらしい。傲慢なチャイナらしい対応である。


 米海軍情報部はチャイナに対して『中国は、大部分が中国政府の宣伝部によって捏造されたものである海洋史の教本を盾にして、近隣諸国の海洋権益を意図的に、戦略的に、かつ漸進的に手中におさめつつある。この海洋史の教本は、明らかに共産党による支配を継続するためのツールとして、中国には海洋国家としての豊かな歴史があることを大衆に「教え込む」ためのものである』とするファレル大佐のコメントに代表される認識を持っている。親チャイナ派と目されるケリーが国務長官の椅子に座っても、日米の現場同士の連携は揺るがないだろう。

 
 『中国人民解放軍の海軍は高い能力を持つ戦闘部隊になっていると私はみている』とのファレル大佐の言葉に、チャイナは『まさに隣国が恐怖を感じるようなやり方で傲慢に振る舞い』、『しかも領土に関わる主張に関しては、協調や交渉の意思が一切無い』、『米国にとって中国が友邦や同盟国と共同して戦わなければならない軍事上の相手であることを考慮すると、米軍は中国との交戦を試みることには極めて消極的である』とするLowy研究所のサム・ロジェビーン氏の言葉を重ね合わせると、何としても軍事衝突を避けたいというのが米国の本音であり、米軍の抑止力に一方的に依存する日本の立ち位置の脆弱さが際だってくる。

                             
  もう暫く命を永らえて、このキンピラ君                小野寺さんは嘘をつきませんよ。
  が指導するチャイナの崩壊を見届けたい
  ものです。

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 未だに白人至上主義の臭いがする上に反捕鯨活動家のシンパを抱え、日本に対しても辛口の批評をしばしば発信する豪メディアですが、「チャイナ」に対する恐怖心は尋常ではないことが、この記事からも理解できます。以下、私の拙訳と併せて原文を掲示します。誤訳はご容赦願います。

 

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中国の抱える国内問題が局地的大災厄を招く

2013. 2. 5

David Wroe, Daniel Flitton


  今後数年間、中国の指導層が隣国との「暴発の可能性がある」緊張状態を軽視して、自国の経済的及び政治的課題に没頭することが「大災厄につながる」だろうと第一級の専門家が語っている。


 Lowy研究所の東アジア部局の責任者であり中国問題の世界的権威でもあるリンダ・ジャコブソン女史は、火曜日にリリースされた論文で、中国の新しい指導者である習近平は「凄まじい国内問題」の解決に窮することになるだろうと、警鐘を鳴らしている。


 この新興巨大国家が外交政策において常識を超えて過剰反応すると、偶発的事象や見込み違いによる日本や東南アジアの隣国の一つとの軍事衝突が勃発したとき、中国の指導層は国内の民族主義者の反発に揺さぶられて、その結果は破滅的なものとなるだろう。


 尖閣/釣魚諸島に関する日本との緊張関係、及び南シナ海における領有権に関わる東南アジア諸国との緊張関係をいかに緩和するかという中国の最も差し迫った二つの外交課題が、一触即発の可能性を秘めているがゆえに、この問題は重大な結果をはらんでいると女史は指摘する。


 事例


 緊張状態は東シナ海の小さな島々(日本名 尖閣諸島、中国名 釣魚島)に関わる領土紛争をめぐって中国と日本の間で生じている。中国の軍用艦船が日本の軍事目標に向けてミサイルレーダをロックしたことによって、この地域の二つの強国を危険な状態の瀬戸際にまで追い込んだと日本の当局者は語っている。


 これらの領土紛争に対する中国の幹部指導層の配慮不足が惨禍の要因となり得る。海域又は空域での軍事衝突が生じれば、民族主義者による圧力が紛争の当事国である両国の指導者層による問題処理の選択肢を狭めてしまうからである。


 ジャコブソン女史のコメントに続いて、先週、ケビン・ラッド前首相は、中国とその近隣諸国とのエスカレートした領土紛争を「一触即発の海域」であると警告し、一世紀前に第一次世界大戦の火種となったバルカン半島における緊張状態に匹敵すると述べている。


 米海軍情報部のトップは、「中国は米艦を沈め、近隣諸国から制海権を奪うという野望の下に、公海上において威圧的になってきた」と語り、中国の脅威を繰り返し警告している。


