天候 :
曇り、時々晴れ
コース :篠山市 県道301号線
大たわ 登山口 → 小金ケ嶽山頂 → 大たわ →
三嶽山頂(&東峰) → 大たわ
11:30
12:25/13:00 13:40/13:45
14:25/14:50
15:25
<アクセス>
舞鶴・若狭自動車道路を丹南・篠山口ICで降りて篠山市街を抜け、県道301号を北上する。奥畑の集落を抜けて火打岩付近を通過するとき、「御嶽登山口」の表示の横にクマ出没注意の掲示があるのに気が付く。このあたりでもクマが目撃されているようだ。この秋に入った山の中では一番山深いところにあるので、覚悟はしていたが・・。
「大たわ」は22年前には、確か道路の右手(東側)だけに駐車スペースが設けられていたが、現在は、さらに道路の左側(西側)にトイレ付きの大駐車場が作られて公園として整備されている(p3)。駐車場には、京都ナンバーの車が1台先着していた。
p1 小金ケ嶽山頂からの三嶽 p2 三嶽への稜線からの小金ケ嶽
p3 「大たわ」の駐車場
<ゴーイングアップ 小金ケ嶽>
ガイドブックに展望が素晴らしいと紹介されている小金ケ嶽の山頂で眺望を楽しみながら昼食を摂りたいので、まず小金ケ嶽にピストンすることにする。
道路を渡った東側の駐車スペースの北側の端に小金ケ嶽の登山口の道標がある。道標には「クマ出没注意」の表示が架けられている(p4)。注意書きには、鈴や笛、ラジオで音を出せとあるが、生憎、何も持っていない。拾った棒で岩を叩くか、下手な歌でも謡いながら歩くことにしよう。
小金ケ嶽への登山ルートは、まず植樹された杉の樹林帯の勾配が緩いしっかりした道(p5)を一頻り歩き、さらに丸太模様のブロックを打ち込んだ階段状の道を登り切ると、自然林の尾根筋に出る。朱色や黄色の葉群がそこかしこに現れ、紅葉の季節が本格的に到来したことを感じさせる。稜線は、北からの風が強く、汗に濡れた体にはきつい。やがて小金ケ嶽の山容が前方に現れて小休止。
いよいよ鎖場の登場(p6)。軍手を着用して慎重に足場を選んで進む。時折、南北の眺望がひらけて一息つける。汗をぬぐい、呼吸を整える。危険な箇所には、真新しい頑丈な鎖が設けられていて本当にありがたい。雲の切れ間から太陽が顔を出す。北側の鮮やかな山並みを見渡しながら小休止。さらに鎖場が続く。杖代わりの棒を棄てて、両手を使って岩場を這う。駐車場から小休止を繰り返しながら1時間弱で山頂に到着する。
p4「クマ注意」の表示がある道標 p5 杉林の中の登山道 p6 稜線上の鎖場
<トップ 小金ケ嶽>
数十平米の頂上広場は南北にやや長く、たった一人の登山者には十分過ぎる広さである。三角点と消えかかった頂上表示(p7)、近隣の山などの位置を表示した方位盤(p8)が設置されている。
南側の低木に視界が一部遮られるが展望は素晴らしく、東側は八尾ケ山方面に続く多紀アルプスの稜線(p9)、北側には、にしきカントリークラブの鮮やかな黄緑色を真ん中にして北丹波の山並みが続き、西側にはこれから登る三嶽(p1)がどっしりと構える。ここから眺める三嶽の姿は確かに素晴らしい。南西方向には低木の向こう側に白髪岳と松尾山、その後方に西光寺山が霞んでいる。南側には大船山の特徴のあるとんがり帽子の先端も確認できる。南東方向の弥十郎岳とその後方やや右側の大野山もうっすらと確認できるが、木枝が邪魔をして写真までは無理。
北側の果てしなく続く山塊を眺めながら楽しみにしていた握り飯弁当を食らう。変化に富んだ岩稜歩きの緊張感を少しばかり味わった後であるが故に? まさに至福のひとときです。(山頂での携帯電話[ドコモ]の電波強度表示は「3本」)
