裏六甲 ナガモッコク尾根(兵庫県西宮市/宝塚市)       ルートMAP


 【 山行日時/ルート 】 

   日時:2024年2月13日(火)   天候:晴れ 時々 曇り

  ルート:知るべ岩バス停 → 蓬莱峡堰堤 → ナガモッコク尾根取付き → 尾根上ポイント
         10:18      10:21        10:25         10:44

      → 410mピーク → 470m ピーク → 岩原山分岐 → 東六甲縦走路(合流)
        11:09      11:22      11:26       11:54


  総時間(ルート探索・休憩時間等を含む) : 1時間 36分



【 プロローグ 】
 昨年(2023年)の12月から再開した「裏六甲から六甲山系の主稜線に登る」山行シリーズの8回目は "ナガモッコク尾根" を歩いてみることにする。

 ナガモッコク尾根は、西宮市北部の裏六甲を流れる座頭谷川の右岸近くから立ち上がって南東方向に延びる 1 km超の山陵で、南端は宝塚市の最高峰として知られる岩原山(573m)の山頂から北西方向に延びる稜線に結合している。

 登山ルートは、昭文社の「山と高原地図 六甲・摩耶(2021年版)」には記載がなく、吉備人(きびと)出版の「新版 六甲山系登山詳細図(東編)」(以下、登山詳細図という)のルート図には "道標なし・熟達者向き" の注釈が付されている。

 ナガモッコク尾根の北側の取付きは、県道51号線(有馬街道)から南方向に降りて "万里の長城みたい" と形容されている蓬莱峡堰堤を渡り、さらに座頭谷川の右岸を150mほど遡った処にある。県道51号線沿いの "知るべ岩"バス停がアクセスポイントになる。

 「朝一番は冷え込むものの日中は南風が吹いて暖かくなる」との予報が出ている 2/13(火)に入山することにした。
 
 気になるのは "ナガモッコク尾根" の名称の由来についてだが、おそらく "モッコク" の木が尾根上に植生していることから名付けられた?・・と、推測してみたものの、ネットの山行情報にあたると「尾根上にモッコクの木は無い」と断言しているハイカーも存在するようだ。

 六甲山系電子植生図鑑にあたってみると、モッコクの木は 「保久良神社や上ヶ原神社などで見られます。社寺以外ではほとんど見ることができません」と解説されており、上記のハイカー情報が正しいのかも知れない。我が家の庭に植えている "モチノキ" と良く似ているらしいので、モッコクの木の探索も山行目的に加えて入山してみることにする。



【 知るべ岩バス停 → ナガモッコク尾根取付き 】
 人生で三度、車に撥ね飛ばされて宙を舞った経験があるジジイとしては路側帯がほとんど無い県道51号線(有馬街道)を歩くのは御免被りたいので、大枚 \1,900 をはたいて宝塚駅からタクシーを使って "知るべ岩バス停"(p1)まで移動する。
(冬期は阪急バスが運行されていないので、生瀬駅から "生瀬水路道" 経由で県道51号の路側帯を歩く必要があります)

 バス停から県道51号沿いを有馬方向に50m余歩くと左手道路脇にガードレールの隙間
(p2)がある。ここから南側のヤブに囲まれた舗装路に入って東方向に進む。舗装路は道なりに南方向に降りて、 "万里の長城みたい" と言われている "蓬莱峡堰堤"(p3)の上に出る。堰堤の後方には大平山のアンテナ塔が見える。
         
    
p1 "知るべ岩" バス停     p2 ガードレールの隙間から    p3 蓬莱峡堰堤を渡る


 堰堤を渡りきると右手(南西方向)に延びる登山道への分岐
(p4)がある。右手に折れて登山道を150m ほど往くと、左手の山側へ折れる踏跡(p5)がある。左手を眺めると踏跡の左脇の木幹に赤テープが巻かれ、数メートル先の右手の木幹に「←(ナガモッコク尾根) 岩原山・東六甲縦走路」と表示した白いプラスチック板(p6)の私設道標が留められている。ここがナガモッコク尾根の北側の取付きのようだ。

