大船山(653m)  所在地:兵庫県三田市    地図:1/25000 木津    ルートMAP  



<イントロ>


  何時の頃からか、TVの報道番組や紀行番組でレポートされた場所を手元の地図でそっと確認するのが私の密かな楽しみのひとつになっている。いつものように「帝国書院 新詳高等地図」の近畿地方(100万分の一)の地図を何気なく眺めていると、JR福知山線に沿った三田市のマーキングの右上に「大船山」という山があることに気が付いた。大阪府との境界に位置する妙見山などを除くと、阪神、北摂、丹波、東播磨でこの地図に記載されている山は、六甲山、三国ヶ岳とこの大船山の三座だけである。
 
  早速、インターネットで調べてみると、大船山は「兵庫50山」の一つで、その山容の秀麗さと頂上からの眺望の素晴らしさで山歩きを趣味とする人たちの間では知る人ぞ知る名山の由。昭和60年に川西から三田に移り住んで以来、高血圧予防のために何度となく足を運んだ有馬富士でも、南側の展望ばかりに目を奪われて、北側に存在する三田市域の山々に関心を持たなかった。山といえば「六甲紅葉谷」と「有馬富士」、たまに「虚空蔵山」というマンネリズムを打ち破るきっかけになるかもしれないという淡い期待をもってアマゾンで「ふるさと兵庫50山(兵庫県山岳連盟編)」を購入。この秋は、大船山を手始めに50山のうちのいくつかを楽しむことにしたい。


日時 :
2010年9月21日(火)    天候 : 晴れ

コース : 十倉公民館 → 山腹の鞍部の分岐 →「波豆川バス停方面)/山頂」分岐 →  山頂   → 十倉公民館
            11:35           12:15                       12:30                12:50/13:20           14:20


<アクセス>


  雨雲が消え去り、日差しが戻った11:00過ぎに自宅を車で出発。有馬富士を左手に見ながら、三田市志手原の交差点から県道37号線(三田後川上線)に入り、木器から北上。高平小学校を経て、十倉へ。右手の道路脇の「大船山登山口」の看板(p1)で右折する。右手に大船山の美しいピラミッド型の山容(p2)が確認できる。500mを越える山は、昨年11月の
虚空蔵山以来、10ケ月振りだ。

 看板から50mほど進んで右側の十倉公民館前の公園(p3)に駐車させてもらう。消防庫の前(サイレン塔の前)は駐車
禁止の表示があるので、その横のスペースに車を止める。最高気温が32℃を超える厳しい残暑の中、出発する。

    
    p1 大船山登山口の看板        p2 大船山の山容         p3 十倉公民館前の公園


<ゴーイングアップ>


 猛暑で開花の遅れが心配されているコスモスが、ここでは綺麗に咲いて用水路の傍らで風に揺れている。曹洞宗長慶寺の前の舗装された道路を登山口に向かう。登山口には獣よけのワイヤフェンス(p4)が張られているが、右端のワイヤを跨いで通過する。(小柄な人は中央部のワイヤの隙間をくぐれます)
 
  作業道を歩いて程なく溜め池が三つ続く。三田の市街地では、9月7日の台風9号の接近時に少量の雨があっただけで、連日の猛暑が続いているが、この溜め池の水は涸れていない。山沿いのこのあたりは、夕立があるのかも知れない。三つ目の溜め池の堤を廻って山道に入る。波豆川方面への道標がある。しっかりした登山道を進む。右手の登山道脇に竹や小枝で作った「杖」が置かれている。高齢登山者に向けた地元の皆さんの心づくしだろうか? ありがたい。
 
 間伐や下枝刈りが十分でない杉林の中をひとしきり歩く。眺望は全く無し。暗く、湿った、岩混じりの谷筋の道を進む。ときおり倒れ木をくぐる。湿度が高く、大量に発汗する。小バエが数匹、頭の周りに纏わり付く。タオルを頭上で振りながら進む。溜め池から35分ほどで山腹の鞍部にある分岐(p5)に到着する。右手、大船山頂の道標がある。(直進すると大磯の三田アスレチックス側に降りられる) 

  立派に育った
杉林の中をさらに進む。杉の丸太を二本並べて作った真新しいベンチがある。腰を掛けて麦茶で喉を潤す。分岐から15分ほどで二つ目の分岐に出る。道標(p6)があり、右手が山頂、直進すると波豆川のバス停方面と表示されている。杉の切り株で作ったベンチが複数あり、腰掛けて暫く休憩する。

  
   p4 ワイヤフェンス          p5 鞍部の道標         p6 「波豆川バス停/山頂」分岐の道標


  ここからは、山頂への急登である。登山道に沿ってロープが張られていて、時々、ロープのお世話になる。既に杉の樹林は無く、ツバキ科の常緑樹や、クリやアカガシなどブナ科の樹木が混在する自然林の中の急峻な道を登る。二つ目の分岐から20分ほどで山頂に到達する。結局、眺望は、山頂に到るまで全く無し。
 

<トップ>


 
山頂広場(p7)は数十平米ほどあり、組んだ岩塊の間に収め
られた小さな祠がある。頂上の西側に立てられた三田市観光
協会の掲示板には、「磐鏡のあと」と説明されている。
掲示によると、遥か昔の湖沼時代には、このあたりは沼で、大船山は島になっていて、船を繋いだ松があったことから大船山と名づけられた由。上古、西国から海路で都に帰った柿本人麿が明石海峡からこの山を遠望して、大和に帰還した喜びを詠んだ歌が紹介されている。祠の後方には、三等三角点(p8)がある。

 
p7 山頂広場[掲示板(左)と祠(右)     p8 三等三角点

  雨が近いせいか遠くは霞んでいるが、山頂からの眺望は、まずまずである。北側と東西は、樹木で視界が一部遮られるが南側は、波豆川や高平の集落から羽束山(p9)がくっきりと眺められ、遠く六甲の山並が霞んでいる。澄んだ日には大阪湾まで見渡せるとガイドブックにあるが、今日は無理のようです。南西方向には、花山院や有馬富士(p10)。西には千丈寺山、その後方に虚空蔵山が霞んで見え、南東には、山肌に小石を散りばめたような川西の団地群が確認できる。南側に面したベンチに腰を降ろして、眺望を楽しみながら昼食を摂る。どうやら登山者は私ひとりだけらしい。

 
 p9 羽束山(左)と宰相ケ岳(右)    p10 有馬富士(最後方)


(ドコモの携帯電話は山中、山頂とも「圏外」)


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