p7 小金ケ嶽山頂、手前に p8 小金ケ嶽山頂の方位盤 p9 八尾山方面への多紀アルプス
三角点、後方に表示板 の稜線
<ゴーイングダウン 小金ケ嶽>
下山途中でシニアのハイカー二人と遭遇。既に三嶽に登ってきたという。先着していた京都ナンバーの車の人たちらしい。こんなに好い山が、車で簡単にアプローチできるのだから人が集まるのは当然の成り行きなのかも。
<ゴーイングアップ 三嶽>
今度は道路(県道301号)の反対側、駐車場の南端にある石の階段を上がって三嶽の登山口へ。こちらの道標にも「クマ出没注意」の掲示がある(p10)。
クリなどの大木が混じった自然林の尾根筋を貫く幅広のしっかりした道を進む。22年前には、尾根筋はササ薮に覆われ、足首まで掛かる草を踏み込んだ登山道だったが、枯葉剤でも撒いたのか、こげ茶色に朽ち果てたササの幹部分が辺り一面に堆積している。尾根筋の見通しは確かに良くなり、今回に限ればクマと出合い頭に遭遇する危険が避けられることは幸いだけれど・・。何とも異様な景色である。1988年当時に5歳だった下の娘が草の先を掴んで「落ちる、落ちる」と絶叫した急登の登山道は、丸太模様のブロックが打ち込まれた階段道に変身している。さらにはガムの包装紙が散らばり、ブロックの脇にはコーラの空ビンまで落ちている。
呼吸を整えながら段差の大きい階段道をゆっくり上がる。振り返ると木立の間から小金ケ嶽側の山肌が見えてくる。長い階段道を登りきると、岩混じりの急登になる。やがて稜線上の南北の視界が開けて一息つく。なだらかな稜線上を進むと左手に小金ケ嶽の山容全体とその後方に続く多紀アルプスの東側の尾根筋が確認できる(p2)
。登山道脇に空き缶が多数捨てられていて(p11)、折角高揚した気分を削がれてしまう。
さらに進むと役行者像が祀られている石室がある東峰に出る。南北の展望が素晴らしい。南側は、妙見山、西光寺山、白髪岳(p12)、虚空蔵山、三国ケ岳、峰ケ畑、大船山(p13)、弥十郎岳(p14)、大野山などが一気に見渡せる。頂上にいるような錯覚をしてしまうが、山頂はもう少し西側である。
p10 三嶽への道標
p11 道路脇に捨てられた空き缶 p12 白髪岳、後方に西光寺山
p13 大船山(中央左側の後方) p14 弥十郎岳(中央左)と大野山
(弥十郎岳の右手後方)
<トップ 三嶽>
無線中継所が設置された山頂には、一等三角点の横に方位盤が設置されている(p15)。22年前の素朴な雰囲気の山頂(p16)とは様変わりである。山頂からは南側の展望が素晴らしく、東峰に比べて白髪岳が一気に近づいたように感じる。上空に暗い雲が広がってきており、長居はせずに大たわに引き返すことにする。
p15 三嶽山頂(三角点と方位盤)
p16 1988年秋の三嶽山頂
<エピローグ>
山歩き愛好家の皆さんのHPに掲載された山行記録を拝読すると、三嶽に比べて小金ケ嶽の素晴らしさに軍配をあげる人が多いように思う。三嶽の長い単調な階段状の道や、登山道脇のゴミの散乱をその理由のひとつにする人もいる。私もどちらを?と問われたら、変化に富んだ岩稜歩きが経験できる小金ケ嶽を推奨したい。三嶽が「50山」に選ばれた理由は、多紀アルプスの最高峰で、信仰の山であると同時に小金ケ嶽から望むその山容の素晴らしさ、神々しさにあるのではないかと勝手に想像してしまう。
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