2019年 紅葉めぐり[その1](奥大日岳、大台ヶ原、吉野山、氷ノ山)


室堂平から奥大日岳
(9/26)
 9月に入っても期外収縮の不整脈は相変わらず続いているが、命に関わるほどのものではないようなので、この秋最初の紅葉登山のターゲットを北アの二百名山「奥大日岳」に決める。

 大型の台風17号が島根県沖を通過した翌々日の9/25、高速バスで富山に移動して駅近くのホテルに投宿する。翌9/26、未だ薄暗いうちにホテルを出て、電鉄富山駅発の一番列車で立山駅に向かう。途中、車窓から朝焼けの空に「剱」と「立山」のシルエット
(p1)を見つける。

   
     
p1 車窓からの剱・立山


 電鉄立山駅からはケーブルとバスを乗り継いで室堂へ。27年振りの室堂平は期待したとおり、一面褐色の草紅葉にチングルマの赤がアクセントを添える素晴らしい秋色
(p2)だ。北方向には今日のターゲットの奥大日岳の山塊(p3)が座る。

 石畳の遊歩道を北に進むと硫黄の臭気が鼻をつく。噴煙を上げる地獄谷と奥大日岳とが圧巻のコントラストをみせる絶景
(p4)を左手に眺めながら雷鳥平のキャンプ場(p5)まで降りる。

  
                 
p2  室堂平の秋色

     
  
p3 奥大日岳/中大日岳    p4 地獄谷と奥大日岳     p5 雷鳥平キャンプ場


 ここからは暫く木道を歩き、さらに急勾配のゴロゴロ岩道を登る。新室堂乗越からは秋色に染まった長閑な稜線道
(p6)となり、南方向に息を呑むような雄大な景観(p7)が広がる。前方に奥大日岳の2,611mピーク(p8)が間近になると、右手後方の赤褐色に変わったミネカエデの向こうに剱岳(p9)が顔をみせる。後方の真っ赤に色づいたナナカマドの背後には立山(p10)が美しい。


 
p6 奥大日岳への稜線   p8 奥大日の2,611mピーク    p9 剱岳(後方)     p10 立山(後方中央)

 
            
p7  新室堂乗越付近から南方向を望む


 奥大日岳の南側斜面にへばりつくように延びている岩だらけの山道の登攀は老いぼれハイカーにとってかなり辛いが、南側に広がる天狗平の絶景
(p11)や剱岳(p12)の雄姿を眺めて気分転換ができる。南側に称名廊下を挟んで弥陀ヶ原(p13)が広がると、奥大日の三角点まではあと一息だ。

     
    
p11 天狗平          p12 剱岳         p13 弥陀ヶ原


 白い綿毛が飛んでしまったチングルマの草紅葉が綺麗に広がる一画
(p14)を抜けると、奥大日岳の三角点に到着する。鋭角に割れた岩積の上に「奥大日岳」と書いた山頂表示板(p15)が無造作に置かれている。運悪くガスが三角点を覆った瞬間に到着したようで、辺りは真っ白で景色は全く見えない。とりあえずザッグを下ろして携帯食料で空腹を満たしていると突然、周囲の女性ハイカーさんから喚声があがる。北東方向のガスが晴れて剱岳の山頂部分(p16)が姿を現している。西方向もガスが時折切れて、中大日岳や大日岳(p17)が見える。


 
p14 草紅葉の稜線道   p15 奥大日岳の山頂表示  p16 剱の山頂が顔を出す  p17 大日岳方面を望む


 下山は、右手に弥陀ヶ原、天狗平
(p18)の広大な草原、正面には立山をバックにした雷鳥平、地獄谷、室堂平の大パノラマ(p19)を眺めながらノンビリ降りる。この秋最初の紅葉登山は絶景三昧の山行でした。

  
              
p18  弥陀ヶ原、天狗平、室堂平

  
    
p19 室堂平への下山路


大台ヶ原山(東大台)
(10/20)
 「シロヤシオの紅葉が見頃」というニュース報道に誘われて久し振りに日本百名山の大台ヶ原山を歩いてみることに決めたが、10/18の紀伊半島南部豪雨で大台ヶ原ドライブウェイが閉鎖され、出鼻を挫かれる。通行止めが解除された10/20、5時前に起床して近鉄阿部野橋駅7:50発の吉野行き急行に乗り込む。

 大和上市駅で大台ヶ原行きのバス(9:30発)に乗り換える。バスに乗り込んだハイカーは僅か10人ほどだ。一昨日の大雨の影響で今日は大台ヶ原はガラガラかも知れない・・と淡い期待を抱くも、大台ヶ原駐車場は11:00前に既に満杯状態。バスが駐車場に入れず、結局10分遅れの11:30に到着する。

