六甲山 黒岩尾根(兵庫県神戸市)           ルートMAP


 【 山行日時/ルート 】 

   日時:2022年1月20日(木)   天候:晴れ、時々曇り

  ルート:新神戸駅 → 市ケ原 → 黒岩尾根入口 → 606mピーク → 掬星台
       10:20           11:20     12:22     13:25

  山行時間: 約3時間5分(休憩時間等を含む)



【 プロローグ 】
 六甲全山縦走路の中継点の一つである市ヶ原を起点にして摩耶山に登る尾根筋ルートは二つある。ひとつは稲妻坂から天狗道を辿るルートで全山縦走路の一部を構成している。もうひとつは地蔵谷を挟んで、この稲妻坂/天狗道ルートに並行して延びる黒岩尾根ルートである。

 稲妻坂/天狗道ルートは、20代の頃から何度となく歩いたが黒岩尾根には何故か今まで一度も踏み込んだことがなかった。厳しい冬型の気圧配置となった「大寒」の日(1/20[木」)、初めてこのルートを歩いてみることにした。

 三田盆地の上空には日本海側から断続的に雪雲が流れ込んで湿った雪が舞っている。山(六甲山稜)を越えた神戸側は晴れているはずだ・・と、降雪の中、自宅を出る。



【 新神戸駅 → 黒岩尾根ルート入口 】
 トンネルを抜けた新神戸駅には、予想どおり明るい陽光が差している。布引の滝(雄滝)[p1]から布引貯水池を経て、市ヶ原の桜茶屋の横を通過する。全山縦走路の稲妻坂/天狗道ルートへの分岐(p2)を右手に確認して、3分ほど下ると地蔵谷への分岐標識があり、さらに小さな木橋を渡ると直ぐに黒岩尾根への取付きの道標(p3)が立っている。ここが黒岩尾根の入口(p4)だ。新神戸駅から丁度1時間である。

    
   
p1 布引の滝      p2 分岐の道標   p3 黒岩尾根の道標   p4 黒岩尾根の入り口


【 黒岩尾根ルート 】
 黒岩尾根ルートは、良く整備された階段道(p5)の登りで始まる。階段道(p6)は尾根に沿って整然と延びて、気持ち良く高度を稼ぐことができる。ネット情報によると標高差が約400mあるこの急勾配の尾根道は、この階段道が整備されるまでは、かなりワイルドだったと言う。階段道が途切れたポイントの岩場道(p7)にその名残が感じられる。
     
    
p5 階段道(1)       p6 階段道(2)      p7 岩場道


 13分ほどで標高370m辺りと思われる平坦なエリア
(p8)に出る。前方に急峻な稜線を西側に引いた606mピークに続く山塊(p9)が現れて「これからが本番」と気持ちを引き締める。この辺りから階段道(p10)や岩場道(p11)には残雪が現れる。

  
p8 標高370m辺りの平坦道  p9 660mピークに続く山塊   p10 階段道に雪    p11 岩場道の残雪


 振り返ると、南西方向に高取山、須磨アルプス、明石海峡大橋、淡路島が眺められる
(p12)。 日陰の稜線道には雪がしっかり残っており(p13)、雪上には小動物の足跡が続く。

 生田川を挟んで西側が分水嶺越になる標高500〜550m辺りだろうか・・、西側から猛烈な風を受けて一遍に体温を奪われるが、陽光をたっぷり受けた階段道
(p14)で暫し "日なたぼっこ" をして精気を取り戻す。黒岩尾根の入口から小休止を含めて約1時間で標高606mピーク(p15)に到着する。

  
 
p12 南西方向が開ける  p13 獣の足跡が続く残雪  p14 陽向の階段道    p15 606mピーク


 いったん下って登り返すと、南と西方向が大きく開けて、南西方向には、菊水・鍋蓋・高取・須磨アルプス・鉢伏/鉄拐などの山々や明石海峡大橋、淡路島方面が見渡せ
(p16)、西方向には鈴蘭台などの住宅地が白く輝く(p17)。東方向は木枝の間から摩耶山のアンテナ群が眺められる(p18)


      
p16  南西方向の展望           p17 西方向の眺望    p18 摩耶山のアンテナ群


 登山道は残雪が多くなると同時にアップダウンの繰り返しになる。幸い雪は柔らかく下りでも滑ることはない。突然、下山するシニアのハイカーと遭遇する。黒岩尾根に入って初めてのハイカーだ。

 登山道は東方向に大きく向きを変え、山腹を横切り、ササ道
(p19)を往き、沢を渡る(p20)が雪上には先ほどすれ違ったハイカーの足跡(p21)がくっきりと残されていて迷うことはない。本当にありがたい。

      
    
p19 ササ道を往く       p20 沢を渡る       p21 ハイカーの足跡


 一頻り歩きやすい尾根道
(p22)を往き、右手に地蔵谷への分岐道標(p23)を確認する。賑やかなカップルとお一人様のトレイルランさんとすれ違う。雪道の下山なので天狗道に比べて歩きやすいこのルート(黒岩尾根)を選んだのだろうか・。

    
   
p22 歩き易い尾根道    p23 地蔵谷への分岐


 雪の登山道は木組みの階段道
(p24)からササ道(p25)に変わる。地蔵谷への分岐標識から7分ほどで複数のベンチが置かれた展望休憩所(p26)に到着する。西方向(p27)が開けて鈴蘭台方面の住宅地が白く輝いている。


  
p24 雪の階段道     p25 ササ道を往く     p26 展望休憩所     p27 鈴蘭台の住宅地


 南方向に延びる雪道
(p28)を進むと、摩耶山のアンテナ塔(p29)の北側に出て六甲全山縦走路に合流する。日差しをたっぷり受ける掬星台(p30)にも雪はしっかり残っていた。新神戸駅から休憩時間を含めて約3時間、黒岩尾根の入口からは約2時間の山行でした。
        
    
p28 雪道を往く       p29 アンテナ塔       p30  掬星台


【 エピローグ 】
 40〜50年ほど昔の天狗道は、勾配は厳しいが歩き易かった。異常気象による豪雨が登山道表面の土砂を押し流し、岩が剥き出しになって、ここ10年ほどで天狗道はすっかり荒々しくなった。膝に爆弾を抱えた爺ハイカーにとっては、頗る厄介な登山道だ。

 それに比べて木組みの階段道が整備された黒岩尾根は歩きやすい。アップダウンも天狗道に比べると少なく、通過に特段の"危険"を伴う箇所もない。さらに西方向の展望が楽しめるポイントも複数存在し、そして何よりハイカーの数が圧倒的に少ない。この尾根道の選択が十分に"有り"だと言うことを確信する山行になりました。

 黒岩尾根道がこのままの姿で永く維持されることを祈りたいと思います。



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