薬師岳[2926m] 所在地:富山県富山市 ルートMAP |
<イントロ> 近場の「ヤブ山歩き」に飽きてしまった国粋爺さん、 テントを担いで36年ぶりに北アを歩いてみる気になった。 ターゲットを37年前に山頂を踏み損なった「薬師岳」(p1)に決めて準備を進めてはみたが、目標にしていた7月下旬は雨だらけ。東北地方と北陸地方が「梅雨明け」したのは、平年に比べて一週間以上遅い8月3日だった。しかし「梅雨明け」後も天候は不安定で、富山県東部の山岳地域は連日、午後には雷雨になるとの予報が出ている。太平洋高気圧が北に張り出してくるのは6日以降になるとの予報を手掛かりに移動日を6日に設定し、富山で前泊し、翌7日に折立登山口から山に入る計画として、JR富山駅6:20発の「折立行き直行バス」を予約する。 |
日時 : 2013年8月7日(水) 〜 8月9日(金) 8/7(水) JR富山駅 → 折立登山口 → 三角点 → 太郎平小屋 → 薬師峠(泊) [快晴] 6:20 8:15/8:40 10:25/10:35 13:50/14:30 14:45
[晴れ] 6:20 8:00 9:20/9:50 12:00/13:00 13:25/14:00 17:25
[晴れ] 8:40 9:40 < 折立登山口へ > 6日、貯め込んだ「じゃらんネット」の3600ポイントを使って富山駅前のホテルに投宿する。翌7日朝、富山駅南口のバスターミナルから折立行きの直行バスに乗り込む。定員が40人くらいのエアコン付きの快適なバス(p2)で、乗車率は70%ほどだろうか。途中、一度トイレ休憩がある。37年前は富山地方鉄道の有峰口駅からバスに乗った記憶がある。エンジンルームが前方に突き出た所謂「田舎のバス」で、吊り革につかまって折立まで体力勝負の移動だったが・・。
p7 登山口の休憩所 p8 登山口のトイレと自販機 < 太郎兵衛平へ> 「太郎山を経て薬師に至る」と記された標柱が立つ登山口から山に入る(p9A)。すぐ左手に薬師岳で遭難した愛知大学山岳部員の慰霊碑が建てられている(p9)。暫し手を合わせる。水を2リットル詰め込んだ私のザックはせいぜい13kg余のはずだが、ズッシリと重い。しかし「蟹の甲羅」のような昔のキスリングザックに比べれば、背中にフィットする金属フレーム入りのこの縦長のザックは、はるかに背負いやすい。 p9A 登山口 p9 愛知大学パーティの慰霊碑 【 太郎坂 】 いきなり「太郎坂」と呼ばれる樹林帯の急登(p10)を行く。37年前は前夜移動で一睡もできないまま、この急登で体力を使い果たし、太郎平小屋まで2kmほどのところで体が完全に動かなくなり、同行したAさんに大迷惑を掛けてしまった苦い思い出がある。今回は単独行なのでバテて沈没するわけにはいかない。息があがらないようにゆっくり歩を進める。雨が続いたせいか登山道は「ぬかるみ」だらけだ。滑らないように慎重に足を運ぶ。体中から汗が噴き出す。樹林帯にはブナ(p11)も混じっており、大木を眺めながら一息いれる。 【 三角点 】 登山口から100分強で三角点(p12)に到着する。いっぺんに視界が開けて、薬師岳の山頂付近(p13)から立山方面(p14)まで見渡せる(p15)。生憎、剣岳の山頂付近は雲の中だ。ベンチが設置されていて10数人のハイカーが休憩している。私もここで小休止とする。 立山連峰を左手遠くに眺めながら炎天下の登山道を進む。振り返ると眼下に有峰湖(p16)が眺められる。だらだらとした上り勾配で、大小の岩が転がる幅広の登山道(p17)(p18)をあせらずにゆっくりと進む。右手には黒部五郎の秀麗な三角錐が現れ、左手には薬師岳の山頂付近がどんどん大きくなり(p19)、遠く太郎平小屋が見える(p20)。登山道脇にはニッコウキスゲ(p21)が群生しており、疲れた体を癒やしてくれる。やがてチングルマ(p22)が群生する木道(p23)が現れ、太郎平小屋が一際、大きく見えてくる。
p24 太郎平小屋 p25 太郎兵衛平の標柱 p26 太郎平からの展望 < 薬師峠へ > 太郎兵衛平からは、良く整備された木道(p27)を15分ほど下る。すぐに薬師峠のテント場(p28)が見えてくる。既に20張ほどが設営されている。管理棟に届出て¥500/泊を支払って南東側の隅にテント(p29)を設営する。水場は管理棟の西側にある。水量は豊富だが蛇口が少なく、飯時には混雑しそうだ。昔は屋根があったように記憶しているのだが・・。今は屋根なしだ。水場の近くにはトイレがあるが、昔と違って、水洗でしかも洋式便座なのにはビックリ。隔世の感ありとは、このことでしょうか? p27 薬師峠への木道 p28 薬師峠のテント場 p29 本日の宿泊所 < 薬師岳へ > 薬師峠の朝は早い。まだ暗い午前3:00頃から辺りは騒がしくなる。オットリ刀で5時頃にテントを出ると、もう皆さん出発するようだ。味噌汁と五目御飯で朝食を済ませ、ザックに雨具、防寒具、着替え、携帯食料、カメラなどを突っ込み、水を2リットル詰め込んで私も出発する。既に6:30近い。 【 薬師平へ 】 薬師峠からは岩塊が転がる沢沿いの登山道(p30)(p31)を行く。幸いに水量は、ほどほどで危険は感じない。(田部井淳子さんとNHKの内多勝康アナウンサーが夏の北アを縦走する山岳紀行番組「夏の北アルプス」では、大雨の直後に薬師岳からこの登山道を降りる様子が紹介されていたが、まるで激流を渡るような雰囲気でした・・が)ひとしきり登ると南方向に太郎平小屋が見える(p32)。広い河原(p33)を抜けて涼しい風が吹く雪渓(p34)を左手に見ながら進むと、木道が現れてコバイケイソウ(p35)が咲き乱れる薬師平(p36)に入る。薬師平からは南東方向に槍ヶ岳(p36A)が鮮やかに遠望できる。 p30 沢沿いの登山道 p31 岩塊だらけの登山道 p32 太郎兵衛平を望む p33 涸れた河原 p34 涼しい風が降りる雪渓 p35 群生するコバイケソウ p36 薬師平の木道 p36A 薬師平からの槍(後方左)
チングルマやミヤマキンバイが一面に咲くゴロゴロ岩の登山道(p37)を登り切ると、薬師岳山荘(p38)の横に出る。ここからは偽薬師と呼ばれる薬師岳の山頂稜線の南端が目前に迫ってくる(p39)。ガレた滑りやすいゴロゴロ道の急登を進む。振り返ると黒部五郎岳(p40)が圧倒的な迫力で追いかけてくる。
p41 偽薬師への斜面 p42 偽薬師の岩室 折立のテント場は5パーティだけ。南側の一画にテント(p48)を張ってノンビリする。テント場には水銀灯が設置され、一晩中点灯しているので懐中電灯無しでも行動ができる。ただし「ヤブ蚊」が多く油断は禁物。地面は平坦な柔らかい草地で、背中にマットを敷かずに熟睡できる。
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