迷走する読売新聞  偏向報道の成れの果て      2012.1.29      



 読売新聞は28日の社説で、民主党政権が「社会保障と税の一体改革素案」で示した「新年金制度の創設」を棚上げすべきだとする驚愕すべき主張を掲げた(p1)。政府が構想する新年金制度では、税を財源とする月額7万円の最低保障年金の支給を謳っている。ところが、民主党の試算によると、高齢化が急速に進む将来において、この最低保障年金の支給を維持するためには、財源となる消費税の税率をさらに上げなければならないという。消費税率10%でさえ実現が容易ではない現状で、この「新年金制度」に固執するのは、混乱に拍車をかけるだけであるから、一体改革の与野党協議で「棚上げしてしまえ!」というのが読売新聞の主張だ。

読売新聞社説はさらに「そもそも政府・与党は昨夏、与謝野経済財政相のもとで一体改革の大枠を決めた際、現行制度を軸に改革するとし、民主党の新制度創設を事実上、棚上げにした。ところが、ここに来て、首相や党幹部は13年の法案提出を明言し始めた。次期衆院選をにらみマニフェストの看板だった新年金制度の旗を降ろすのはまずいとの判断だろうが、今こそマニフェストと決別する勇気が必要だ」と続ける。

確かに一体改革の政府・与党の集中検討会議(第2回会合)で与謝野経済財政相は、月7万円の最低保障年金の財源を税とする考え方について、「今から30年、40年先の話。設計図として描きづらいし、描くにも時間がかかる。なかなか議論は(期限に)間に合わない」と述べ、6月に示す政府の一体改革案には盛り込まない考えを示している。ところが、集中検討会議の結論とも言うべき「一体改革案与謝野社会保障・税一体改革担当大臣提出資料」( http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouginoba/dai1/siryou2.pdf )[2011.6.13付]では、『国民的な合意に向けた議論や環境整備を進め、「新しい年金制度の創設」実現に取り組む』とし、新年金制度は「所得比例年金(社会保険方式)、最低保障年金(税財源)」の二本立てだと明記しているのである。この新年金制度創設の考え方は、その後に発表された一体改革の成案( http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/pdf/230701houkoku.pdf )でも踏襲され、これが現在議論の俎上にあげられている一体改革素案( http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/pdf/240106houkoku.pdf )にも受け継がれている。つまり新年金制度は、与謝野大臣も容認して昨年の6月から既に世の中の議論に晒されているのだ。しかも新年金制度が掲げる月7万円の最低保障年金は、到底実現できない「絵に描いた餅」の制度であることは、電卓を叩くだけで素人でも簡単に検証ができる。読売新聞は、何故、昨年の6月時点で制度の欠陥を指摘しなかったのか!! さんざん一体改革万歳の論陣を張っておきながら、今頃になって何故「新年金制度を棚上げしろ」などと言い出すのか? 共に手を携えて日本国民に対して消費増税を煽ってきた読売新聞の盟友とも言える野田政権が、さらなる消費増税が必要との試算を発表する致命的なミスを犯し、自らの首を絞めている現状に業を煮やした破れかぶれの言いぐさとしか思えない。

国民は、税と社会保障の一体改革と言いながら、中身が見えるのは増税案だけで、年金制度を含めて将来の社会保障の姿が一体改革素案から一向に見えてこない現状に苛立っている。設計図も完成していない注文住宅を購入するのに工事着手金や頭金を払い込む馬鹿な人間はいないのだ。この状況下で、さらに一体改革素案の柱である「新年金制度」を棚上げされてしまったら、何も見えない将来の社会保障制度のために税金だけ先取りされる国民は黙ってはいられない。一流新聞も切羽詰まると、とんでもないことを言い出すものだ。さんざん偏向報道を続けたあげく、迷走を始めた読売新聞と思われてもしかたがないだろう。

今日29日、読売新聞は「特別面」と題する一頁を設けて「負担増を容認 広がる」の見出し(p2)を躍らせた。一見すると国民の多くが今回の消費増税に賛成しているかの印象を与える見出しだ。確かに読売新聞の世論調査によると過去7.5年間で税負担増を容認する人の割合は、26%から37%に増えている。ところが、調査の際の質問内容は「今の社会保障の水準を維持するためには、税金や保険料が今より高くなってもかまわないか」というものだ(p3)。常識的な国民であれば、この質問に yes と答えるであろう。

さらに「社会保障制度を維持するために消費税率の引き上げが必要」だとする人の割合が63%だという。これも前出の質問と大差がないので国民の多くが「必要」と答えるはずだ。しかし、確実に破綻するであろう年金制度まで含めた不透明な社会保障の将来像しか示していない一体改革素案を取引条件に提示して、身を切る改革も進めず、デフレ脱却もできず、さらには消費増税が景気の足を引っ張ることが確実なこのタイミングで消費増税に賛成する国民がどれほどいるだろうか・・? 読売新聞は、民意を正確に把握できる質問を意図的に行わずに、自ら描いた増税容認ストーリに沿った回答が得られるように質問をすり替えている。これは、偏向・売国新聞として有名な○○新聞と同じ手口だ。一度、立案したストーリを何がなんでも変えようとせず、あげくはストーリに合わせて証拠まで捏造してしまったどこかの検察や警察のやり方と全く変わらない。全く情けない。

国民の多くが「社会保障制度を維持するために消費税率の引き上げが必要」と認識しているのだから、ここまま放置したら将来どうなるかを、数字をあげて正直に国民に説明しさえすれば、増税は容認されるはずだ。今まで何も出来なかった民主党政権が、やれ、税と社会保障の一体改革だとか、社会保障を充実させますなどと、格好をつけて言い出すから国民が反発するのだ。読売新聞は一方的に野田政権の擁護に回るのではなく、進むべき正しい道を示すべきでしたね。今頃になって「新年金制度を棚上げしろ」なんて・・完全に手遅れです。

  新年金制度の棚上げを主張する社説の右隣りには、何故か『議事録作らず 責任感なき「政治主導」』の見出しが横たわる(p4)。これほど応援しているのに・・・民主党はこのザマか・・。編集委員の忸怩たる思いが行間から伝わってくるようですね。アハ。
             

 p1 読売新聞の仰天社説    p2 見出しは増税まっしぐら   p3 民意誘導グラフ   p4 「証拠隠滅」の証拠 



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