鋸山[605.9m] 所在地:兵庫県丹波市/篠山市  地形図:1/25,000 宮田   ルートMAP  


<イントロ>

  台風19号の季節外れの上陸から二日目、大陸の寒気が南下して日本列島は一気に晩秋を思わせる冷え込みとなった。空気は澄んで、先週末と同様に見通しは良いので、北側の素晴らしい展望が楽しめるという「鋸山(p1) 」に登ることにする。「鋸山」は丹波市と篠山市の市境に位置し、北側から眺めるとノコギリの歯に似たギザギザの山容で知られる山で「ふるさと兵庫100山」にも選定されている。

    
     p1 春日町からの鋸山 

 4年前の「三尾山」登山時に立ち寄ったことがある丹波市春日町中山の中山公民館の駐車場に車を駐めて、中山新池から林道を歩いて山頂の西側の鏡峠に取りつくことにする。


 

  日時 : 2014年10月15日(水)    天候 : 曇り、時々晴れ

  コース : 中山公民館 駐車場 → 林道終点 → 鏡峠 →  鋸山山頂  → 鏡峠 → 中山公民館 駐車場
          11:45     12:15   12:45  13:40/14:20  15:10      16:00


< アクセス >

 舞鶴・若狭自動車道の春日ICで降りて、国道175号から県道69号に入り南下する。春日町国領の舞鶴・若狭自動車道の高架下を潜る手前で前方に三尾山(p2)が見え、その左側に今日のターゲットである鋸山のギザギザ型の山容が目に入る。

     
    p2 春日町国領からの三尾山と鋸山


 東方向に向きを変えて県道69号をさらに進む。春日町東中で右手道路脇に「三尾山登山口」と表示した看板がある。これをパスして県道を直進し、鹿場(かんば)地区を抜けて、中山地区に入る。左手道路脇に「中山公民館→」のよく目立つ看板(p3)があり、前方に多紀アルプスの主峰の三嶽(p4)とその右側に西ヶ岳が見え、その右手に鋸山の稜線が延びている。「中山公民館→」の看板から道路を跨いだ反対側の白いガードレールの後ろ側に「→三尾山登山口」の看板(p5)がある。  
      
  p3 中山公民館の看板      p4 三嶽と西ヶ嶽      p5 三尾山登山口の看板 


 ここで右折(p6)して、左側に小川が流れる狭い舗装された農道(p7)を進む。直ぐに道路右側に中山公民館の広い駐車場(p8)が現れる。4年前は福知山駐屯地の第七普通科連隊の隊員輸送車が駐車していたが、今日は広い駐車スペースに駐車車両は無しだ。南東の隅に駐車させてもらう。

      
  p6 「看板」で右折する    p7 舗装された農道を南下   p8 中山公民館の駐車場



< ゴーイングアップ >

【 鏡峠へ 】
 時刻は既に昼近い。急いで身支度をして出発する。まず左手に小川を眺めながら舗装された農道を南下する。二つ目の橋(天神橋)(p9)の十字路で左折して橋を渡り、直進する。道なりに進んで、右手の立派な構えのお寺(正覚寺)(p10)の前を通り、ゆるやかに右にカーブしながら道なりに進むと、田園の中を抜ける道(p11)になる。前方には、鋸山のギザギザが横たわる。振り返ると北方向に妙高山(p12)の優美な山容が眺められる。

      
    p9 天神橋を渡る     p10 正覚寺の門前を東へ    p11 農道を南下する

  
   p12 妙高山を望む


 化学工場(p13)の西側を抜ける。舗装道路は、地道の林道に変わり、前方左手に中山新池(p14)が見えてくる。池の横に獣避けゲート(p15)がある。ゲートには「11/15迄 松茸山入札期間に付き、国土地理院発行の地図による登山道以外の入山を禁止します」と表示された看板が掛けられている。ゲートを通過して幅広の林道(p16)を進む。  

      
  p13 工場の西側を抜ける     p14  中山新池     p15 獣避けゲートを通過

  
  p16 幅広の林道を南下する


 林道の分岐(p17)があり右側の林道を上る。植林帯を抜ける林道(p18)はかなり荒れていて、普通乗用車での走行は無理なようだ。ゲートから15分強で林道の終点(p19)に達する。「林道終点に車を置いた」というネット情報があったが、確かに駐車スペースがあり、四駆のオフロード車であればここまで入れそうだ。

      
  p17 分岐で右側の林道を行く   p18 荒れた林道      p19 林道の終点


 ここからは勾配がやや厳しい湿った登山道(p20)を行く。集中豪雨の影響だろうか登山道には、落下したスギやヒノキの木枝が散乱し(p21)、巨大な倒木(p22)を越える試練にも晒される。単調な登りが続くが、標高300m辺りからは植林帯が途切れ、時折、自然林(p23)も現れて気分転換ができる。  

      
   p20 湿った登山道      p21 木枝が散乱する山道   p22 倒木を越える

  
  p23 自然林が現われる


 大きな倒木(p24)を跨いで、右手から流れ込む小さな沢(p25)を左に巻くと、U字型に掘れた登山道の先に道標が立っている(p26)。今日初めて遭遇した道標(p27)だ。「鏡峠 425m」と表示されており、ここが鏡峠のようだ。中山新池のゲートから43分を要した。背中は既に汗まみれ、ここで小休止とする。