 [ 駐車場 → シオカラ谷 ]
 駐車場の西側の茶店のベンチで昼食を摂り、11:50過ぎに茶店横の登山口から山に入る。秋色に染まった歩き易い山道
(p20)を西方向に進んでシオカラ谷を目指す。山道はゴロゴロ岩の激下りに変わるが、辺り一面は凄まじい黄褐色(p21)で気分が高揚して辛さは全く感じない。登山口から25分ほどでシオカラ谷の吊り橋(p22)に到着。谷に降りて吊り橋(p23)を下から眺めてみるが、周りはハイカーだらけ、早々に登山道に戻る。

    
  
p20 秋色の登山道    p21 シオカラ谷への山道  p22 吊り橋に到着   p23 シオカラ谷の吊り橋


 [ シオカラ谷 → 大蛇ー ]
 シオカラ谷からは急勾配のゴロゴロ岩道を一頻り登ってから背の低いカエデが群生する雰囲気の良い一画
(p24)を抜け、さらにシャクナゲに囲まれた急登を往く。30分強で大蛇ーへの分岐に到着。辺りはハイカーで大混雑。小学生の課外活動の集団まで繰り出している。とりあえず大蛇ーへ向かうハイカーが数珠つなぎになった「ハイカー列」に加わる。

 素晴らしい秋色の木立
(p25)を右手に眺めながら進むと、北側が深い谷を挟んで急峻な岩崖(p26)、西方向には程よく色づいたカエデの向こうに大峰連山(p27)が眺められる狭い山道になる。

 
p24 カエデ群生地を往く   p25 秋色の木立     p26 大蛇ー北側の岩崖  p27 大峰連山(後方)


 ここでハイカー列は完全に渋滞模様
(p28)となる。5〜10分ほど辛抱して待機するも列はほとんど前に進まない。大蛇ーの岩場はハイカーで埋め尽くされているようだ。駐車場に15:20までに戻らないと、帰りのバス(15:30発)に乗り遅れることになるので、残念だがここで撤退することにする。

    
    
p28 大蛇ールート大渋滞


 [ 牛石ヶ原 → 尾鷲辻 → 正木ヶ原 ]
 この混雑で少なくとも15分を無にしたようだ。分岐まで戻り、遊歩道を東方向に折れて牛石ヶ原
(p29)を往く。カエデがそこかしこに植生していてササ原の緑に赤が映える(p30)(p31)。尾鷲辻の西側も素晴らしい秋色(p32)だ。

     
  
p29 牛石ヶ原を往く      p30, p31  ササ原の緑にカエデの赤が映える 


           
p32  尾鷲辻西側の秋色


 分岐から17分で尾鷲辻を通過。東方向に進んで「トウヒの立ち枯れ」で知られる正木ヶ原
(p33)を往く。広大なササ原にカエデが連なる緑と赤のコントラスト(p34)が美しい。やがて素晴らしい秋色の向こう側にお椀を伏せたような姿の正木嶺(p35)が現れ、その左手後方には大台ヶ原の最高峰となる日出ヶ岳の山頂も見えてくる。


  
p33 正木ヶ原             p34  緑と赤の コントラスト が美しい

  
         
p35  正木嶺(後方右)と日出ヶ岳(後方左)


 [ 正木嶺 ]
 ここからは木製階段の遊歩道
(p36)を登る。一頻り上って振り返ると美しい秋色(p37)の奥に熊野灘の海岸線が意外に近く見渡せる。正木嶺の山頂付近(p38)も立ち枯れしたトウヒが目立つ。尾鷲辻から約30分で正木嶺山頂に到着。

     
  
p36 木製階段を登る     p37 正木嶺からの秋色    p38 正木嶺の頂上付近


  [ 正木嶺 → 日出ヶ岳 ]
 山頂からは北側に階段道を降りて真っ赤に紅葉したシロヤシオの群生帯
(p39)に突入する。シロヤシオの赤の向こう側に日出ヶ岳の山頂(p40)が近い。鞍部まで降りてから再び階段道を今度は日出ヶ岳の山頂を目指して登る。さすがに脚には疲労感が出てきているが、南側に広がる絶景(p41)で気分転換できる。正木嶺から約15分で山頂(p42)に到着。これが三度目の山頂だが、過去二回は40余年前の夏場に大杉谷に降りる途中で寄り道したもので、ただ暑かったという記憶しか残っていない。展望台(p43)に上がってノンアルビールで一息いれる。


 
p39 シロヤシオの紅葉    p40 日出ヶ岳     p42 山頂の一等三角点    p43 山頂の展望台


          
p41  日出ヶ岳から南方向を望む


 [ 日出ヶ岳 → 駐車場 ]
 山頂をあとにして秋色の絶景
(p44)を眺めながら鞍部まで引き返し、さらに秋景色(p45)の沢筋を西に向かう。登山道(p46)は歩き易く山頂から約30分の15:05に駐車場に到着。休憩を含めて所要3時間15分(昼食時間を除く)の東大台周遊でした。素晴らしい秋色を愉しめましたが、ハイカーの数の多さには参りました。結果として、平日は一往復しか運行されない大和上市駅⇔大台ヶ原のバスが二往復になる「休日」をわざわざ選んだことが仇になった紅葉登山でした。