         
      
p4 分岐を右へ        p5 左手への踏跡        p6 私設道標



  【 ナガモッコク尾根取付き → 尾根上ポイント 】
 ナガモッコク尾根歩きは、標高差約120mの急登から始まる。大小の岩が転がる脚慣らし的な上り勾配の山道(p7)を登ると、眼前に今度は崖のような急坂(p8)が現れる。幸い左手にお助けロープが張られている。ロープは比較的新しく、しっかりした立木に結ばれていて引っ張ってみると確かな手応えがある。有り難い。ロープに頼らないように・・と意識しながら登り始めるが、右側には手が届く範囲内に体重を支えられる木枝などが無く、結局ロープに頼ってしまう。

 壁のような急登は左手に旋回しながら、もう一頻り続く。もう一本、別のお助けロープが左側に結ばれていて、今度はこのロープを頼りによじ登る。一息つけそうなポイントまではロープの長さが僅かに足りず、姿勢が高いまま脚を踏ん張って上がろうとして、ふらついてしまう。危ない危ない。ここは地べたに這いつくばるような体勢で這い上がる。登ってきた急坂を上から眺めるとこんな感じ
(p9)です。
          
     
p7 上り勾配を往く      p8 ロープのある急登       p9 急登が続く


 次の急登
(p10)は立木や根っこを掴んで登り切る。シダ道(p11)を登ると、上流から水を引いているのか・・樹脂製の送水管が配置されたエリア(p12)に出る。辺りは踏跡だらけなので、残置テープを追って正規ルート(p13)を見つける。再びシダ道の急登(p14)になり、これを登り切ると、尾根上に飛び出す(p15)

          
 
p10 立木や木の根を掴んで     p11 シダ道を登る      p12 送水管の配置エリア

           
    
p13 正規ルートを探索      p14 シダ道を登る       p15 尾根に出る



【 尾根上ポイント → 410mピーク 】
 ここからは左手にロープが設置された急勾配の尾根道(p16)を登る。ここはロープに頼らずに登り切れる。北方向の木枝の向こうに削られた白っぽい山肌を晒した琴鳴山(p17)が見える。さらに左手登山道脇にロープが張られた急勾配(p18)をもう一頻り登ると、西方向が開けて東六甲縦走路上の大平山、その右手に661m峰など西宮市船坂から南方向に延びる山陵が見える(p19)。どうやら標高差120mの急勾配を登り切って標高290m辺りに達したようだ。

   
 
p16 急勾配の尾根道   p17 琴鳴山の山肌    p18 ロープのある急登   p19 西方向が開ける


 ここからは一旦緩い下り勾配
(p20)になり、前方には次の目標である410mピークの山影(p21)が見えてくる。ここから今日二度目の "上り勾配" になる。標高差は約110m。登り易い穏やかな勾配の尾根道(p22)、そしてシダ道(p23)の後、狭くなった尾根道の急登(p24)(p25)(p26)(p27)になる。風は南から吹いているようでほとんど感じられず、背中は完全に汗で濡れている。


 
p20 緩い下り勾配を往く  p21 410mピークが見える   p22 上り勾配になる    p23 シダ道を登る

          
  
p24 尾根道の急登(1)  p25 尾根道の急登(2)  p26 尾根道の急登(3)  p27 尾根道の急登(4)


 右手前方にピークが近づいて来ているのがはっきり分かるが、山道
(p28)は相変わらず直進だ。ピークの東側を巻くのかな・・と心配になり、地形図を取り出して確認する。やはりこの辺りで右に進行方向を変えるようだ。

 直ぐ先で踏跡は確かに右に折れる。少し登ると、漸く北方向が僅かに開ける。昨晩から気温が上昇して大気中の水蒸気量が増えたためか見通しはさっぱりだが "よみうりCC" の忌まわしい太陽光パネル群の後方に三田の秀峰 大船山が微かに見える
(p29)

 北方向が望めるポイントの南側に平地エリア
(p30)があり、測量基準点らしい標柱が埋められている。この辺りが410mピークらしい。ナガモッコク尾根の取付きから44分である。ここでブラックチョコで一息入れる。

         
   
p28 410mピーク手前を往く     p29 北方向に大船山      p30 410mピーク付近


【 410mピーク → 470mピーク → 岩原山分岐 】
 410mピークからは、右手の木枝の向こうに大平山の電波塔(p31)を眺めながら狭い尾根道(p32)を登る。やがて前方に470mピークの山影が見えて来る(p33)。さらに2分ほどで今度は岩原山の大きな山塊(p34)が前方に現れる。

