阿武山[281m]→ 摂津峡 所在地:大阪府茨木市/高槻市 ルートMAP |
< プロローグ > 5/2 の竜王山の山行では、「茨木市で最も美しい」と称される竜王山の姿を眺めることができなかった。ネットにあたると阿武山(p1)の北側稜線からの竜王山の眺めが好いとの情報があったので雨の懸念がない5/11に阿武山に登ってみることにした。 p1 高槻市塚脇地区からの阿武山 阿武山は標高が300mに満たない低山であるが、自然が豊かで南北方向に長く延びる稜線上には「武士(もののふ)自然歩道」が整備されている。今回はガイドブック(注)を参考にして、山頂南側にある茨木市の「安威バス停」から武士自然歩道を北方向に歩いて山頂を踏み、下山は北側の月見台住宅地から摂津峡に入り、摂津峡公園を経て高槻市の「塚脇バス停」まで降りることにする。 (注) 大阪府の山(山と渓谷社 2016/4/15 初版第1刷) 日時:2017年5月11日(木) 天候:晴れ ルート: 安威バス停 → 稲月大神 → 阿武山古墳 → 阿武山 山頂 → 北大阪変電所 10:45 11:00 11:20/11:25 11:40 12:10 → 月見台バス停 → 摂津峡 白滝 → 摂津峡公園 → 塚脇バス停 12:20 12:40/13:10 13:25 13:40 所要時間(休憩・昼食時間を含む): 約3時間 < アクセス > AM8:20に自宅を出発。阪急茨木市駅西側のバスターミナルから「山手台7丁目」行の阪急バスに乗車する。車内の「バス停案内放送」と実際のバスの走行位置が食い違っていて少々慌てたが、事前にgoogleのストリートビューでバス停周辺の状況を把握しておいたお陰で、目的の「安威バス停」(p2)で間違いなく下車できた。 p2 府道46号沿いの安威バス停 < ゴーイングアップ > 【 稲月大神へ 】 頭上からは真夏のような強烈な陽射しが降り注ぐ。顔、首筋、両腕に日焼け止めクリームを塗りたくってから出発する。交通量の多い府道46号線沿いを北方向に進んで、長ヶ橋(p3)を渡った先の交差点(p4)を横断すると、「自然歩道入口」と表示した赤錆びた大きな看板の置かれた長い階段の登り口(p5)がある。傍らには「武士自然歩道」と書かれた比較的新しい標識柱(p6)も立っている。ここから稜線までは標高差100m強の上りである。 p3 「長ヶ橋」を渡る p4 交差点を横断する p5 武士自然歩道の入口 p6 自然歩道の標識 階段を登り切って(p7)、道標(p8)の「阿武山古墳→」の指示に従って右に折れて狭い山道(p9)を進む。 p7 階段を上りきって右折 p8 阿武山古墳への道標 p9 狭い山道を行く 急勾配の階段道(p10)を上って、左手が浅い崖になった一画(p11)を抜けると、今度は右手が浅い崖の区間(p12)になる。道は良く整備されて歩き易い。辺りは自然林に覆われて新緑がまぶしく、ヤマツツジも丁度、見頃になっている。 p10 急勾配の階段道 p11 左手が崖の一画を行く p12 右手が崖の一画を行く 分岐(p13)があり、どちらに進んでも阿武山に向かうようだが、右手に折れると阿武山稲荷の大鳥居(p14)がある。陽射しが厳しいので、いったん分岐に戻って左手に進む。二つの山道は合流して奥に小さな祠が見える木立に入る(p15)。これが稲月大神の祠(p16)のようだ。暫し今日の山行の安全を祈願する。 p13 どちらでもOK p14 大鳥居 p15 木立に入る p16 稲月大神の祠 【 阿武山古墳へ 】 祠からは左手(p17)に進む。下山途中のシニアの単独ハイカーとすれ違う。すでに阿武山の山頂から南方向に延びる稜線に到達しているようで、登山道はほぼ平坦な幅広道(p18) になる。さらに2分ほど歩くとコンクリート道(p19)に変わる。右方向への分岐(p20)があるが、これはパスする。(この辺りの稜線の東側は大阪学院大学の私有地のようで、その東側には大和住宅地が迫っている) p17 祠から左手に進む p18 平坦な幅広道になる p19 コンクリート道に変わる p20 右への分岐をパス 2分ほどで右方向への分岐があるY字路(p21)に出る。ここで右手に進むと直ぐにまたY字路(p22)があり、道標(p23)に従って左手の山道に入る。 p21 Y字路を右手に進む p22 次のY字路を左へ p23 阿武山山頂への 右手の金網フェンス越しに大阪学院大学のグラウンド(p24)を眺めてから再び稜線道(p25)を北上する。5分弱で右手の登山道脇に道標が立つポイント(p26)に至る。 p24 右手にグランド有り p25 再び稜線道を行く p26 道標ポイントで右折 ここから道標(p27)が示す「阿武山古墳」を目指す。いったん右手に折れてから南方向に延びる小道(p28)を行く。