     
   
p44 南方向の秋色      p45 沢筋の秋色      p46 歩き易い登山道


吉野山の桜モミジ
(10/26)
 10/20の山行の途上、大和上市駅前でシニアのハイカーから「この時季は吉野の桜モミジがなかなか "渋くて" いいですよ・・」と話かけられた。山岳雑誌「山と渓谷」の10月号でもこの "桜モミジ" が紹介されていた由。大阪・京都周辺のカエデの紅葉までには2週間ほど間があるので、雨があがった10/26、6年振りに吉野山を歩いて "桜モミジ" を眺めてみることにした。

 昼近くに吉野駅に着いて奥千本口までバスで入る。修行門の周り
(p47)は淡い朱色の桜モミジが覆う。西行庵の手前の桜葉(p48)は未だ僅かに緑が残っているが、世界遺産の金峯神社の近くの斜面では、スギ・ヒノキ・松の緑と桜モミジの朱色のコントラスト(p49)が美しい。高城山展望台からは、桜モミジの向こう側に大和葛城山と金剛山が眺められる(p50)


 
p47 修行門付近      p48 西行庵周辺     p49 金峯神社付近    p50 葛城山(右)と金剛山(左)


 さらに水分神社の鳥居と桜モミジのツーショット
(p51)。"渋い" とはこの類いを言うのだろうか・・?。花矢倉展望台から眺める中秋の吉野は、春に淡いピンク色に染まるエリアが褐色に置き換わってこんな(p52)感じです。花矢倉からは沢筋に降りて、淡い朱色に覆われた上千本(p53)に突入する。上千本からの蔵王堂の眺め(p54)も素晴らしい。


   
p51 水分神社    p52 花矢倉からの展望   p53 上千本の桜モミジ   p54 蔵王堂方面を望む


 緑が僅かに残る広い桜の群生地
(p55)を抜けて如意輪寺に降りる。如意輪寺からは沢沿いを歩くが、中千本の桜木(p56)は既に落葉している。この時季は、渋い "桜モミジ" も上千本までのようだ。

       
    
p55 如意輪寺の東側        p56 落葉した桜木


氷ノ山(11/1)
 10月に入っても暖かい日が続いたためこの秋の紅葉は昨年に比べて遅れているようだがネット情報によると「氷ノ山」は既に見頃を迎えているという。土・日の混雑を回避して11/1(金)に山に入ることにする。

 50mほど前方の車の尾灯も見えない深い霧が覆った舞鶴道を北に走る。春日和田山道路を経て和田山八鹿道路に入ると霧は次第に晴れてAM8:15過ぎに福定の親水公園駐車場に到着する。昨年は真っ赤に色づいていた駐車場横のカエデ
(p57)
は、今年は未だ色づき始めだ。紅葉は昨年に比べて少なくとも5日は遅れているように思える。

     
      
p57 親水公園駐車場


 昨年は黄色に染まっていた「七曲り」の入口付近は未だ緑が支配しているが、不動滝の看板を通過した辺りのブナ
(p58)は色づき始めている。七曲りの急登が終わる標高900m付近になると、登山道周りは黄褐色の賑やかな雰囲気(p59)になる。 さらに「地蔵堂」を経て、標高1000m超の「木地屋跡」辺りまで登るとブナの凄まじい紅葉(p60)(p61)で登山道周りは一面黄褐色になる。

  
 
p58 不動滝北側付近    p59 標高900m辺り    p60 木地屋跡付近(1)   p61 木地屋跡付近(2)


 薄い霧が辺りを覆って左手の谷を挟んで見えるはずの山頂の避難小屋も今日は確認できない。「弘法の水」の周辺のブナは、昨年は完全に落葉していたが今年は見事に色づいた葉を未だしっかりと残している
(p62)。避難小屋(p63)がある氷ノ山越の稜線も薄くガスが掛かり風がかなり強い。今年も稜線歩きは回避して、ここで下山することにする。

      
    
p62「弘法の水」付近      p63 氷ノ山越の避難小屋


 3時間20分ほどのピストン山行でしたが、今年も素晴らしいブナの紅葉を愉しむことができました。


  
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