2020年 紅葉めぐり[その1]( 八方尾根  9/28[月] 〜 9/30[水] )

 
 4月に入って急に増え始めた冠攣縮による狭心症の発作は、6月には一ヶ月で40回近くに達する危機的状況に至ったが、二ヶ月以上継続した "マグネシウム摂取" が効いたのか、それとも単に涼しくなったのが幸いしたのか9月中旬になると3日に一度くらいの頻度にまで減った。

 これならば遠出の山行も可能だろうと独善的に判断して、齢七十を超えた老いぼれ爺でも登れそうな南アの "仙丈ヶ岳" と北アの "焼岳" の二山をターゲットに登山計画を練ってみるが、両山ともに登山口までの交通アクセスが厄介らしい。結局、勝手を知っている後立山の "八方尾根" にターゲットを変更し、3年振りに唐松岳まで歩いてみることに決めた。

 NOAA(アメリカ海洋大気庁)の10日間予想天気図を連日眺めて、予約手続きなどが時間的にギリギリのタイミングとなる26日夕刻になって、「28日に移動・前泊、山行は大陸からの高気圧が日本列島の大部分を覆う29日とし、下山後にもう一泊する」という日程を決める。


移動・前泊
(9/28)
 高速バスとJR大糸線の各駅停車を乗り継いで16:00過ぎに"白馬駅"に到着。駅の西側のスーパーで翌日の山行のための飲料水と弁当を買い込んでから路線バスで"白馬八方"のバス停へ移動する。さらにリゾート感溢れるホテル街を20分ほど歩いて咲花ゲレンデ近くのホテルに到着。昔(1990年代の中頃)、家族揃っての春スキーでよく泊まった格安ホテル(p1)だ。

 飲食時以外はマスクと手袋着用が義務づけられたビュッフェ式の夕食には「飲み放題」も付いている。冠攣縮発作の予防のために "断酒" を実践中の身だがホテルの好意を無にしてはいけないと、生ビール(中)を2杯だけ頂く。GOTOトラベルキャンペーンを利用したので朝夕二食付きの連泊でも一万円を切る安さ。しかも旅行代理店を通さずにホテルに直接予約した恩恵か・・、提供された部屋は、なんとトリプルルーム
(p2)だった。お陰で前泊としては珍しく熟睡できた。

          
     
p1 宿泊したホテル           p2 トリプルルーム


八方池山荘へ
(9/29)
 翌朝、しっかり食事を摂り8時過ぎにホテルを出発してゴンドラリフト "アダム" の八方駅に向かう。コロナ対策の一環か・・駅前に設けられた受付(p3)で手指のアルコール消毒のあと所定用紙に氏名・住所・連絡先の記入を求められる。「厚労省の接触者アプリ "COCOA" をインストールしたスマホ画面」を提示してこの関門はスルーできたが、コロナ対応の臨時ルールで、本来6人乗りのゴンドラに1人(単独行のハイカーの場合)しか乗せないため、乗車口には長蛇の列(p4)ができている。結局、ゴンドラ(p5)に乗り込むまでに約20分を要した。ゴンドラが動き出して直ぐ右手に杓子岳と白馬鑓ヶ岳が(p6)姿を見せ、漸く山行気分になる。


 
p3 コロナ対応の受付    p4 乗車口の行列     p5 乗車定員は一人   p6 白馬鑓ヶ岳と杓子岳


 兎平駅からは、さらにリフトを二つ乗り継いで八方尾根トレッキングの出発点である八方池山荘前に到着。北側の稜線に出ると白馬三山
(p7)が鮮やかに望める。前回はここからゴロゴロ岩の稜線道を歩いたが、70爺に成り果てた今回は体力温存を狙って稜線の南側を西方向に進んで(p8)勾配が緩やかな木道(p9)を往くことにする。 

