裏六甲 白水尾根(兵庫県神戸市/西宮市)       ルートMAP


 【 山行日時/ルート 】 

   日時:2023年2月17日(金)   天候:晴れ、時々曇り

  ルート:瑞宝寺公園駐車場 → 白水峡墓園前バス停 → 白水峡バッドランド
         10:17       10:37/10:42    10:58/11:03

       → 標高710m小ピーク → 白水山 山頂 → 白水尾根出口(後鉢巻山北側)
          13:24      12:37/12:43      13:24

  総時間(ルート探索・休憩等の時間を含む): 3 時間 6分



【 プロローグ 】
 "瑞宝寺谷西尾根" の山行で東側に延びる "十八丁尾根" の存在感に圧倒され、三日後の2/9(木)にこの尾根を歩いてみた。ところが地形図を眺めると十八丁尾根の東側には、さらにもう一本、南北方向に延びる尾根が存在し、2/9の山行でも確かにこの尾根(p0)が視認できた。地形図によると、この尾根は白水峡から南方向に向かい、白水山を経て六甲主稜線の後鉢巻山の北側まで延びており「白水尾根」と呼称するようだ。

      
     
p0 十八丁尾根からの白水尾根


 ネット情報によると白水尾根は、"瑞宝寺谷西尾根" や "十八丁尾根" と並んで公設の道標が無いマイナールートの由。この2月から始めた「裏六甲から主稜線に登る」山行シリーズの4回目として、快晴が見込まれる2/17 にこの尾根を歩いてみることにした。

 白水尾根の北側の入口は、県道51号(宝塚唐櫃線)沿いの白水峡墓園前バス停付近にあるので、2/9(木)と同様に有馬温泉から徒歩でこの「入口」に向かうことにする。



【 瑞宝寺公園駐車場 → 白水峡墓園前バス停(県道51号沿い) 】
 午前10:10過ぎに毎秋の紅葉シーズンに利用している有馬温泉の瑞宝寺公園駐車場に車を駐めて身支度をする。強い西風が吹いて体感温度は零度近い。駐車場横の舗装道路を北方向に歩いて、県道51号と芦有道路が繋がる交差点を、料金ゲートを右手に見ながら直進して県道51号に入り、宝塚方向(東方向)に向かって右側の路側帯(p1)を往く。

     
     
p1 県道51号の路側帯を往く

 通過車両の数は何故か2/9に比べてはるかに多いようだ。道路の右端の側溝を待避スペースに使い、路側帯がほとんど無くなるカーブエリアでは走り抜けたり、道路の左側に移動したりして、とにかくはね飛ばされないように細心の注意を払う。

 有馬温泉病院へのアクセス道路を右手にパスして松尾橋バス停前を通過する。さらに"十八丁尾根" に向かう林道の入口になるゲートを右手にパスして、左手前方が開けると白い墓石が整然と並んだ白水峡墓園が見え、直ぐに白水峡墓園前バス停
(p2)の前に出る。

     
   
p2 白水峡墓園前バス停(宝塚方面行)


 バス停の北側に降りると墓参りで訪れた人が利用できる "バス待合所" があり、トイレが併設されているので、これを使わせてもらう。



【 白水峡バッドランドへ 】
 白水尾根への入口はバス停から東方向に50mほど離れた県道51号線(南側)沿いに立つ石材店の広告用看板(p3)の西側にある。有馬温泉から歩いて来ると看板の2~3m手前で南方向に折れることになる。入口から突入すると、直ぐ右手の木枝に赤テープが巻かれており(p4)、右手に折れて少し登って左方向に進むと、灌木の木立の中にしっかりした踏跡が南方向に続いている。

        
     
p3 白水尾根への入口      p4 赤テープに誘導されて


 明るい木立の中を10分ほど歩くと、左手眼下に白水峡の白っぽい断崖が見えてくる。左手の木枝に真新しい白いリボン
(p5)が巻かれており、はっきりした踏み跡が谷側に降りている。これを辿ると3分ほどでバッドランド(p6)と呼ばれる白水峡に降り立つ。花崗岩の風化によって奇怪な形状を成した岩塊(p7)(p8)が直ぐ左手に迫って、圧倒される。

     
 
p5 白水峡バッドランドに降りる    p7, p8 花崗岩の風化による奇怪な形状の岩塊

 
              
p6 白水峡バッドランド


 帰宅してからネットの "地形千景" にあたると「白水峡のバッドランド(悪地=荒地、裸地)は、中生代後期白亜紀の花崗岩が極端に風化されている土地」で「有馬温泉の熱源でもある高温岩体からの熱水などが六甲断層に沿って上昇し、花崗岩に熱を与えて変質させた可能性」があり「花崗岩が熱水などによって変質した場合、岩自体が脆くなって崩れやすくなる」と解説されている。

 元の尾根道に戻って、2分ほど南方向に歩くと左手に白水峡を見下ろせるビューポイントに出る。ここでバッドランド
(p9)を眼下に眺めながら一息入れて、柏餅と母恵夢、爽健美茶でエネルギー補給する。このとき足下は切れ落ちているので高所恐怖症の基礎疾患がある人は、前に出て足下を見ると尋常ではない恐怖を感じます。

 南方向に少し下ってから先ほどのビューポイントを振り返ると先端部は皮一枚になっていました
(p10)。やはり油断は禁物ですね。前に出ていたら落ちていたかも知れません。

 右手から尾根を巻くポイントでは、西側に2/9に歩いた十八丁尾根
(p11)が眺められる。白水峡を見下ろせる次のビューポイントでは、ネットで「横顔に見える」と人気の岩塊(p12)も鑑賞できる。

 
 
p9 白水峡を見下ろす   p10 ビューポイントは皮一枚  p11 十八丁尾根を望む   p12 横顔に見える?



