金山[540m] 所在地:兵庫県篠山市/丹波市 地形図:1/25,000
宮田、柏原 ルートMAP
< プロローグ > ネット情報によると、手持ちのガイドブック[注1]を参考にして9/19に歩いた向山連山が「兵庫100山」のひとつであるらしい。「兵庫50山」巡りは、2013年3月の七種山(47座目)以降、すっかりご無沙汰していたが、巷間では「兵庫50山」という呼称は既に時代遅れで、これにさらに50山を加えた「兵庫100山」が常識になっているという。確かに近所の書店にも登山ガイドブックとしての「ふるさと兵庫50山」は存在せず、いつの間にか「ふるさと兵庫100山」に置き替わっている。 この「ふるさと兵庫100山」(兵庫県山岳連盟・編)を眺めてみると、篠山や丹波地域に未だ登っていない「100山」が存在することが分かった。この秋以降はこのうちの幾つかを歩いてみることとし、手始めに篠山市と丹波市の市境にある「金山(きんざん)」(p1)に登ることにした。 [注1] 関西周辺 週末の山登りベスト120(山と渓谷社) p1 篠山市追入地区からの金山 金山は、篠山市から丹波市柏原町に抜ける国道176号線の鐘ヶ坂トンネルの南側の国道沿いに位置し、明智光秀が丹波攻略時に築いた山城で有名な山である。山頂の東側の追入神社側から山に入り、南側の大乗寺に降りることにする。 日時:2014年10月1日(水) 天候:晴れ ルート:追入地区 → 分岐1 → 金山山頂 → 鬼の架け橋 → 大乗寺側 → 追入地区 登山口 登山口 駐車場 12:00 12:25 12:45/13:20 13:25/13:35 14:10 14:25 < アクセス > 国道176号を北上する。JR福知山線の篠山口駅、丹波大山駅の西側を走って大山地区を抜けると、左手道路脇に「←大乗寺」の良く目立つ標識(p2)が確認でき(大乗寺側の登山口から山に入る場合は、この分岐で左折する)、前方には西側に尾根を延ばした金山の大きな山塊(p1)が目に入る。この分岐をパスして直進すると、直ぐに次の分岐(p3)があり、左手の道路から凹んだ位置に「金山登山口」と表示した小さな木柱(p4)が立っている。ここで左折して追入地区の集落に入る。 p2 大乗寺への分岐の道標 p3 追入地区への分岐 p4 金山登山口の道標 直ぐに右折して、集落を南北に貫く舗装道路(p5a)を北上する。左手に注意しながら、ゆっくりと車を進めると、左側の道路脇に車が数台停められる駐車場(p5b)がある。ネット情報によると、この駐車場は金山登山者に開放されている由で、ここに車を駐める。 p5a 追入地区を北上する p5b 追入地区の駐車場 <ゴーイングアップ> 【 追入登山口 】 駐車場の掃除をしていたお母さんに挨拶して、舗装道路を北方向に歩きだすと、直ぐに道路脇左手に追入神社の立派な石灯籠(p6)が二基立っている。灯籠に挟まれた石段を登ると、「金山登山道→」の標識(p7)があり、その奥に「金山城址」の案内板(p8) が設置されている。案内板の解説によると、山頂付近の山城(金山城)は、織田信長の丹波制圧の命を受けた明智光秀が1578年9月から翌年10月にかけて築城したものであるという。ここが金山の追入神社側の登山口のようだ。 p6 追入神社の石灯籠 p7 金山登山道の道標 p8 金山城址の案内板 【 山頂へ 】 太い古木の脇を抜けて左手に竹林を見ながらヒノキの植林帯(p9)に入る。登山口から3分ほど登ると、赤坂観音堂(p10)の石段の前に出る。石段の左手には簡易トイレ(p11)が設置されている。観音堂に道中の無事を祈願した後、尾根筋を辿る山道(p12)を登る。勾配は厳しいが一気に高度を稼げる。 p9 ヒノキの植林帯を行く p10 赤坂観音堂 p11 石段横の簡易トイレ p12 尾根筋の登山道 金山城まで1000mの標識(p13)を過ぎると前方に石造りの鳥居(p14)が現われる。鳥居を潜り、その奥に設置された獣避けゲートを通過して尾根道(p15)を進む。