大原山(元山上口駅→千光寺→鳴川峠→大原山→神津嶽→枚岡駅) ルートMAP1  ルートMAP2   


< プロローグ >

 生駒山を東側から西側に横断するルートは、近鉄生駒駅から宝山寺を経由して山頂を目指すコースと、近鉄生駒線沿いの元山上口から鳴川峠に上がるルートの二本が良く知られている。今週末は雨模様になるらしいので、雨の心配がない4/13(月)に後者のルートで生駒山系の稜線にある大原山(522m)に上がってみることにした。

 登山ガイドブック(注)を参考に近鉄生駒線の元山上口駅を起点に鳴川地区にある役行者ゆかりの名刹「千光寺」を経て鳴川峠へ。さらに生駒の稜線を北上して横峰山と大原山の山頂を踏んでから、神津嶽コースを下って近鉄の枚岡駅に降りることにする。 (注)「大阪府の山」(山と渓谷社 初版第1刷 2010/3/30)


   日時:2017年4月13日(月)   天候:晴れ

   ルート:近鉄元山上口駅 → 生駒山口神社 →   千光寺   → 鳴川峠
         11:20    11:40/11:45    12:35/13:05   13:40

       →  大原山  → 神津嶽ふれあい広場 → 近鉄枚岡駅
        14:05/14:40     15:10        15:50



< 山行記録 >

【 元山上口駅から千光寺へ 】
 近鉄生駒駅で王子駅行各駅停車に乗り換え、進行方向右手の車窓に生駒山(p1) を眺めながら生駒線を南下する。元山上口駅で下車し、ホームのベンチで身支度をする。ネット情報では、元山上口駅は「無人駅」とのことだったが、 駅施設が工事中のようで今日は駅員が駐在している。持参したSOYJOYバー2本(計270kcal)を胃袋に詰め込み、カッターシャツ1枚になって出発する。

   
   
p1 車窓からの生駒山


 線路の東側にある改札
(p2) を出て、駅前のバスターミナル(p3) に沿って50mほど北上し、踏切(p4) を西方向に渡る。北西方向に延びる緩い上り勾配の舗装道路(p5) を進む。初夏を思わせるような厳しい陽射しが左手上方から降り注いでいるが、空気が乾燥して風も強いためか暑さは感じない。 歩道脇の「千光寺2.4km、鳴川峠4km」と表示した道標を確認して舗装道路(p6) を道なりに進む。


 
p2 元山上口駅   p3 バスターミナルを北上   p4 踏切を渡る  p5 舗装道路脇を進む  p6 歩道を行く


 突き当たった変則型の十字路
(p7)を赤矢印のように進んで、左手が郵便局で突き当たりが幼稚園の三叉路(p8)で右折する。次の十字路(p9)で左折して緑ヶ丘住宅地内の「北小学校」の東側の見事な桜並木(p10)に沿って進む。今年の関西地区のサクラは満開宣言が出て既に1週間が経過しているが、未だに見応えのある開花状態を維持している。一気に満開になった後、激しい風雨に晒されて瞬く間に散ってしまった昨春とは様変わりだ。サクラの神様の温情でしょうか・・。

    
 
p7 十字路を渡る    p8 郵便局で右折   p9 十字路を左折   p10 小学校脇を北上


 小学校の北側のこんもりした小山を左手に見上げながら舗装路
(p11)を北方向に進んで、赤い鳥居の手前で右折する(p12)。坂道を東方向に下ってからU字型に旋回して(p13)今度は西方向に舗装路(p14)を進むと、生駒山口神社の石造りの鳥居(p15)の前に出る。元山上口駅から20分強である。


p11 北方向に進む   p12 鳥居の手前で右へ p13 下ってU字旋回 p14 鳥居の前に出る  p15 階段を上がる


 70段あるらしい石段を登って、誰もいない社殿
(p16)前で今日の山行の安全を祈願する。山口神社からは、小さな神前橋(p17)を渡って、西方向に延びる狭い舗装道路(p18)を進んでから、右方向に回り込む。次の三叉路(p19)を道標に従って右方向に進むと、右手に棚田が続く長閑な一本道(p20)になる。元山上口駅から30分弱である。


