三草山(554.1m)  所在地:兵庫県猪名川町/大阪府能勢町  

                         地形図:1/25000 妙見山、木津             ルートMAP
 



< イントロ >


 少々寒いが、穏やかな天気で、見通しもまずまず。この季節、木綿の下着しか持っていない貧乏人の山好きには、大汗は禁物。とりあえず汗をかかずに登れる眺望の良い山に上がることにして三草山(p1)を選ぶ。三草山は、昔、川西市に住んでいた頃、歩き始めたばかりの子どもを連れて頻繁に訪れ、明るい芝生の上で弁当を広げた「能勢の郷」に近い兵庫県猪名川町と大阪府能勢町の境界に位置し、丸型の山容と広々とした山頂を持つことで知られる山である。「ゼフィルスの森」という洒落た響きの名前がついた尾根筋のルートを上がることにする。

  テレビは、金星探査機「あかつき」の軌道投入失敗の経緯を伝えている。「はやぶさ」の奇跡で、旧宇宙科学研究所は一生の運を使い切ってしまったから、今度(あかつき)は失敗するかも?と、冗談でN子に話していたことが現実になってしまった。マスコミも世論も「はやぶさ」を賞賛し過ぎた手前、批判めいたことを言えないのかも知れないが、宇宙の彼方で一発勝負をする宇宙開発では信頼性確保のために「実証された技術を使う」のが常識であるはず。金星の周回軌道にのせるための一世一代の大勝負ともいえる「逆噴射」に何故、新開発のセラミックエンジンを使ったのでしょうか? 旧宇宙科学研は、あの「はやぶさ」でもイオンエンジンの新型をいきなり使っている。これは幸いにも奇跡の立役者になったが・・、新型を宇宙での予行演習無しでいきなり使うのは予算上の制約のためなのか、学者さんの好奇心が勝っているが故なのか、それとも失敗しても社会生活には、ほとんど影響が無い惑星探査衛星などの科学衛星にはこれが許されるのか・・? 「はやぶさ」の成果などを実にタイミング良く発表して、忌まわしい事業仕分けの厄難を巧みに回避してきた旧宇宙科学研究所にとっては、このような疑問に答えるのは朝飯前でしょうから、是非とも教えてもらいたいところです。


時 : 2010年12月10日(金)
    天候 : 晴れ

コース : 大阪府能勢町

神山 慈眼寺   →   (ゼフィルスの森) →   山頂    →  才ノ神峠 → 慈眼寺

   11:45          12:15      12:35/13:30    13:45       14:25



< アクセス >

 県道68号(川西三田線)で猪名川町へ出て、県道12号(川西篠山線)を南下する。紫合北ノ町で左折して、東進し、さらに紫合堂田で左折して県道602号を北上する。長谷川の手前で左折して、狭い舗装道路を西進して神山地区に向かい、慈眼寺の手前の道路脇にあるスペースに駐車させてもらう(p2)

   

  p1 神山地区からの三草山    p2 慈眼寺前の道路脇の駐車スペース


< ゴーイングアップ >

 慈眼寺横(南側)の舗装された生活道路を西に進む。左方向への分岐がある。道路脇に最初の道標(p3)があり、指示に従って左折する。西風がかなり強い。貧弱な私の装備のうちで防寒の切り札であるヤッケを早々と着込もうと、ザックを降ろしていると、後ろから同年代と思われるシニアのハイカーが一人追いつく。挨拶を交わす。「その山ですか?」ニコッとして、目の前に現れている丸い山容の三草山(p1)を指差しながら訊かれる。「はい」といつものニッとした顔で答えると、「では・・」と軽快な足取りで過ぎ去る。互いに僅か一言、二言だけだが、不思議な連帯意識を感じてしまう。国道から折れて神山へ向かう狭い舗装道路で私の車の後方につけていた乗用車の人らしい。勾配の緩やかな、ゆったりとした谷筋に棚田が綺麗に整備されている。棚田の横の舗装された農道(p4)をゆっくり進む。分岐には、手作りの矢印表示(p5)が付けられていて不安を消してくれる。
 