樹林に遮られて展望は無いが、木の葉の隙間から右手前方に微かに金山の山頂付近が望める。 p13 山頂まで1kmの標識 p14 石造りの鳥居 p15 尾根道を行く 山頂まで700mの標識(p16)を過ぎ、左手にヒノキの植林帯を見ながら進むと、大乗寺側からの登山道と合流するポイント(p17)[ルートMAPの分岐1]に出る。山頂までは600m(p18)。登山口から約25分である。南東方向が開けて弥十郎ヶ岳や大野山が遠望できる。 p16 山頂まで700mの標識 p17 「分岐1」の道標 p18 山頂まで600mの道標 左手にTVサテライト局用のアンテナを見ながら尾根筋を辿る山道(p19)をさらに進む。山頂まで500mの標識が置かれた急登(p20)を通過して左手が浅い谷になった一画(p21)を行くと、大乗寺への二つ目の分岐[ルートMAPの分岐2]に至る。ここには真新しい道標(p22)が設置されている。 p19 アンテナの横を行く p20 階段状の急登 p21 標高450m付近を行く p22 「分岐2」mp道標 ここで左に折れてフェンス沿いに下ると大乗寺側に降りられるようだ。直進して(p23)山頂を目指す。3分ほどで苔むした石垣と落葉が堆積した古い石段(p24)が現われる。廃寺になった園林寺の跡のようだ。ここにも簡易トイレ(p25)が置かれている。 p23 直進して山頂を目指す p24 園林寺跡 p25 簡易トイレ さらに進んで「金山城跡馬場跡」の標識が立つ平地エリア(p26)を抜けると、標識だらけの分岐(p27)[ルートMAPの分岐3]に出る。直進すると金山城跡がある山頂、左手に進むと「鬼架橋」(p28)で、「トンネル」と書かれた標識(p29)が指示する右手方向は鐘ヶ坂トンネルに向かうルートのようだ。まずは直進して山頂を目指す。山頂までは120mほどだ。 p26 金山城馬場跡の平地 p27 「分岐3」 p28 鬼の架橋への道標 p29 鐘ヶ坂トンネルへの道標 <トップ > 金山城100mの標識を過ぎると辺りは自然林に囲まれて(p30)一気に明るくなる。鐘ヶ坂峠へ向かう古道への分岐ポイント(p31)をパスしてそのまま登り切ると金山城があった広い平地の山頂(p32)に出る。登山口から僅か45分である。 p30 自然林の登山道 p31 鐘ヶ坂峠への道標 p32 山頂広場(金山城跡) 柔らかい秋の日射しが一面に降り注ぐ山頂広場の中央付近には「金山城跡本丸跡」と表示された木柱(p33)が立ち、東側の一画には篠山教育委員会が設置した「金山城物語」と題した案内板(p34)が立てられている。 p33 山頂表示柱 p34 金山城の解説板 案内板の解説によると、金山城は明智光秀が丹波攻略にあたって、篠山盆地の「八上城」に拠った波多野氏と、氷上郡(春日)の「黒井城」を拠点とする赤井氏を分断するために築城した山城であるという。山頂広場の北側と南東側には、それぞれ「黒井城跡を望む」と「八上城跡を望む」と表記された木柱(p35)(p36)が設置されていて、この木柱が指示する方向に確かに二つの城跡が各々、目視で確認できる(p37)(p38)。 p35 黒井城の方角を示す標柱 p36 八上城の方角を示す標柱 p37 黒井城跡を望む p38 八上城跡を望む 波多野氏と赤井氏の連携を断つためには、篠山と氷上を隔てる鐘ヶ坂峠を支配下に置く必要がある。有能な戦術家である光秀には鐘ヶ坂峠の守備の拠点としての金山城の重要性が容易に理解できたのだろう。 金山の山頂からは北側と南東方向が開ける。大きく開けた北側は東寄りに多紀アルプスの主峰の三嶽や小金ヶ嶽が見え、その手前に夏栗山と黒頭峰、その左手に兵庫50山の三尾山が並ぶ。氷上の市街地の後方には、親不知や五台山が遠望でき、北西方向には2週間前に歩いた向山、その右手前に譲葉山が見える(p39)(p40)。南東方向には篠山市の弥十郎ヶ岳、猪名川町の大野山、そして三田市の三国ヶ嶽などを確認できる(p41)。 