どうしようもない無能政府(東日本大震災)      2011.3.24   



 震災発生から二週間目、アクセス条件に恵まれた避難所には救援物資が届くようになったが、孤立した避難所や、自宅が損壊していないために避難所に入れなかった人々に対しては未だに食料の補給さえ滞っており、NHKなどの被災者インタビューでは支援を求める現地からの悲痛な声が聞こえてくる。被災地の最前線で救援・復興活動にあたっている自治体職員、医療関係者、看護職員、自衛隊・消防・警察・海保の隊員、民間ボランティアなどの皆さんの疲労はとうにピークを通り越しており、津波を生き延びた人たちが避難後に栄養不足・医薬品不足・寒さや疲労などで亡くなる悲劇も日毎に増えている。この間、被災者や救援活動にあたっている人たちに対する政府からの有効な支援はほとんどなく、一部の被災地では絶望感さえ漂っているという。

傍観するだけの無能政府

 震災発生直後から被災を免れた地方自治体を始め業界団体、大企業などが率先して救援物資を被災地に送り込む一方、自衛隊員などの獅子奮迅の働きで救援活動の大崩壊は免れたものの、政府は備蓄していた原油や緊急災害対策用の物資を放出し、自衛隊の大量動員を指示した後は、ほとんど傍観するだけだった。現地での救援物資/燃料不足がマスコミで叩かれて、ようやく16日に鹿野農水大臣が一日あたり150万食、飲料水125万リットルを被災地に供給するという大見得を切り、17日には海江田経産大臣が燃料の緊急供給計画をマスコミに得意げに披露し、クラリオンねえさんがコンビニに行って「買いだめ自粛」をお願いするパフォーマンスまで演じたが、事態は遅々として改善されなかった。
 
 国内の物流の仕組みや関連する規制・法規を熟知しておらず、官僚を効果的に使う能力も持たない政府中枢は、関連団体に指示は出しても、その団体の動きを助けるような支援策は講じられない。吼えてはみても、実効は全くあがらない。好例が「タンクローリー1,100台事件」である。緊急支援を要請する陳情のために16日に経産省を訪問した青森県の三村知事に対して中山政務官は、「タンクローリー1,100台を手配済みで、現地に向かって稼動中だ(NHKの報道)」と説明したが、事前に許可証を取得していなかったタンクローリーは高速入り口でストップさせられ、経団連の米倉会長などから融通の利かなさを痛烈に批判されて、ようやく警察庁に指示して高速の検問所でも許可証を取れるようにした。結局、1,100台のタンクローリーは幻に終わった。
 
 政府は、被災中小企業への金融支援、ガレキ撤去費用の国庫補助、地方交付税の繰上げ交付などの支援方針を細切れで表明したが、被災者の命に関わる肝心の救援活動は、地方自治体と民間、そして消防・警察・自衛隊などにまかせ切りで、国民の命を預かる政府としてのリーダシップは全く見られなかった。


顔をみせない菅首相

 新聞報道によると、菅首相は地震発生直後に放射線、危機管理、情報通信の専門家を、22日には原子炉工学の専門家を内閣官房参与に任命した。現在、政府内は総勢14名の参与で溢れ、さらに「緊急災害対策本部」、「原子力災害対策本部」、「被災者生活支援特別対策本部」、「電力需要緊急対策本部」、「福島原子力発電所事故対策統合本部」、「被災者生活支援各府省連絡会議」などの新組織が次々と発足したが、肝心の菅首相のリーダシップが見えず、これらの組織が有効に機能しているとは、とても言えない状態であるという。官僚や産業界との意思疎通や調整を円滑にするための首相側の動きもなく、官僚を排除して復興を進める菅首相の手法に政府内では懸念の声もあがっているという。

 菅首相は原発問題への対応で多忙であるとの理由で、18日に国民へのメッセージを読み上げてから、まる5日間、国会答弁や記者会見などを全て取りやめ、マスコミの前から完全に姿を隠している。菅首相が、掛かり切りで対応しているといわれている福島第一原発事故は、東電やその下請け会社の作業員、自衛隊、消防、警察などの隊員の皆さんによる命がけの活躍で何とか最悪の事態に陥る寸前で持ちこたえているが、収束に向けての計画や見込み日程は未だに全く示されておらず、避難した原発の近隣住民、放射性物質が検出された福島県や北関東各県の農業/漁業従事者、水道水も安心して飲めなくなった利根川とその支流一帯の住民の不安は増すばかりである。また放射性物質が検出された農産物や水道水に対する政府の対策指示も国民の不安を益々増殖させている。

 原子力安全委員会の斑目委員長は、昨日になって、漸くマスコミの前に姿を現し、政府が指示した半径20kmの避難範囲、20〜30kmの屋内退避範囲とは全く整合しない原発事故の影響範囲を示した地図を公表する始末。班目委員長は、事故や放射性物質の放出データなどを評価し、分かりやすく国民に説明するミッションを持っているにも関わらず、今まで記者会見を拒んできたことを詫びたと言うが、原子炉建屋への放水に手間取った東京消防庁の隊員に「・・やらなければ処分する」と脅した政府は、斑目委員長に何ゆえ同じ言葉を使わなかったのか・・。


この政府では、復興はできない

 23日になって政府は漸く、「高速道路上限2000円」の政策を放棄する方針を固め、1000億円を震災復興に充当できる見込みがついたが、「子ども手当て」については、自公両党の説得にも関わらず、未だに「つなぎ法案」の見直しを受け入れていない。子ども手当てを受け取った家庭の60%近くが、これを貯金すると答えているにも関わらず、未曾有の国難に向かい合うこの期に及んでバラマキ政策に固執する無神経さは、狂っているとしか言いようが無い。

 政権の座について1年半、民主党政権は、「いまある仕組みをいじり回し、滅茶苦茶にしてから放り出す」という手順を繰り返してきた。何をやってもうまくいかない菅首相は、この非常時に得意の「抱きつき戦略」で野党も参加した挙国一致内閣の実現に望みをかけたらしいが、電話一本で交渉する子どもじみた手法は、野党の不信感を増殖させただけだった。政府は「復興庁」の創設を計画しているというが、こんな無能な連中に日本の復興などできるはずがない。菅首相は速やかに政権の座を野党に明け渡すべきである。それが、早期復興を成功させる最善の方法である。




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