ニュージーランド(クライストチャーチ散策、マウント・クック国立公園ウォーク)                       
                                                                 2008.6.11−16
 
 


< イントロ >

 2007年のオーストラリア旅行で日本とは一味違う大自然の素晴らしさを楽しんだN子と私。今夏は、南半球の楽園と称されるニュージーランドに足を延ばすことにしました。例の如くJTB旅物語のパンフレットにあたって「美しきニュージーランド周遊 6日間」にエントリーしました。

 ニュージーランド航空機で夜間移動して、翌昼にオークランドへ。市内観光後、ここで一泊して、翌朝クライストチャーチへ飛んで、市街巡りをした後、バスでサザン・アルプスを眺めながらクイーンズタウンまで走る。ワカティプ湖畔に泊まり、翌朝一番にミルフォードサウンドに移動する。世界自然遺産のフィヨルドでクルージングを楽しんだ後、クイーンズタウンに戻って二泊目。翌日はマウント・クック国立公園でウォーキングを楽しむ。

 現地滞在僅か4日間で一番美味しい所を廻ってしまおうというタイトスケジュールのツアーですから、冒険ができる半日フリータイムの設定はありません。しかし、クライストチャーチとマウント・クック国立公園では短時間ですが、自由時間を与えてもらえるようです。さて、今回は?
   
 


< ニュージーランド航空 >

 今回の旅では、航空会社人気ランキングで常に上位を占めるニュージーランド航空機に乗るのも楽しみの一つでした。まず座席位置は私たちの希望どおりとってくれました。キャビンアテンダントの皆さんは、快活でフレンドリー。ニュージーランド人のスタッフが日本語を自由に操るのにもビックリ。機内食(p1)(p2)も十分に満足できる水準で、ビールにワイン、そしてシャンパンまで頂いてしまいました。(エコノミークラスでシャンパンまで飲めるとは驚きでした)

  
    p1 機内食(夕食)         p2 機内食(朝食)

 直行便(NZ090便は成田発、関空経由オークランド行き)ですから乗客のほとんどがニュージーランド人と日本人。心安らかに座っていられますし、トイレは何時でも綺麗でした。(機内通路でN子にぶつかってきて、sorryの一言も無しで、当て逃げをしたエミレーツ航空の乱暴な中国人女性スタッフ、寄付金のコインを入れたユニセフのドネーション袋を渡しても、何だこれは・・?とでも言うような厭らしい仕草で受け取るエミレーツ航空のアジア系女性スタッフ、香港を出発して僅か二時間ほどでトイレが修羅場と化したキャセイパシフィック航空の掃除嫌い?の女性スタッフ・・などのアテンダントの皆さんたちと比較すると格段に教育が行き届いているように感じました)

 飛行機の居心地の良さは、乗員(アテンダント)と乗客の民度で決まるのだ・・などと、ここでも私の感情は日本万歳の国粋主義に支配されてしまうのでした。


< オークランド から クライストチャーチ へ >

■ オークランド
 ツアー二日目の午後はオークランド。マウント・イーデンの丘から緑に溢れた美しい街並み(p3)を眺めて、はるばるニュージーランドまでやってきたことを実感し、ハーバーブリッジ(p4)や市街(p5)を巡ってから、国立海洋博物館(p6)の東側にある本日の宿泊地コプソーン・ハーバー・シティ・ホテルに到着する。ホテルを抜け出して、一頻り雑貨屋探しをするともう夕刻。ハウラキ湾に面したキー通り(Quay St.)沿いの夜景(p7)が幻想的でした。

    

   p3 緑豊かな街並み        p4 ハーバーブリッジ       p5 スカイタワーと市街

  
   p6 国立海洋博物館         p7 キー通りの夜景

■ クライストチャーチ散策
 ツアー三日目は、早起きして一気に南島の深部のクイーンズタウンまで入る長丁場です。まず、7:50AM発の飛行機で「イギリス以外で最もイギリスらしい街」と形容されるクライストチャーチへ飛ぶ。大聖堂(p8)の前で、いったん解散して自由行動となる。トラム(p9)で街を一回りしたかったが、時間的に無理なので、秋色が僅かに残るクック像(p10)のあるビクトリア・スクエアから、パンティングと呼ばれる英国風の舟遊びで知られるエイボン川(p11)に沿って追憶の橋(p12)まで歩く。