 ジェームズ・ファレル大佐も中国に対して、南シナ海や東シナ海の問題の島々の領有権を主張するために歴史を「捏造している(fabricating)」と非難し、中国を「最大の脅威」と表現している。


 言葉の上でのやりとりが激しくエスカレートして、極東における米中間の危険な対立を煽っており、これが米中いずれの国家とも敵対を回避したいと方策を探っている豪の防衛計画担当者の頭を悩ませている。


 ファレル大佐は、「彼らは過去5000年間においてシナ(China)と呼ばれたいかなる政権も支配したことがなかった海域を統制下に置こうとしている」とサンジエゴでの会議で述べている。


 「俺のモノは、俺のモノ。お前のモノは俺と交渉だ」 中国の態度は間違いなく膨張主義者そのものであるとファレル大佐は語っている。


 ファレル大佐の辛辣なコメントは、『米国は中国を痛めつける「アジアの狼」である日本を従えた「世界の虎」として行動している』という中国の上級軍関係者による中傷に応えたものである。


 中国の軍関係者は『豪は「虎」の手先となったり、「狼」の片棒を担ぐようなことがあってはならない」と警告している。


 中国共産党政権は、有力な軍関係者に対して地域紛争問題に関する公式見解ではない、思惑を含んだ意図的なメッセージと一般に解される発言を行う許可を従来に増して与えてきている。


 米国は現在、具体的な姿勢をとらえて対応しているように思える。


 「我々は、中国が大国に相応しい行動をとるよう求めているが・・ 過去10年、私が見てきたのは、そんな中国ではない」とファレル大佐は言う。


 米太平洋艦隊の情報作戦副参謀でもあるファレル大佐は、米西海岸からインドに至る(from Hollywood to 
Bollywood) 海域で中国は、実質的にあらゆる紛争において中心的存在であったとファレル大佐は語った。


 中国人民解放軍の海軍は高い能力を持つ戦闘部隊になっていると私はみている。記録された情報の多くは、このフォーラムで討議できる領域を超えているが、事例をひとつ挙げると、2012年に中国海軍は、七つの海上活動部隊と過去最大の数の潜水艦をフィリピン海域に展開している。


 中国海軍は、海に繰り出して海戦とはいかに戦うのかを学ぼうとしている・・間違いなく、人民解放軍の海軍は、海上戦闘(の実践)に、そして敵艦を撃沈することに躍起になっている。


 ファレル氏のプレゼンテーションは、米国政府の立場を代表するものではなく、責任を負うものでもないかもしれないが、上層部からのこれほど露骨な評価は、やはり良いニュースとは言えないとシドニーのLowy研究所のサム・ロジェビーン氏は語る。


 このプレゼンテーションは、中国がまさに隣国が恐怖を感じるようなやり方で傲慢に振る舞っていること、しかも中国は領土に関わる主張に関しては、協調や交渉の意思が一切無いことを示している。


 ロジェビーン氏は、さらに中国が米国にとって友邦や同盟国と共同して戦わなければならない軍事上の相手であることを考慮すると、米軍は中国との交戦を試みることには極めて消極的であるとも警告する。


 ファレル大佐は、中国による公海上での「嫌がらせ」は、時間を経るごとに拡大してきたと話す。
中国は国際社会で問題視されているだけでなく、大部分が中国政府の宣伝部によって捏造されたものである海洋史の教本を盾にして、近隣諸国の海洋権益を意図的に、戦略的に、かつ漸進的に手中におさめつつある。この海洋史の教本は、明らかに共産党による支配を継続するためのツールとして、中国には海洋国家としての豊かな歴史があることを大衆に「教え込む」ためのものであると私は考えているとファレル大佐は語っている。


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China's domestic problems a 'recipe for regional disaster'

February 5, 2013

David Wroe, Daniel Flitton

China's likely preoccupation with its own economic and political challenges in 

coming years could become a ''recipe for disaster'' if the country's leadership 

neglects its ''potentially explosive'' tensions with its neighbours, a top scholar 

Says. Linda Jakobson, program director for the East Asia section at the Lowy

Institute and one of the world's top China experts, has warned in a paper released

on Tuesday that China's new leader Xi Jinping will be under pressure to solve his

country's ''formidable domestic problems''.