      
    p24 倒木を跨ぐ      p25 左に沢を巻く       p26  鏡峠

      
    p27 鏡峠の道標


【 山頂へ 】
 ここからは、東方向に向かって稜線道(p28)を進む。鋸山の山頂に向かう稜線道は、狭い尾根道(p29)を抜けるかと思えば、どこが踏み跡かの識別も難しい幅広の尾根道の上り、下りを繰り返すことになるが、複数の尾根が合流してルートを誤り易いポイントには、「分水界の径」と表示された道標(p30)が立てられている。本当にありがたい。稜線道には時折、強い北風が吹いて心地よい。

    
 p28 稜線道を行く      p29 狭い尾根道        p30  道標


  佐仲ダムからのルートと合流(p31)しても相変わらず、「いったん下って上り返す」を繰り返す。巨岩(p32)の手前に設けられた鏡峠から四つ目の「分水界の径」の道標(p33)からは、どこが登山道かの識別が出来なくなり、右手方向の木幹に巻かれたテープ(p34)(p35)を頼りに厳しい勾配の山肌を斜めに登る。

    
 p31 佐仲ダムルートと合流   p32 前方に巨岩(左側)     p33 四つ目の道標

  
p34 残置テープを頼りに・・   p35 テープが頼りの登山道


  登り切った稜線上のポイントに置かれた五つ目の「分水界の径」の道標(p36)は、まさに絶妙の位置にある。鋸山の山頂から稜線道を下ってきたとき、この道標が存在しなかったら、そのまま稜線を下ってしまい道を失うことになるだろう。
      
     p36 絶妙のポイントに置かれた道標


 ここからも何処が踏み跡かの識別も難しい稜線(p37)を辿る。580mピークの手前の急登は、立木(p38)に掴まって体を支えながら進む。灌木に覆われた狭い稜線道(p39)を行くと北方向が開けてどっしりとした妙高山(p40)が一望できる。

    
p37 踏み跡が不明瞭な稜線  p38 立木に掴まって進む    p39 狭い稜線道


 p40 妙高山を望む


 苔の生えた大きな露岩(p41)の横を抜け、さらに幅広の稜線道(p42)を進むと、前方の木枝の間から山頂(p43)が見えてくる。立木(p44)の間を抜けて最後の下りと登りを繰り返すと、三等三角点(p45)が埋められた20平米ほどのスペースの山頂(p46)(p47) に到達する。鏡峠から休憩時間を含めて1時間弱(55分)である。

    
 p41 稜線上の露岩       p42 幅広の稜線道    p43 山頂が見えて来る

    
p44 立木の間を抜けて・・    p45 山頂の三等三角点    p46 山頂スペース

  
  p47 山頂表示


< トップ >

 ガイドブック(ふるさと兵庫100山 兵庫県山岳連盟編)に紹介されていたとおり、山頂からは北方向に大展望(p48)が広がる。県道69号沿いの旧春日町の市街を挟んだ北側には優雅な山容の妙高山(p49)がどっしりと座り、その右手の後方には大江山がくっきりと遠望できる。妙高山から左に辿ると、旧春日町黒井地区の北側には黒井城跡、その後方に五大山、さらに右手後方には五台山も眺められる。五大山の左手のはるか後方には一際高い、朝来の粟鹿山(p50)が存在感を示し、西側(p51)は、隣の三尾山の後方に向山から譲葉山に延びる稜線、そのはるか後方に、千ヶ峰や三国岳も確認できる。東側(p52)は、多紀連山の主峰三嶽と西ヶ嶽の美しい山容に圧倒される。


                  p48  北側の展望

      
     p49 妙高山方面         p50 北西方向の展望

    
     p51 西側を望む          p52 東側を望む


  山頂は冷たい北風に晒され、一遍に体が冷えてくる。ウィンドブレーカを着込み、久しぶりの大展望を楽しみながらの遅い昼食とする。


< ゴーイングダウン >

 帰路は同一ルートを歩いて鏡峠に戻る。結局、道中で出会ったのは正覚寺の門前で掃除をしていたお母さん一人だけ、山中ではハイカーどころか、ヘビ一匹とも遭遇せず、静かな山歩きを楽しめました。


< エピローグ >

 おもしろい山です。鏡峠から山頂までは「単純に稜線を東方向に辿ればよい」と思い込んでいましたが、丁度、背骨に結合するあばら骨のように、東西方向に延びる稜線に南北方向から複数の尾根がつながっていて、決して「単純」ではありません。幸い「分水界の径」と表示した道標が絶妙のポイントに配置されている他、ここぞという位置に残置テープがあり、道を失うことはありませんでした。

 遠くから眺めた「ギザギザ」は、即ち急峻なアップ・ダウンの繰り返しであることも、山中で改めて認識する羽目になりますが、それはそれでまた楽しいと思います。山頂から北方向の展望は秀逸ですから、見通しの良い日を選んで登山されることをお薦めします。山中には誰もいません。寂しがり屋の「おひとり様」はクマ鈴など、音が出るものを携行されると気晴らしになるかと思います。( 作成:2016/6/20  改訂:2020/4/30 )



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