 その昔、英国の自治領だったニュージーランドは、イギリス連邦の一員として第一次世界大戦に参戦し、この橋を渡って大勢の若い志願兵が欧州や西アジアの戦線に向かった。橋の入り口にあるアーチ型の立派な門(p13)は、この美しい故郷を想いながら戦場で散った多くの兵士を追悼するために建てられたという。若き日のメル・ギブソンが主演したオーストラリア映画の秀作「誓い」(原題名:Gallipoli)の哀しく壮絶なラストシーンが頭をよぎる。映画の舞台となった「ガリポリの戦い」では、7500人を越えるニュージーランド軍将兵が死傷した。国を愛し、故郷を想う人の心は、どの国でも同じだと改めて感じる。
    
     p8 大聖堂          p9 路面電車のトラム     p10 ジェームス・クック像

    

    p11 エイボン川          p12 追憶の橋         p13 追憶の橋の門

■ クイーンズタウン へ
  クライストチャーチからは、真面目でフレンドリーな若いドライバーが運転するドイツ製の中古バスに揺られてクイーンズタウンに向かう。車窓には、黄緑や茶色に覆われた起伏の緩やかな丘陵(p14)にヒツジが放牧されている(p15)典型的なニュージーランドの風景が延々と広がる。やがて右側に雪を頂いたサザン・アルプスの山々(p16)が姿を現す。テカポ湖畔(p17)で一休みして、ウトウトとしだす頃、あたりは夕闇に。ワカティプ湖畔のクイーンズタウンに到着したときには、すっかり暗くなっていました。運転手さん、ご苦労様でした。

    

    p14 牧草地          p15 牧草地と羊の群れ     p16 雪を頂いたサザン・アルプス


p17 テカポ湖畔の善き羊飼いの教会


< ミルフォード・サウンド >


 ツアー4日目は、世界自然遺産フィヨルドランド国立公園のミルフォード・サウンドでのクルージングです。クイーンズタウンからバスで5時間半の長丁場。険しい山岳道路を走るためか、昨日の真面目ドライバーさんに代わって、今日は頭を短く刈り込んだサングラスのお兄さんです。

 フィヨルドランド一帯は、ニュージーランドで最も雨の多い地域です。案の定、ティアナウ湖が見え出す頃には、本降りの雨になってしまう。ミラー湖の本来鏡面となるべき湖面も雨で無残な姿を晒していました。ところが、ディバイドを過ぎて、山あいを縫う細い急峻な山岳道路をミルフォード・サウンドに下る途中で、この雨が奇跡的にあがってしまうのです。窓の外には、道路の両脇にそそり立つ岩壁から無数の滝が流れ落ちる(p18)絶景が続き、車内はウォー! 凄い! キャー! ・・の感嘆の声。絶景を横目にバスは車一台がやっと通れるくらいの狭い山岳道路を猛スピードで走り抜ける。ドライバーの運転技術の素晴らしさにも圧倒されました。

 興奮が冷めないまま船着場に到着すると、前方には雨上がりの幻想的な入り江(p19)が広がっている。早速、遊覧船(p20)に乗り込み、幾筋もの滝が流れ落ちる岩肌(p21)を仰ぎ見ながらのクルージングを楽しむ。最大の滝ボーエン・フォール(p22)も凄まじい水量でした。

    
 p18 岩壁を落ちる無数の滝        p19 入り江             p20 遊覧船

  
   p21 クルージング      p22 ボーエン・フォール

 本日の大仕事は、これでおしまい。クイーンズタウンに戻って少しばかりゆっくりできるようです。ドライバーのお兄さんに「あんたの運転技術は素晴らしい」と褒めると、嬉しそうに頷いていました。