If the emerging giant becomes too reactive in its foreign policy, the results could 

be disastrous, with the country's leadership likely to be swayed by nationalist 

reaction if an accident or miscalculation sparks a military skirmish with Japan or 

one of China's South East Asian neighbours.

''This may have serious consequences because of the potentially explosive nature 

of two of China's most pressing foreign policy challenges: how to decrease tensions

with Japan over the Senkaku/Diaoyu islands and with South East Asian states over

territorial claims in the South China Sea,'' she says.

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Tensions have risen between China and Japan over a territorial dispute about a small

group of islands in the East China Sea that the Japanese call the Senkaku Islands and

the Chinese call the Diaoyu. Chinese warships have pointed missile radars at Japanese

military targets and taken the two regional powers to the brink of "a dangerous 

situation", say Japanese officials. ''A lack of attention by China's senior leaders to these

sovereignty disputes is a recipe for disaster. If a maritime or aerial incident occurs,

nationalist pressure will narrow the room for manoeuvre of leaders in each of the

countries involved in the incident.''

Ms Jakobson's comments follow remarks last week by former prime minister Kevin

Rudd warning that escalating territorial disputes between China and its neighbours are

a ''tinderbox on water'', and comparing the situation to tensions in the Balkans a century

ago that sparked the First World War.

A top US navy intelligence officer has echoed warnings of the threat from China, saying

the country had become a bully on the high seas, with ambitions to sink American

warships and seize control of waters from its neighbours.

Captain James Fanell also accused Beijing of ''fabricating'' history to claims on disputed

islands in the south and east China seas and described China as the ''principal threat''.

The marked escalation in rhetoric fuels a sense of a growing and dangerous rivalry

between the US and China in the region - and is a headache for Australian defence

planners seeking not to antagonise either country.

''They are taking control of maritime areas that have never before being administered or

controlled in the last 5000 years by any regime called China,'' Captain Fanell told a

conference in San Diego.

China's attitude was undoubtedly expansionist, he said – ''what's mine is mine, and we'll

negotiate what is yours''.

Captain Fanell's blunt comments last week came in the wake of a warning from a senior

Chinese military officer that the US was acting as ''the global tiger'', leading Japan,

''Asia's wolf'', in mauling China.

The Chinese officer warned Australia should not become a ''jackal for the tiger or dance

with the wolf''.

The communist regime has increasingly given license for trusted military officers to 

speak out on regional affairs in what is widely interpreted as deliberate messages

without being an official view.

The US now appears to be responding in kind.

''We need China to act like a great nation . . . but that is not the China I've watched over 

the past decade,'' Captain Fanell said.

The deputy chief of staff for intelligence and information operations for US Pacific Fleet, 

covering oceans from ''Hollywood to Bollywood'', Captain Fanell said China was at the 

centre of virtually every dispute.

''My assessment is the [People's Liberation Army] Navy has become a very capable

fighting force. Much of the intelligence record is classified beyond what we can discuss 

in this forum, but just to give you one example, in 2012 the PLA Navy sent seven 

surface action groups and the largest number of its submarines on deployment into the

Philippines sea in its history,'' he said.

''I can tell you as the fleet intelligence officer, the PLA Navy is going to sea to learn how

to do naval warfare . . . Make no mistake – the [People's Republic of China] navy is 

focused on war at sea, and sinking an opposing fleet.''

Sam Roggeveen, from the Lowy Institute in Sydney, said the presentation did not 

represent the US government line and may yet be disowned.

''But such a brutally candid assessment from such a senior source is nevertheless bad 

news,'' Mr Roggeveen said.

''It indicates that China is throwing its weight around in exactly the way its neighbours 

fear, and that China has no appetite for co-operation or negotiation on its territorial

claims.''

He also warned the US military's attempted to engage China were perhaps too 

pessimistic, calculating that China is a military adversary which the US must face down 

in concert with its friends and allies.

Captain Fanell said China's ''harassments'' on the high seas had expanded over time.

''In my opinion, China is knowingly, operationally and incrementally seizing maritime 

rights of its neighbours under the rubric of a maritime history that is not only contested in 

the international community but has largely been fabricated by Chinese government 

propaganda bureaus in order to 'educate' the populous about China's rich maritime 

history, clearly as a tool to sustain the Party's control.''

   


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