   
       
p7  白馬三山           p8 稜線の南側を往く    p9 勾配が緩い木道


八方池へ

 木道を15分ほど歩くと左手のガスの切れ間から鹿島槍ヶ岳(p10)が顔を出す。やがてガスが晴れると、木組の登山道が延びる前方に丸山、その左手に五竜岳と鹿島槍ヶ岳のツーショット(p11)が眺められる。

      
     
p10 鹿島槍ヶ岳         p11 前方に丸山、左手に鹿島槍と五竜


 色付き始めた斜面に設けられた急勾配の長い木道
(p12)を登り切ると、漸く稜線に出る。眼前に白馬三山から天狗尾根を経て不帰ノ嶮へと延びる後立山連峰の巨大な山塊(p13)が現れて圧倒される。


 
p12 木道を登り切る              p13  後立山連峰の山塊


 絶景の稜線歩きを楽しむこと30分弱で、右手に八方池
(p14)が見えてくる。出発点の八方池山荘から丁度1時間ほどである。池の西側にナナカマドの赤(p15)が見下ろせる辺りからいよいよ秋色の樹林帯(p16)に突入する。紅葉越しに眺める白馬三山(p17)は格別だ。


 
p14 八方池と後立山連峰  p15 ナナカマドの赤色   p16 秋色の樹林帯     p17 紅葉と白馬三山


丸山へ

 下ノ樺からは賑やかに色づいた斜面(p18)を往く。ナナカマドの赤(p19)やダケカンバの黄色(p20)の眺めは想いの外愉しく、僅かに雪が残った扇雪渓を経て丸山(p21)に向かうこのコース一番の難所も何とか乗り切れる。


 
p18 秋色の斜面を行く   p19 ナナカマドの赤   p20 ダケカンバの黄色    p21 丸山に向かう


唐松山荘

 丸山ケルンからダラダラ勾配の稜線を往くと、右手に白馬三山(p22)が自分の目線の高さに入ってくる。唐松山荘の東側の岩稜が正面に近づくと、その右手に唐松岳の山頂(p23)が見えてくる。

 唐松山荘に向かう岩稜の横腹につけられた旧道
(p24)は、崖が崩落したのか・・通行止めになっており、岩稜を直登する新しい登山道(p25)が設けられている。


 
p22 白馬三山が目線に   p23 唐松岳の山頂     p24 旧道は通行止め    p25 新道を往く


 ゴロゴロの岩道
(p26)から狭い稜線道(p27)を登り切り、10分ほどで唐松山荘の東側の岩稜の上に設けられた平坦な広いスペースに出る。眼下に山荘の屋根(p28)が見え、西側の正面に剱岳(p29)、右手に唐松岳への稜線(p30)、左手に五竜岳(p31)が眺められる絶景ポイントだ。ここで後生大事に担いで来た缶ビールを開けて、絶景を眺めながらの昼食大休止とする。

 
p26 ゴロゴロ岩道を登る   p27 狭い稜線道を行く  p28 唐松山荘裏のスペースから

  
    
p29  剱岳           p30  唐松岳           p31  五竜岳


 前回は八方池山荘からここまで2時間30分で歩いたが、今回は「木道」を歩いたこともあって3時間10分を要してしまった。しかし、脚を痛めることもなく、下山に向けて十分に体力を温存できた。木道コースを選択したのは成功だったようだ。

下山

 帰路、丸山ケルンから八方池に下る途中のハイマツ帯で3羽のライチョウ(p32)に遭遇する。冬に備えてか・・ 丸々と太って、何とも愛らしい。八方池山荘前からピストンで、昼食休憩を含めて約6時間の山行。穏やかな晴天の下、早々と秋色に染まった尾根道ハイクを堪能できた。

   


ホテル & 帰路(9/30)

 ホテルの夕食の飲み放題では、生ビール2杯のあと、「Dewarsのハイボールを5リットル用意しました!!」の掲示板に誘われて禁断の3杯目を手にしてしまうが、翌朝まで冠攣縮の発作は無く、鑓ヶ岳(p33)を眺めながら帰路に就くことができました。
      
      
p33 ホテル街からの鑓ヶ岳


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