道路沿いに眺められるほとんどのニュージーランドの山々には木がありません(p23)。荒野を切り開き、ヒツジのための牧草地を造成する過程で必然的に森林を失ったようです。クイーンズタウンには、夕刻前に到着し、ワカティプ湖畔(p24)のショッピングモール(p25)近くで解散し、宿泊するコプソーン・ホテルには各自で向かうことになる。例のごとくスーパーを見つけて、ニュージーランド産のハチミツを買い込む。

    
  p23 緑を失った山々         p24 ワカティプ湖        p25 ビーチ通りの店舗



< マウント・クック国立公園 >


■ マウント・クック・ビレッジ へ

 ツアーの実質的な最終日である5日目は、私が一番楽しみにしていたサザン・アルプスのマウント・クック国立公園に向かいます。未だ暗いうちに出発し、真面目ドライバーさんのサービスで、開拓時代の街並みが残るアロータウンに立ち寄り、さらにクロムウェル経由でアオラキ/マウント・クック・ビレッジを目指す。

 ガイドブックによると、この一帯の年間降水量は4000mm、降水日数は149日であり、マウント・クックの姿をはっきり見るには「幸運」が必要であるらしい。カナダでスキーのインストラクターをしていたというしっかりお姉さんタイプの女性添乗員さんも、この時期にマウント・クックの全容を望めることは、まれだと言う。

 しかし、今日の天候は、この時季には珍しく快晴である。テカポ湖畔を東進すると、期待どおり車窓前方にサザン・アルプスがくっきりと姿を現す(p26)。雲の切れ間からマウント・クックの山頂(p27)も顔を出し、バスの中で歓声が上がる。「皆さんはツイテますね」の添乗員さんの言葉にツアー仲間の皆さんの興奮は、頂点に達します。

   

p26 車窓からのサザン・アルプス   p27 雲から顔を出すクック山頂

■ 「晴れ女」はだれ?
 昼食はビレッジ内にあるザ・ハーミテージ・ホテル(p28)のレストランです。昼食のテーブルから窓越しにマウント・クック(p29)が眺められるとは思ってもいませんでした。食後のデザート(p30)を楽しみながら、昨日と今日の二日間に渡る「奇跡の天候」の話題に花が咲きます。海外旅行では、バスなど屋根のある交通手段での移動中は別にして、観光目的の徒歩での移動中に雨に降られたことは一度も無い・・と、「晴れ女」を自称する女性がツアー仲間に少なくとも三人いることが分かりました。(そのうちの一人はN子なのですが・・これは皆さんには完全黙秘しました)晴れ女が三人もいたら、天気の神様も手加減せざるを得ないでしょうね。

    
p28 ザ・ハーミテージ・ホテル     p29 窓越しに望むクック山         p30 デザート


■ ボーエン・ブッシュ・ウォーク/ケア・ポイント・ウォーク
 昼食後は、暫し自由時間です。まず、ホテル前でマウント・クック(p31)をもう一度写真に収めてから、東側のボーエン・ブッシュ(p32)を歩きました。ホテル前の駐車場に戻ると、添乗員さんが「こちらに好い所がありますよ」と誘ってくれて、単独行のお父さんを含めた4人で駐車場から西側に向かいました。一頻り進むと前方正面にマウント・クック(p33)を見ながら歩ける小道がありました。これがケア・ポイント・ウォークと呼ばれる人気のハキングコースの一部であることを知ったのは、ずっと後になってからのことです。

       
  p31 マウント・クック        p32 ボーエン・ブッシュ    p33 ケア・ポイント近くからのクック山

■ クライストチャーチ へ
  テカポ湖畔を走るバスの車窓からマウント・クックの雄姿の見納め(p34)をして、一路、クライストチャーチに戻ります。到着は夜になる見込みで、しかも明朝は、5:40AMのフライトですからトラム(p9)に乗るのは、またの機会にお預けです。夜はフラワーディナー(p35)をいただいて疲れが取れました。

   
p34 車窓からのクック山(右端)     p35 フラワーディナー    


< エピローグ >
 

  次々と目の前に現れる穏やかで美しい風景、優しくフレンドリーな応対。偏屈な性格の私でも、厭な気持ちになったことは一度もありませんでした。スケジュールは極めてタイトでしたが、心は癒された。そんなニュージーランドの旅でした。殺伐とした日常生活に疲れた皆さんに、精神的にリフレッシュできる旅行先として自信を持ってお勧めしたいと思います。

 ニュージーランドが、商業主義/拝金主義に毒されて東アジアの新興経済国家から成金旅行者を誘致して、世界中から嫌悪されている彼らの厚顔無恥、傍若無人な行動によって自然の聖地ともいえるこの美しい国を汚されてしまわないことを切に祈ります。



 



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