【 白水尾根を往く(1) 】
 ここから暫く落葉が堆積した南に面した斜面を往く。落葉で踏跡が見にくいが赤ペンキを塗った木枝(p13)がルートを教えてくれる。「横顔の岩塊」から7分ほどでT字路(p14)に出て尾根に乗る。このポイントは主稜線から白水尾根を下ってきたときに直進してしまう可能性があるが左折しなければならないポイントの周辺はテープだらけなので心配無用かも。

 標高550m辺りの小ピークでは北側が大きく開けて、左手(西側)には鋸型の十八丁尾根
(p15)が眺められ、北西方向は阪神高速の北側に流通センターの倉庫群、その左手に藤原台などの住宅地が見える(p16)

   
 
p13 赤ペンキが誘導   p14 T字路で尾根に乗る  p15 鋸型の十八丁尾根    p16 北側の展望


 いったんガレ場を下ってから登り返すと標高560mの小ピークに出る。ここから尾根が狭くなり右手が崖の一画
(p17)を抜けてから今度は岩塊の左手を巻いて(p18)登る。岩場の頂上部に出てから左右が切れ落ちている狭い岩稜を下る。

 降りてから岩稜を見上げるとこんな感じです
(p19)。写真に書き込んだ赤線のように下ります。ここが今回の白水尾根歩きで高所恐怖症ジジイが唯一ビビったポイントです。

            
    
p17 右手が崖の一画     p18 岩塊の左手を巻く     p19 狭い岩稜を下る


 比較的狭い尾根道
(p20)を往き、岩が露出した急勾配の登りになった一画(p21) [標高650m辺りか・・] に古いトラロープが掛かっている。今回の尾根歩きで "お助けロープ" が存在したのは此処だけ。登りであればロープの助けは不要だ。年季の入ったロープだが、強度はそこそこあるようだ。

 いったん残雪のササ道
(p22)になってから、急勾配を登り切ると標高710mの小ピーク(p23)に出る。この辺りで船坂谷からのルートと合流するはずだが、注意力散漫になっていたためか確認を忘れてしまう。

   
 
p20 比較的狭い尾根道  p21 補助ロープがある岩場   p22 残雪のササ道   p23 標高710m小ピーク



【 白水山 】
 ここからはササ道、狭い尾根道、再びササ道と歩いて漸く四等三角点(p24)が埋まった白水山(p25)の山頂[771.7m]に到着する。山頂にハイカーの姿は無し。白水峡墓園前バス停近くの入口から1時間55分(白水峡バッドランドへの往復時間を含む)を要した。

 クマザサを苅った山頂エリア
(p26)は5m✕5m四方ほどで、北側が大きく開けて金仙寺湖や西宮北六甲台の住宅地、三田市域の山々などが見える(p27)。ここで小休止。一口羊羹、チョコレート、チョコバーム、爽健美茶などでエネルギー補給する。


  
p24 四等三角点     p25 私製の山頂表示    p26 山頂エリア      p27 北側の展望



【 白水尾根を往く(2) 】
 ここからはクマザサ(p28)が深くなり、ときに腰にまで達する。北側になる斜面の残雪(p29)も厚くなり、滑らないように脚を踏ん張るので体力を消耗するようだ。白水山の山頂から12分ほどで前方に六甲の主稜線が見えて、前方やや右手に最高峰のアンテナ塔、その左手に後鉢巻山のアンテナもうっすらと見える。

         
     
p28 クマザサが深くなる     p29 北側斜面の残雪


 登山道はササ道と残雪の北側斜面の登りを繰り返してから、少しばかり風情のある狭い尾根のササ道になる。ラストは、正面に見えてきた後鉢巻山の山影に向かってひたすらササ道を進む。

 前方に白色のガードレール
(p30)が現れ、ガードレールの切れ間(p31)から後鉢巻山北側の旧ドライブウェイ(p32)上に飛び出す。ガードレールには赤ペンキで「○」印、白ペンキで「↑白水山」の表示(p33)がある。


p30 白いガードレールが現れる  p31 ガードレールの切れ間   p32 旧ドライブウェイに出る  p33 「白水山」の表示


 白水峡墓園バス停近くの白水尾根ルート入口から2時間42分、白水山の山頂からは42分を要した。山中で遭遇したハイカーは無し。



【 エピローグ 】
  白水峡バッドランドでの奇岩との遭遇、岩稜の尾根道歩き、"長いササ道"と "体力勝負の北側斜面登り" の繰り返し、白水山の山頂からの北側の展望など刺激の多い山行が愉しめる良いコースです。

  十八丁尾根や瑞宝寺谷西尾根と同様、ルート上に公設の道標は全く有りませんが、尾根上の踏跡は明瞭で道迷いの危険は少ないと思います。県道51号線沿いの白水尾根ルート入口から尾根に乗るまでの区間は、落葉が堆積して踏跡が見にくいエリアもありますが、残置テープやリボン・赤色ペンキなどを正確に追うことでルート探索は比較的容易です。

 尾根道の険しさは、十八丁尾根や瑞宝寺谷西尾根に比べると穏やかで、危険回避のための心理的負担は小さいと思います。


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