      
   p3 三草山への道標         p4 棚田脇の農道          p5 手作りの道標


 慈眼寺から20分ほど歩いて体が温かくなってきた頃に「ゼフィルスの森」への道標(p6)が現れる。その左側にゼフィルス(ミドリシジミ類の蝶)と三草山の名称の由来などを説明した掲示板があり、俄か勉強をさせてもらう。ここからは、山道である。ヤッケを脱いでゆっくりと足を運ぶ。

 植林帯の中の岩混じりの登山道を一頻り進むと、右手が自然林に変わる。前方にバイクの侵入を阻止するための柵(p7)が現れる。ここからがゼフィルスの森である。コナラなどの広葉樹の落葉が厚く堆積した勾配が緩やかな明るい尾根道(p8)を進む。シジミ蝶の保護を意図したエリアに・・の森と名づけて、わざわざ登山者を誘導する本意は何なのだろうか? 偏屈な根性が頭をもたげてしまうが・・。登山道を整備してくれたお陰で、こうやって山歩きを楽しめる。無用な詮索は禁物である。

    
 p6 ゼフィルスの森への道標      p7 バイク止めの柵         p8 ゼフィルスの森


 ササの繁った牧歌的雰囲気の一画を抜けると、今度はヒノキ林に変わる。さらに丸太を埋め込んだ階段状の長い道を登りきると三草山の広い山頂である。先ほど遭遇したハイカーが丸太に腰掛けて既に昼食中のようだ。慈眼寺から丁度50分。予定どおり大汗はかかずに済んだが、何ともあっけなく山頂に到達してしまった


< トップ >

 
 なだらかな広い山頂(p9)のほぼ中央に三角点がある。南東から北西方向まで180°以上の素晴らしい眺望が開け、妙見山、高代寺山、中山山系、大峰山、六甲山系、古宝山、大岩ケ岳、丹生山系、雌岡山、羽束山、有馬富士、大船山、千丈寺山、大野山、滝王山、弥十郎岳などの山々が遠望できる。(p10〜p13) 剣尾山など北から東側の山は、木枝の向こう側でよく見えない。

 左手に握り飯、右手にNAビールを持って、歩き回りながらパノラマの眺望を楽しんでいると、「・・お先に」と昼食を済ませたハイカーさんが出発する。落ち着きのない私の所作に気分を害して早々に退散されたのかも知れない。申し訳ない。バカチョンカメラで山々の写真を撮ってから、独りだけになった山頂で5万分の一の地図を三枚広げて30分ほど楽しむ。のんびりとした良い山です。

    
     p9 三草山頂                p10 能勢妙見山       p11 大峰山(左)、六甲山系(後方)
                                       古宝山(中央)、大岩ケ岳(右)

  
  p12 羽束山、有馬富士     p13 大船山、千丈寺山(右端後方)


< ゴーイングダウン >


 山頂からは、左手が植樹林で右側が自然林の丸太で組んだ階段状の山道を下って、15分ほどで才ノ神峠(p14)に到着する。路傍の石柱や地蔵が丹波と摂津を結ぶ交通の要所であった往時を偲ばせる。才ノ神峠からは、美しい棚田(p15)が広がる山裾の舗装された農道を長谷地区方面に下る。「神山の慈眼寺の横を抜けて長谷に繋がる生活道路」に出たら東進する。才ノ神峠からのんびり歩いて40分ほどで慈眼寺に到着する。

  
   p14 才ノ神峠の道標      p15 美しく整備された棚田


< エピローグ >


 若葉や紅葉の頃、あるいは小春日和の初冬に家族連れでも、一人でも、楽しめる好い山だと思います。三田方面からのアクセスは少々面倒ですが・・。



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