p16 山口神社の社殿  p17 神前橋を渡る  p18 右手の坂道へ  p19 三叉路を右へ  p20 長閑な一本道


 東側の緑ヶ丘住宅地の後方には、南北に長く伸びる矢田丘陵
(p21)が横たわり、前方には今日の目的地である大原山から東方向になだらかに延びる稜線(p22)が見えてくる。分岐を右(p23)へ、右(p24)へと進んで、左手の櫟原集落へ向かう地道をパスすると、左手道路脇に複数の石仏(p25)が置かれ、綺麗な花が添えられている。暫し、道中の安全を祈願する。


p21 矢田丘陵を望む  p22 前方に稜線   p23 分岐を右に   p24 分岐を右へ   p25 道路脇の地蔵  


 右手眼下の美しい里山風景
(p26)を眺めながら一息いれる。沢(鳴川川)を跨いで木立を抜けると、突然、前方頭上に「信貴フラワーロード」の架橋(p27)が現れる。架橋下を抜けると、いよいよ山道(p28)の雰囲気になり、「猪出没注意」の看板(p29)にも遭遇する。

    
 
p26 美しい里山風景  p27 架橋下を抜ける  p28 いよいよ山道に   p29 イノシシ警告板


 沢に沿って進む
(p30)と、左手に高さが10mはありそうな巨大な岩塊(p31)が現れ、傍らに「史跡 清滝石仏群」と書かれた表示柱(p32)が立っている。周辺の苔むした岩壁には多くの磨崖石仏(p33)(p34)が彫られている。石仏を凝視していると、辺りの静寂さも加わって、ゾクッとするような不思議な霊感が湧いてくるようだ。


p30 橋を渡らずに直進  p31 巨大な岩塊  p32 表示柱   p33 磨崖石仏(1)    p34 磨崖石仏(2)


 再び陽光を浴びながら旧参道
(p35)を進む。「揺動(ゆるぎ)地蔵尊」(p36)を右手にパス(p37)して、屋根瓦も造作も圧倒されるほどに立派な民家が続く「鳴川の集落」を左手に見ながら旧参道の舗装道路(p38)を進む。厳しい上り勾配(p39)を登り切ると、前方の満開のサクラの後方に千光寺の山門(p40)が見えてくる。

     
 
p35 旧参道を鳴川集落へ   p36 揺動地蔵尊      p37 地蔵尊で左折

     
 
p38 鳴川集落を抜ける    p39 急勾配の舗装路    p40 桜の後方に山門


【 千光寺 】
 山門(p41)の脇に立つ石柱には「元山上 鳴川山 千光寺」と書かれている。ネットにあった『役行者が大峰山の山上ヶ嶽を修験の場とする前にこの千光寺で修行したことから「元の山上ヶ嶽」という意味で「元山上」と呼ばれている』という情報を思い出す。山門の左手には、発電用の「水車」(p42)が設置され、その隣にはトイレもある。左手奥の石段を上がると、千光寺(p43)である。

      
   
p41 千光寺の山門     p42 発電用の水車     p43 千光寺への石段


 本堂
(p44)前で参拝する。人の気配は全く無く、辺りは静寂そのものだ。ここからは、ガイドブックにある千光寺の裏山を西方向に抜ける行場道を辿ることにする。まず、手水舎の左手(p45)から奥に向かう。弁天池の左手を西方向に延びる石段(p46)を上がり、登り切って(p47)から左手に進んで、コンクリート道(p48)を行くと行者堂の横に出る。

  
                
p44  千光寺の本堂

    
  
p45 水手舎の左手へ   p46 弁天池横を進む  p47 石段を登って左へ  p48 コンクリート道を進む


 行者堂の向かって左側を進むと、裏山に入る小道
(p49)がある。踏跡を進むと、左手が「滝の行場」(p50)らしいが荒れ放題だ。ここは、ガイドブックに紹介されている右手のこの桟道(p51)を行くことにするが、木製の梯子には落葉と土砂が堆積していて、人が通っ(かよっ)ているような気配は感じられない。木製の手摺りには針金が巻かれて補強されているが、強度的には何とも頼りない。桟道の右側に垂れている鎖(p52)を掴んでここを登り切り、さらに鎖に完全に頼って右方向に這い上がって岩場の横に出る。ところが、ここから奥ノ院へのルートが見つからない。(帰宅後にネット情報にあたると、この岩場が「奥の院」そのものだったようで、岩場を左手[西方向]に進めば尾根道に出られたことが判明。「奥の院は建造物」という思い込みによる失敗でした)