金網フェンズ(p29)に沿って進んでから小さな分岐で左手の木立に向かう(p30)。 p27 阿武山古墳への道標 p28 南方向に進む p29 金網フェンス沿いを行く p30 分岐を左手へ進む この木立(p31)の下に「貴人の墓」とも呼ばれている阿武山古墳の横穴式の石室(p32)が埋められている。阿武山古墳は、昭和9年に有馬・高槻断層帯に接するこの阿武山に京都大学地震観測所が建設されたときの工事中に発見され、棺に収められた人骨は藤原鎌足のものと言う研究者もいるという。古墳・石室の構造や発見時の棺の内部の様子などを解説した掲示板(p33)が設置されている。 p31 古墳は木立の下に p32 墓室の表示板 p33 古墳の解説板 【 阿武山 山頂へ 】 もとの分岐に戻って再び稜線道(p34)を北に向かう。防災行政無線の中継所(p35)の下を抜けると、Y字型の分岐(p36)がある。木幹に掛けられた私製の道標(p37)によると、どちらの道を選んでも、この先(150m先)で合流するようだ。 p34 再び稜線道を行く p35 無線中継所 p36 どちらでもOK p37 分岐の道標 右手のアセビ峠への道を進むとアセビ(p38)の木立が楽しめる。この辺りから登山道脇にトーテムポール風の木彫りの像(p39)がそこかしこに見られるようになる。さらに稜線道(p40)を進むと、先ほどのY字型分岐から5分ほどで、西から南方向が開けるポイントに出る。阿武山の西側にある「あいがわゴルフコース」の南側に造成間もないタマスマートタウン、その後方に山手台の住宅地が眺められる(p41)。 p38 アセビの木 p39 木彫りの像 p40 稜線道 p41 西側が開ける 南方向は千里方面まで見渡すことができ、千里タワーや太陽の塔も確認できる(p42)。この展望ポイント沿いには、阿武山の御神木であるエノキの大木(p43)がある。ここで地元の方らしい単独行の中年ハイカーさんから一頻り阿武山談義を聴かせてもらう。 p42 南方向の展望 p43 エノキの御神木 さらに稜線道を北に辿ると2分ほどで行先が3方向に分かれた分岐(p44)がある。右手に進むと「シルバー用安全迂回路」、真ん中は「一般者用登山道」、左手が「森林組合作業階段」と解説した表示板(p45)が設置されている。とりあえず真ん中を行くことにする。さらに「阿武山山頂」と表示された道標(p46)に従って木立の中(p47)を進むと阿武山の山頂である。 p44 3方向に分岐する p45 各ルートの説明板 p46 山頂への道標 p47 木立の中を進む < トップ > なだらかな山容どおり、山頂広場(p48)は平坦で広い。山頂表示板がある石積みの上には、例のトーテムポール風の木彫り象が置かれている(p49)。石積みの横には三等三角点(p50)が埋められている。木立に囲まれて山頂からの展望は無い。山頂に人の気配はなし。 p48 山頂広場 p49 山頂表示板 p50 三等三角点 <ゴーイングダウン> 【 阿武山口バス停へ 】 山頂からは稜線道(p51)を北に辿る。「阿武山口バス停」と表示された道標(p52)が立つ三叉路(p53)で右に折れて、ロープが張られた急峻な下り道(p54)を行く。 p51 山頂から山道を北へ p52 阿武山口バス停への道標 p53 道標で右折する p54 急勾配の下り道 合流した比較的緩やかな下り勾配の稜線道(p55)で、道標(p56)に示す「北大阪変電所」を目指す。山頂から7分ほどで稜線道(p57)はなだらかになり、送電線の鉄塔(p58)の下を潜る。 p55 稜線道に合流する p56 北大阪変電所への道標 p57 なだらかな稜線道 p58 鉄塔下を潜る 鉄塔から2分ほどで西側が開けて、北西方向に竜王山(p59)が眺められる。確かに「茨木市で最も美しい山」と呼ばれるのに相応しい山容である。再び木立(p60)を抜けると前方が開けて、数台のトラクターがエンジン音を響かせるネットで有名な造成工事現場(p61)が現れる。 p59 竜王山 p60 木立を抜ける p61 造成工事現場 エノキの御神木の前で地元の中年ハイカーさんから聴いたところでは、中国人の工事会社がグランドを造成すると偽って、大量の産業廃棄物をこの阿武山の北側エリアに捨てたようで、その産廃を処分するための工事が未だに続けられ、ハイキング道をダンプカーが行き来している由である。工事は漸く終わりを迎えつつあるようだが・・。 帰宅してからネット情報にあたると、武士自然歩道を含む阿武山一帯は大阪府の近郊緑地保全区域に指定されており、造成工事に当たっては大阪府への届け出が必要であるが、「××公司」という名称の企業が「グランドの造成」の名目で工事を届け出て、実際には産業廃棄物の処理場を造成したようで、3,000立方米もの大量の産廃が埋められたらしい。 