またしても仕分けの茶番劇                   2011.3.10   



 政府の行政刷新会議は、6日と7日の両日、企業活動の妨げになっている規制緩和を主たる目的とした「規制仕分け」を実施しました。支持率低下に喘ぐ政府は、統一地方選挙を前に「事業仕分け」の熱気の再来を期待したのかも知れませんが、国民の関心は低く思惑どおりにはいかなかったようです。

 
 昨年の事業仕分けは、仕分け結果が有力者の発言で簡単に覆ったり、所管省庁の反撃で骨抜きにされたりと、100を超える事業で仕分けの結論が反映されず、人気とりのためのパフォーマンスに過ぎないとの批判に晒されました。仕分け作業を行うにあたっての共通の戦略的方針が存在しない、仕分けチームが下した結論が法的な拘束力を持たないなどに始まって、仕分けチームの人選の過程が不透明、仕分けチームに国会議員が加わるのは国会法(行政府の役職に就けるのは、大臣や政務三役等に限られる)違反、民主党政権が講じた予算措置を政権自らが仕分ける矛盾、世間受けのする案件ばかりが対象、審議時間が短すぎるなど様々な欠陥を指摘された事業仕分けでしたが、これらの問題点がほとんど解決されないまま今回の規制仕分けが行われました。

 
 事業仕分けでは、結論まで出しておきながら最終的にそれが否定されてしまう恰好の悪さを露呈させたためか、今回の規制仕分けでは、結論には踏み込まず、方向性を打ち出すだけにとどめ、仕分けの結果は閣議決定する「規制見直しに関する対処方針」に反映する予定のようです。しかし、根本問題を解決しないままでの仕分け作業の強行は、その結果が事業仕分けと同じ末路を辿るであろうことを容易に想像させます。

 新聞報道によると、例えば、初日(6日)に取り上げられた医薬品のインターネット販売規制のテーマでは、「緩和を検討すべき」との方向性が示されましたが、規制緩和に反対の立場の薬害被害者団体から、「5年をかけて決めた結論を僅か2時間の審議で覆された。・・最初から結論ありきで、とりあえず反対派の意見を聞いたという口実にされた。・・」と激しい反発を受けたほか、平田健二参院幹事長が「原則禁止を貫くべきだ」と発言したり、樽床伸二衆院国家基本政策委員長がこの問題に関する議員連盟を発足させて反対姿勢を示すなど、政権与党の民主党内部から早くも仕分け結果に反発する動きが出ています。このテーマでは、連舫行政刷新担当大臣からの「対面販売の方がネット販売よりも副作用のリスクが低いというエビデンスがあるか」の質問に対して、大塚耕平厚生労働副大臣がデータを示せなかったことが規制緩和の方向性を打ち出す決め手になったようですが、もともとデータが無いまま、被害者が出る前に規制強化に踏み切ったものを、いまさらデータが無いからといってそれを緩和するのでは、全く理屈に合いません。

 
 仕分けの茶番劇を演じてでも政権浮揚を図りたいというのが菅政権の本音と思いますが、茶番劇の公演には大金が必要です。無駄遣いの撲滅を呪文のように繰り返す菅政権には、まず仕分けの妥当性を仕分けてもらいたいものです。




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