         
 
p31 大平山の電波塔      p32 狭い尾根道   p33 470mピークが見える  p34 岩原山が見える


 灌木の中を抜ける荒れた尾根道
(p35)を、右手遠くに再び大平山のアンテナ(p36)を確認しながら進むと、見覚えのある分岐に出る。2/2(金)に歩いた赤子谷西尾根ルートの470mピーク(登山詳細図では "北峰" と表示されている)に達したようだ。ナガモッコク尾根の取付きから57分である。この分岐(p37)は、"赤子谷西尾根ルート" が左手から合流し、このまま進むと岩原山方面である。

           
   
p35 荒れた尾根道       p36 大平山の電波塔       p37 470mピークの分岐


 ---  ナガモッコク尾根はここまでとすると "モッコクの木" 探しの結果は・・? ということになるのですが、残念ながら帰宅するまで完全に失念していました。いきなりの急登で頭がカラッポになってしまいました。無念! ---


 見覚えのある私設道標
(p38)を確認してから岩原山方面(p39)に進む。緩い下り勾配を100mほど往くと、再び分岐(p40)に出る。上り勾配の右手に進むと宝塚市最高峰の岩原山の山頂まで踏跡が延びている。直進すると岩原山の北から東側を巻いて、譲葉山西峰の北側で東六甲縦走路に合流する。2/2(金)の山行でこの分岐から岩原山山頂へのルートは確認済みなので、今回は直進して東六甲縦走路に合流することにする。


         
     
p38 私設道標        p39 岩原山方面に進む     p40 分岐で直進する



【 岩原山分岐 → 東六甲縦走路合流 】
 このルートは国土地理院の地形図にも記載があり、昔からの山道のはずだが最近は歩く人が少ないようで落葉に覆われた踏跡は分かり難い(p41)。踏跡は北向き斜面の標高450~500m辺りを山肌にへばり付くように東方向に延びている。

     
      
p41 斜面を延びる踏跡


 アップ・ダウンは少ないが、メインテの恩恵からは見放されているようで、ただの斜面なのか踏跡が存在するのかが判然としない区間
(p42)(p43)や、倒木がそのままの姿で踏跡上に残されているポイント(p44)(p45)もある。


 
p42 不明瞭な踏跡(1)   p43 不明瞭な踏跡(2)   p44 踏跡上の倒木(1)   p45 踏跡上の倒木(2)


 北側(左手)は木立が続くため展望ポイントは無いが、木立の間から琴鳴山の後方に西宮名塩の東山台住宅地や、その北側に忌まわしい太陽光パネルを敷き詰めた「よみうりCC」の太陽光発電所などが見える
(p46)

 岩原山分岐から25分強歩いて踏跡
(p47)が登山道らしくはっきりして来ると東六甲縦走路(p48)に合流する。この冬は裏六甲の踏跡ばかり歩いているので、この縦走路はまさに "スーパーハイウェイ" のように感じる。岩原山分岐から28分、今日の起点の "知るべ岩"バス停からはルート探索・休憩時間などを含めて 1時間36分である。

         
   
p46 北方向が僅かに見える    p47 踏跡が明瞭になる     p48 東六甲縦走路に合流


 東六甲縦走路側からこのルートの東側の入口
(p49)を眺めると、入口左手の木幹(p50)に赤色のマーキングを意図的に消した跡があり、その上部に黄色ペンキで ×印の表示がある。このルートを維持整備してきた組織(団体?)が、メインテの継続を諦めて通行不可の意味で×印を書き込んだのではないか・・と個人的には推測する。

           
    
p49 ナガモッコク尾根方面への入口      p50 "通行不可"表示



【 エピローグ 】
 "上り" でナガモッコク尾根を往く場合は、取付きから直ぐの "お助けロープ" が設置された急登がこのルートのハイライトです。ここを慎重に安全に登り切れば、以降は通過に特別な技量・体力を要したり特段の危険を伴うポイントは有りません。

 踏跡は明瞭でルートを誤る危険は少ないと思いますが、410mピークの手前で「ほぼ直角に右(西方向)に折れる」ポイントが有るので意識しておくと良いと思います。この右折ポイントには残置テープがなく、直進方向には踏跡が続いているので通過してしまう畏れがあります。

 道中に展望ポイントと呼べるような眺望に優れた場所はありませんが、冬期であれば、北側や西方向が "木枝越し" や "木枝の間" から望めるポイントがあります。

 岩原山の北側、東側を巻いて東六甲縦走路に合流するルートは現状、通行に特段の危険を感じるポイントはありませんが "荒れている" ので、それなりの慎重さが必要と思います。



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