武士自然歩道は、古タイヤなどの産廃(p62)が捨てられた処分場の直ぐ脇を抜けて、撤去工事が終わって地肌が丸出しの造成地(p63)の東端を真っ直ぐに北方向に延びている。地肌が剥きだしの造成地の後方に佇む竜王山(p64)も少し勝手が違う雰囲気だ。 p62 埋められた産廃 p63 造成地の東端を行く p64 造成地の背後の竜王山 造成地からは、工事現場へのダンプが通る幅広の道(p65)を北に進む。5分ほどで前方に北大阪変電所(p66)が見えてくる。造成地から10分ほど歩くと「阿武山口」のバス停(p67)がある北大阪変電所前に到着する。阿武山の山頂から僅か30分である。 p65 ダンプが通る幅広道 p66 変電所が見えてくる p67 阿武山口バス停 【 月見台へ 】 ここからは、変電所の南側を通る府道115号(p68)を東方向に歩く。関西大学の駐車場(p69)を右手に見てから、走行車両に注意しながら歩道の無い115号線(p70)の右端を東進する。5分ほどで月見台住宅地(p71)に入る。 p68 府道115号を東進する p69 関大の駐車場(奥左手) p70 府道の右端を行く p71 月見台住宅地 月見台のバス停(p72)の向かい側で道路(115号線)を横断して左手の小道に入る(p73)。この分岐ポイントには「摂津峡」への道標は置かれていない。50mほど歩いたY分岐(p74)で右手に進んで樹林帯に入る。右手の植林帯と、左手上の月見台住宅地に挟まれた緩やかな下り勾配の狭い舗装路(p75)を北上する。 p73 バス停前で府道を横断 p74 バス停横の小道へ p75 小道を進んで植林帯へ p76 舗装路を北上 【 摂津峡へ 】 月見台バス停から4分ほど歩くと、東海自然歩道の道標(p76)が立つ右方向への分岐(p77)がある。道標の「摂津峡→」の指示に従って、ここで右に折れて階段道(p78)を降りる。 p76 東海自然歩道へ p77 道標で右折する p78 階段道を下る 登山道(p79)はヒノキの植林帯を抜けて、分岐から5分ほどで渓流沿いの東海自然歩道(p80)に合流する。ここから白滝を経て、白滝茶屋の売店までは5/2の山行で歩いたルートと同じだ。芥川の支流(p81)を渡り、渓流沿い(p82)を行く。 p79 ヒノキ植林帯を抜ける p80 沢沿いの道に合流する p81 芥川の支流を渡る p82 摂津峡の渓流沿いへ 摂津峡公園の北端の休憩ポイント(p83)の先で萩谷運動公園のサッカー場(p84)へのアクセス路(p85)を見つけるが、あまり使われていない雰囲気だ。 p83 休憩所を通過する p84 サッカー場への道標がある p85 サッカー場へのアクセス路 月見台バス停から丁度20分で摂津峡のシンボルである白滝(p86)に到着する。不思議なことに阿武山の山頂からここまで一人のハイカーとも遭遇していない。滝の真ん前のベンチ(p87)で昼食とする。保冷剤を巻いて持参した缶ビールが旨い。 p86 白滝 p87 白滝前のベンチ 【 摂津峡公園へ 】 渓流沿いを白滝茶屋まで歩いて売店横で右折して(p88)、芥川沿い(p89)を歩く。八畳岩(p90)では何組かのハイカーが昼食休憩中だ。辺りはカエデも植生していて秋には素晴らしい紅葉が楽しめそうだ。ここも売店は閉まっているが、トイレ(p91)は使えるようだ。 p88 白滝茶屋で右折する p89 芥川沿いを行く p90 左手に八畳岩 p91 八畳岩横のトイレ ここからは芥川の西岸(p92)(p93)を歩く。白滝茶屋から20分弱で摂津峡公園のメイン広場(p94)に到着する。 p92 芥川沿いを歩く p93 芥川沿いを行く p94 摂津峡公園のメイン広場 【 塚脇バス停へ 】 ここからは道なりに舗装路(p95)を下って、「かじか荘」の西側を抜けて塚脇地区(p96)に入る。対向二車線の立派な道路(p97)を南下すると、西方向に南北方向に緩やかな稜線を引いた阿武山(p98)が見える。 p95 舗装路を南へ下る p96 塚脇地区に入る p97 舗装道路の歩道を行く p98 西方向に阿武山 JR高槻駅方面行きの「塚脇バス停」(p99)は道路の西側(p100)にある。(「道路の東側にあるはず」という先入観を持つと間違え易いので注意が必要です) p99 塚脇バス停 p100 バス停は道路の西側 < エピローグ > 南方向に延びる稜線を辿って阿武山の山頂を目指すルートは自然が豊かで、阿武山古墳や巨大なエノキの御神木、展望ポイントなど見所も多く十分に楽しめます。一方で、北側稜線で目撃した造成工事現場の姿は、摂津峡の渓谷美をもってしても相殺できないほどに無残でした。阿武山の北陵エリアは、中国人に安易に地権を譲り渡すとその土地がどうなるかを見事に説明してくれているようです。 Top Page |