p39 山頂から北側を望む p40 北東方向を望む p41 南東方向を望む 北側の展望を楽しみながら昼食とする。山頂広場にはカエデも多く植生しており来月末頃には素晴らしい紅葉が楽しめそうだ。 < ゴーイングダウン > 【 鬼架橋 】 山頂広場の西側の「鬼架橋まで70m」の標識(p42)に従って山道(p43)を西方向に下ると、奇岩として有名な「鬼のかけ橋」(p44)の横に出る。架け橋の下の穴からは鐘ヶ坂トンネルから柏原市街に下る国道176号線が見える(p45)。南方向が開けているがこの位置からは白髪岳は見えないようだ。 p42 鬼の架け橋への道標 p43 山道を西方向へ下る p44 鬼の架橋 p45 国道176号が見える 【 大乗寺側登山口へ 】 鬼のかけ橋からは南方向に延びる登山道(p46)を下ると3分ほどで分岐[ルートMAPの分岐3]に至る。さらに登って来た道をルートMAPの分岐2まで戻る。ここで右手に折れてフェンス沿いを下ると、ここからでも大乗寺側に降りられるようだが、予定どおり来た道を辿って、追入登山口からの最初の分岐(p47)[ルートMAPの分岐1]まで戻る。ここから道標に従い南方向に尾根筋の登山道(p48)を下って大乗寺を目指す。 p46 鬼の架橋からの下山路 p47 分岐1 p48 大乗寺への登山道 良く踏まれた尾根道を進むと直ぐにヒノキの木幹に赤テープが巻かれたポイント(p49)があり、右手(西方向)に下る木組みの階段道(p50)が見えるのでこれを下る[注2]。「鬼架橋まで800m」の道標(p51)を登山道脇に見てから雑木林、さらにヒノキの植林帯の中を延びる登山道(p52)を一気に下る。 [注2] 尾根道は良く踏まれているのでこのポイントを見逃すと南東方向に延びる尾根を降りてしまうので注意が必要。 p49 木幹の赤テープで右折 p50 下山路 p51 鬼の架橋への道標 p52 ヒノキ植林帯を下る ルートMAPの分岐1から15分ほど下ると、南方向の林立するヒノキの木幹の間から舗装道路が見え、登山道の左側に獣避けのフェンス(p53)が現われる。簡易トイレの横に設けられた獣避けゲート(p54)を潜り、金属製の小さな橋(p55)を渡って東西方向に延びる狭い舗装道路に出る。道路が延びる西方向には大乗寺(p56)が見える。ここが大乗寺側の登山口のようだ。 p53 獣避けフェンスに沿って p54 獣避けゲートを通過 p55 小橋を渡る p56 大乗寺 【 駐車場に戻る 】 ここからは沢沿いに延びる舗装道路(p57)を道なりに東方向に進む。大乗寺の山門(p58)の横を抜けて、そのまま道なりに進むと、追入地区を南北方向に貫く舗装道路(p59)に出る。大乗寺側の登山口から駐車場までは15分ほどである。 p57 沢沿いの舗装道路 p58 大乗寺の山門 p59 追入地区へ向かう < 番外編 [分岐2から大乗寺へ] > 駐車場に戻っても未だ14:30前なので、もう一度「分岐2」まで登って、大乗寺側へのもう一つの登山道を降りてみることにした。 ルートMAPの分岐2で左手に進んでフェンス沿いの道(p60)を下る。直ぐに南方向が開けて、山南町辺りの山塊の向こう側に白髪岳と松尾山のツーショット(p61)(p62)が確認できる。 p60 分岐2からフェンス沿いへ p61 大乗寺への下山路から南方向を望む p62 白髪岳と松尾山 ここからは崩れやすい地質の山肌が剥き出しになった一画を下って(p63)(p64)、大乗寺の裏側(北側)まで延びている林道(p65)に降りる。林道を歩くこと約10分で大乗寺の裏側に設置された獣避けゲート(p66)に至る。分岐2から大乗寺までは25分ほどである。 p63 崩れ易い山道 p64 地肌が露出した一画 p65 林道を行く p66 大乗寺の裏手のゲート < エピローグ > 登山道も道標も良く整備された登り易い山です。山登りの体力的な刺激としては物足りないと思いますが、明智光秀の丹波攻略の経緯などを調べてから登ると面白いかもしれません。紅葉の時季の登山をお薦めします。 Top Page |