      
 
p49 行者堂の横を進む   p50 滝の行場      p51 桟道を行く   p52 鎖が頼りです


 堆積した落葉が踏跡を消しているのか・・、岩に印でもあれば・・などと、右往左往。結局、ここで足を滑らせて落ちると一大事なので行場道を辿るのは諦めることにした。 [帰宅後、近くの書店で前述の登山ガイドブック「大阪府の山」の最新版(2016/4/15発行 初版第1刷)を確認したところ、今回参考にした行場道は "上級者向き" として割愛されており、代わりに後述する「近鉄てくてくマップ(大阪-3)」で紹介されているルートが「正規ルート」として採用されていました。道が荒れているので、山と渓谷社も推奨ルートを変更せざるを得なかったのかも知れません。]


【 鳴川峠へ 】
 登ってきた桟道を再び鎖に頼って慎重に降りて、行者堂の前で国土地理院の25,000分の一地形図を確認する。鳴川峠に向かうには、「鳴川川」に南北から流れ込む二つの支流の各々に沿って西方向に向かう二つの山道と、千光寺の西側の380mピークを通って「西の覗き」の北側に至る山道の少なくとも三つのルートがあることが分かる。行者堂の直ぐ北側にも山道(p53)が来ており、これが千光寺の北側を鳴川川の支流に沿って西に延びるルートと繋がっているようなので、この山道(p54)をいったん北に進んでから右(西方向)に折れることにする。既に13:00を回っているが出発前に食べたSOYJOYバーが効いているのか空腹感はない。

         
     
p53 行者堂の北側へ    p54 千光寺の北側の山道を西へ


 だらだらとした上り坂の山道
(p55)(p56)を8分ほど歩くと、分岐(p57)がある。地形図から左手に沢沿いに進むと池に出るだろうと予想して進むが、石仏が置かれたポイント(p58)からは先は道が消えている。分岐に戻って今度は右手に進む(p59)

         
   
p55 上り勾配の山道(1)    p56 上り勾配の山道(2)     p57 分岐   


      
      
p58 石仏       p59 分岐に戻って右へ


 緩い上り勾配を7分ほど歩くと、左手から山道が合流する三叉路
(p60)に出る。南側に鉄塔が立ち、頭上を送電線が走っている(p61)のでルートMAPの "分岐1" であることが分かる。さらに倒木を越える(p62)など5分弱歩くと、再び左手から道が合流する三叉路(p63)に出る。

   
p60 左から山道が合流   p61 頭上に送電線    p62 倒木を越える   p63 行者道との分岐


 この分岐に立つ石柱
(p64)には「右 行場」、「左 元山上千光寺」と書かれている。どうやらこのポイントがルートMAPの "分岐2" で、行場道の西側の入口らしい。このポイントから行者道を東に進めば西の覗きの北側を抜けて380mピークに至るようだ。また、いま歩いている山道は鳴川峠から東に進んで千光寺の裏山の北側を通って千光寺に至る正規ルート(「北ルート」)であることも分かった。

       
       
p64 分岐の石柱


 さらに13分ほど歩くと、再び左手から山道
(p65)が合流する。標識(p66)には「千光寺」と表示されており、頭上に送電線(p67)が走っているので、ここがルートMAPの "分岐3" で、千光寺の南側を鳴川川の支流に沿って鳴川峠に向かう「南ルート」との合流点であることが分かる。 
         
   
p65 左手から山道が合流     p66 道標      p67 頭上の送電線


 分岐からは雰囲気の良い幅広の登山道を5分ほどで、信貴生駒スカイラインの下を潜るトンネル
(p68)に至る。鳴川峠から千光寺に向かうハイカーのほとんどは、先ほどの「南ルート」を使うようで、この僅か5分ほどの間に二組のハイカーとすれ違った。[ 帰宅してからネットで、近畿日本鉄道の「近鉄てくてくマップ(大阪-3) 千光寺・鳴川峠コース」
http://www.kintetsu.co.jp/zigyou/teku2/pdf/osaka03.pdf )が、この南コースそのものであることを知って納得する]
   
   
p68 トンネルを潜る


【 大原山へ 】
 トンネルを潜ってから階段(p69)を上がると、左手に「鳴川峠」の標識(p70)がある。ここからは、だらだらの上り勾配(p71)の生駒縦走歩道を北に辿る。すれ違うハイカーの数がいっぺんに増える。

