放射線アレルギー症患者の「ごり押し」が通る危険な日本
                                 
 2012.2.23     
 
 



■相次ぐイベントの中止

 那覇市は、21日海上自衛隊第5航空群(那覇市)が青森県十和田市で集めて持ち帰った630キロの雪を使って開催する計画だった「子ども向け雪遊びイベント」の中止を決めた。東日本大震災で那覇市に避難している人たちから「放射性物質が含まれ、被爆する可能性がある」との声が相次いだためだという。(2/21付 読売新聞) 哨戒機で雪を輸送した自衛隊員が同機への搬入と搬出時に放射線量を測定したが、問題ない値であり、那覇市はイベント開催に反対する避難者に安全性を説明したが理解は得られなかったという。

 このように地方自治体や民間団体が計画したイベントが放射能汚染に対して病的な恐怖心を抱く一部の住民による狂信的な反応に抗しきれずに中止に追い込まれる事例が相次いでいる。昨年8月の京都「五山の送り火」に岩手県陸前高田市の被災松の護摩木を使用する計画が、放射能汚染を懸念する市民の反対で頓挫し、福島県川俣町の業者が作った花火を打ち上げる予定だった愛知県日進市の花火大会も市民の抗議で中止になったのは、記憶に新しいところである。いずれのイベントも懸念の対象となった物品の放射線量は実測値で全く問題のないレベルだった。


 

■がれき処理も放射線アレルギー症患者が勝利


 環境省が旗振り役となった宮城県、岩手県の「がれき」に対する広域処理活動も放射線アレルギー症に罹患した一部の市民の反対によって遅々として進んでいない。早々と受け入れを宣言した東京都では、石原都知事の「黙れ」の豪腕で何とか緒に就いたものの、同じく一般がれきの受け入れを表明した神奈川県の黒岩祐治知事は、県民との「対話の広場」で反対派の怒号と罵声を浴び、16日の県議会本会議では、声を詰まらせながら理解を訴えたという。「がれきを何とかして欲しい」という被災地の生の声を聞いた以上、何とか協力できないものか・・」(2/17 読売新聞)という知事の言葉に賛意を示す県民も多いが、その声は狂信的とも思える反対派の怒号に消されてしまうのが実状だ。

 これに追い打ちをかけるように、15日付の東京新聞は人気のコラム「こちら特報部」で「『がれき 復興の足かせ』疑問 広域処理は問題の山」の見出しでNGOの「環境総合研究所」の池田こみち副所長(女性です)のコメントを載せ、「被災地に何度も足を運んでいるが、『がれきがあるから復興が進まない』という話はきかない。被災地では、住宅再建や雇用の確保、原発事故の補償を求める声が圧倒的だ」と、がれき処理は被災現地での優先課題ではないかのように読者を誘導する記事を掲載した。確かに、がれきは現在、被災した市街地から海岸部の平地に移されており、日常的に瓦礫の山を目撃することがなくなった市民は、がれき処理は喫緊の課題ではないと感じているのかも知れないが、山積みされたがれきは、異臭を放ち、自然発火し、さらには粉じんを空気中に撒き散らす。街の復興の大きな障害になることは明らかであり、「復興の足かせでない」はずがない。元々池田副所長は「がれきを埋めて、海岸線にスーパー堤防を築く」復興案を提唱している人物であり、持論の実現のためにも「がれき」の広域処理には反対の立場なのだ。この記事の影響は大きいようで、放射線アレルギー症に罹患した人々で構成された団体のHPでは、鬼の首でもとったかのように、この池田こみち氏のコメントを引用して「放射能ガレキ受け入れ反対」で大フィーバしている。細野環境相は、17日の記者会見で「メディアは社会全体に非常に大きな影響力がある。被災地の復興が重要であることには異論はないと思う。であれば、廃棄物は被災地で処理すればいいという話ではないことを理解して欲しい」といらだちを露わにした(2/22 読売新聞)という。


  
    東京新聞の事実誤認記事

 瓦礫の焼却灰の埋め立て基準について国民に分かり易く伝えることができなかったことなどを含めて、瓦礫広域処理推進にあたっての政府の無能ぶりは目を覆うばかりであるが、結果として被災現地の声を歪めて、瓦礫受け入れ反対派を勢いづかせる記事を掲載した大手メディアの責任も厳しく糾弾されるべきである。

瓦礫受け入れに積極的な橋下徹大阪市長は、慎重姿勢の民主系市議に対して「金だけ出して世界からバカにされた湾岸戦争の屈辱を思い出す。本当に日本は情けない国になった」と批判した(2/22 読売新聞)ようであるが、全く同感である。

瓦礫の県外搬出が全く進捗しない現状に危機感を募らせたのか?・・・宮城県は、沿岸12市町から委託されている瓦礫処理のスピードアップを図るため、最も大量の瓦礫を発生した石巻市などから、県東部や南部に建設する処理施設へ瓦礫を移し、分散処理する県内版の「広域処理」を進める方針を決めた(2/23 読売新聞)という。どうやら瓦礫処理でも、声が大きい放射線アレルギー症患者が確実に勝利を収めつつあるようです。「絆」など絵に描いた餅のとんでもない日本になったものです。アハ。

関連記事:放射線アレルギー症患者の請願が市議会を動かす(三田市議会での震災瓦礫[がれき]受け入れ是非論議)    
     (2012.2.26)
          三田市は「震災がれき」を受け入れよう!!(2012.3.21)
     


                     トップページに戻る






  
  







































inserted by FC2 system