         
    
p69 階段を上がる      p70 鳴川峠の標識     p71 生駒縦走歩道を北へ


 鳴川峠から13分ほどで横峰山[474m]
(p72)を通過する。神感寺への分岐(p73)をパスして、さらに長いだらだら坂(p74)を登り切ると、登山道の左手にベンチが置かれた広いスペース(p75)がある。近くの木幹に私製の「大原山」と表示した木板(p76)が掛けられている。ここが大原山の山頂だ。鳴川峠から24分ほど要した。

         
   
p72 横峰山の山頂表示    p73 神感寺への分岐     p74 生駒縦走路を北へ

      
    
p75 大原山の山頂      p76 私製の山頂表示


 山頂スペースの北端に設けられている東屋
(p77)で遅い昼食とする。朝一は冷え切っていた缶ビールだが、断熱材にくるんでいても既に生暖かくなっている。いよいよ保冷剤が必要な季節になったようだ。東屋の軒下に貼られた面白い表示(p78)に気がついて、吹き出してしまう。

           
       
p77  東屋           p78 軒下の警告表示


【 神津嶽コースを下って枚岡駅へ 】
 大原山からは西に進んで、「ぼくらの広場」(p79)に出る。ここは絶好の展望ポイントだが、大陸からの黄砂や毒ガスの影響か、生憎の見通しだ。南方向の大和葛城山や金剛山(p80)も遠く霞み、西方向の大阪市街(p81)もガスに沈んでいる。トイレ(p82)が設置されている広場の北側からはアンテナが林立する生駒山の山頂(p83)も見える。

         
    
p79 ぼくらの広場      p80 金剛山・葛城山      p81 大阪市街

         
   
p82 ぼくらの広場のトイレ       p83 生駒山頂


 ぼくらの広場からは、「神津嶽ハイキングコース」と表示された道標
(p84)を目印に大原山から西方向に延びる尾根筋を下る。登山道(p85)は良く整備されて歩き易い。登山道沿いにはサクラが満開状態のまま残っており(p86)、春をたっぷり楽しむことができる。ぼくらの広場から23分ほどで、神津嶽ふれあい広場の休憩所(p87)に到着する。2〜3組のシニアのハイカーが休憩中だ。
        
    
p84  道標       p85 登山道      p86 満開のサクラ    p87 休憩所


 休憩所からはサクラ
(p88)を眺めながら5分ほどで枚岡山展望台(p89)へ。さらに七曲がり(p90)の急坂道を経てサクラが満開(p91)の枚岡神社の南側の公園に到着する。ぼくらの広場から43分ほどである。

       
 
p88 満開のサクラ   p89 枚岡山展望台     p90 七曲りの標識    p91 神社の南側の公園


 枚岡神社の南側の鳥居
(p92)を潜って本殿(p93)に参拝する。本殿の西側の石畳の参道を歩くと、2分ほどで近鉄奈良線の枚岡駅(p94)に到着する。ぼくらの広場からは休憩時間を含めて55分である。

         
    
p92 枚岡神社の鳥居     p93 枚岡神社の本殿      p94 近鉄枚岡駅



< エピローグ >
 好いコースです。特に、前半は「鳴川川沿いの長閑な田園風景」、「清滝石仏群の不思議な霊妙感」、「鳴川集落の民家の普請美」、「千光寺の静寂な佇まい」など見所が沢山あります。難をあげれば、千光寺から鳴川峠へ向かうルートに面白みが欠けることかも知れませんが、これも「近鉄てくてくマップ(大阪-3)」で紹介されている南回りコースを選択すれば解決するかも知れません。

 鳴川峠から「生駒縦走歩道」を歩き、さらに神津嶽ハイキングコースを下る後半部分は、開発され過ぎて俗っぽいルートですが、割り切ってしまえばそれなりに楽しめます。見通しが良い日であれば、「ぼくらの広場」からの展望も素晴らしいでしょう。また、神津嶽コースは歩き易く、疲れた脚での「下り」に優しい点が好いと思います。

 今回歩いた千光寺から鳴川峠への「北回りルート」は道標がほとんど無いため、地形図とコンパスは必携です。

 (2017.6.23 記)


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