大岩ケ岳(384.1m)  所在地:兵庫県三田市/神戸市/宝塚市  

                             地形図:1/25000 武田尾             ルートMAP 
 



< イントロ >


 台風一過の「秋雨」をもたらした低気圧がオホーツク海に移動し、日本列島は再び冬型の気圧配置となる。三田市域は、見通しは今ひとつながら秋晴れ。祝日の明日(11/3)は、大勢の人が紅葉狩りに繰り出すと予想されるので、山行は今日がチャンス。先週、金毘羅山から眺めた大岩ケ岳を歩いてみることにする。大岩ケ岳(p1)は千刈貯水池の東側の三田市/神戸市/宝塚市の市境に位置し、先日新たに購入した「兵庫県の山」(山と渓谷社)によると、楽しいヤブ山であるが、枝道が多く地形が読めるハイカー向き。地形図やGPSを持参して現在地を確認しながら歩けとある。GPS?何のことやら。とにかく行ってみよう。 

 ニュースショー番組が軒並み「露大統領の国後島訪問」の衝撃ニュースを報じている。ゴロツキ国家に囲まれた日本です。弱みを見せたら、直ぐにやられてしまいます。毅然として・・粛々と・・、虚しく聴こえますね。


時 : 2010年11月2日(火)
    天候 : 晴れ

コース :
千刈浄水場 → 千刈ダム →(北ルート)→ 大岩ケ岳山頂 →(南東稜線)→ 鉄塔#180 → 東山橋 → 浄水場   
      11:20      11:45    12:05      13:10/13:40                         15:30    15:35



< アクセス >

 国道176号を南下し、道場東口の交差点で右折して県道327号(切畑道場線)に入り、JR道場駅を目指す。道場駅周辺といえば、昔、車で出掛けて家族で船坂川沿いを歩いたことがあるが、どこも道が狭く、駐車スペースが少ないにも関わらず物凄い人出で、弁当を広げる場所を確保することさえ大変だった苦い思い出がある。生野橋を渡り、JR道場駅の西側の踏み切りを渡って浄水場に向かう。浄水場の手前の道路脇にスペースを見つけて駐車する(p2)

    
p1 金毘羅山からの大岩ケ岳(手前)   p2 浄水場の手前の駐車スペース
  後方は大峰山


< ゴーイングアップ >

◆ 登山口へ
 浄水場を右手にして、車がすれ違うのも苦しい狭い舗装道路を徒歩で西進する。念のために浄水場の西側に、帰着予定地点となる「東山橋」が存在することを確認してから波豆川沿いを北上する。舗装道路の終点まで進む。古い浄水場の門の前に広い駐車スペースがあり、車が3台駐車している(p3)駐車スペースの川沿いの北端に自然歩道の道標がある。道標の指示に従って波豆川沿いの道を北上する。左手には浄水場のフェンスが続く。渓流釣りに来たらしい男性二人とすれ違う。

 前方に千刈ダムが見えてくる。接近すると大量の水を放水しており壮観である(p4)。ダムを左手に見ながら波豆川にかかる歩道橋を渡ると「大岩岳へ」の道標(p5)がある。川沿いを暫く進む(ダムに向かう道の反対方向へ)と、左手に山に入る道(p6)があり、足元近くの木に「大岩ケ岳登山口」の表示(p7)が掛けられている。ここから山道になる。

        
      p3 駐車場           p4 千刈ダム             p5 道標   

  
     p6 登山口           p7 登山口表示             


◆ 北ルートから山頂へ

 暫く沢筋を進み、さらに沢を離れて少し登ったところに分岐がある。右方向への道の木枝に「南ルート」の表示がある。地形図を眺めると貯水池の東側を北上するルートの方が展望も良く、貯水池の水面を見ながら歩けそう。右手が「南ルート」なら、こちらは「北ルート」と勝手に決めて北上する。歩き出して間もなく左手眼下に期待したとおり水面が現れる。「山の友ここに眠る」の碑に手を合わせてから一息つく。

 登山道は、黄色や朱色の勢いが増しつつある雰囲気の良い自然林の中を北上する。左側は崖なので、景色に見とれていると危ない。いったん下って小さな沢を二度跨ぎ、今度は登ると再び貯水池(p8)が見える。武庫ノ台ゴルフ場の黄緑の向こう側に有馬富士の山頂が顔を出し、前方やや左手に羽束山が見え隠れする辺りで、右手登山道脇のアカマツの幹に「大岩ケ岳は右へ」と表示された木板(p9)が留められている。分岐を右に進み、急登になる。登りきって山頂かと思いきや、前方にさらにピークが続く。西側を除いて素晴らしい眺望が開けて、ここで小休止。好い山に来た。満足感が溢れる。あと一息。いったんかなり下ってから本物の急登になる。

  
    p8 千刈貯水池            p9 道標


< トップ >

  山頂広場(p10)は数十平米ほどで二等三角点、掲示板、頂上表示(p11)がある。誰もいない。南側の一部を除いて素晴らしい展望が開ける。北側には、目の前の羽束山、その左手後方に千丈寺山、その左後方に微かに白髪岳、北西方向には有馬富士(p12)、後方に虚空蔵山、その左側に上山、西光寺山。白髪岳の左手にはとんがり山も見える。深い緑の中に市街地や団地の白色が映えて美しい。南東方向は、古宝山の三角形の右手に大峰山(p13)の山塊がどっしり。西風がかなり強い。ヤッケを着込んで山頂広場の真ん中の岩に腰掛けて北側の眺望を楽しみながら昼食を摂る。

    
     
p10 山頂広場、後方に羽束山、       p11 山頂表示      p12 有馬富士(手前右)、金毘羅山(手前左)
   千丈寺山(左最後方)                       後方は、西光寺山、上山、虚空蔵山、西寺山

 
     p13 大峰山  


< ゴーイングダウン >


◆ 山頂から丸山分岐へ
 あと30分ほど山頂でノンビリしたいところであるが、風が強すぎて体が冷えてきたので下山することにする。下山道は、丸山分岐から砂山を経由して東山橋に降りるルートに決める。「道場駅」と表示された山頂からの下山道を選んで南東方向の尾根を一気に下る。この秋に経験した一番の急傾斜の下り坂かも知れない。

 降り切ると沢があり、沢を渡ったところに立派な道標(p14)がある。「丸山湿原/千刈ダム」方面は、沢を渡らず右に折れて沢筋を進む。沢に沿って暫く進むと左手の沢筋を外れる方向に向かう「東山橋←」の道標(p15)がある。道標に従って進む。丸山分岐に向かっていることが分かる。さらに「東山橋」の赤矢印表示があり、ここが「丸山分岐」と判断して右に折れる。

  
p14 丸山湿原/千刈ダム方面への    p15 東山橋への道標
   道標



◆ 枝道に入り現在地不明

 前方から複数の人の声が聞こえたと思ったら突然、迷彩服を着用し、顔に地べた色のクリームを塗った陸上自衛隊員と思える数人が現れる。思わず脇に避けて「ご苦労様です」と言ってしまう。二人目の隊員が敬礼をする。「ご苦労様です」を繰り返す。リーダらしき人が「急げ」と檄を飛ばすと、隊員が次々に現れる。全部で10人ほどいただろうか。

 皆、幼く少年のように見えたのは、こちらが爺さんになったせいかも知れない・・。山中で初めて遭遇した人間が自衛隊員とは・・何かの因縁かも・・。などといらぬことを考えているうちに、自分が歩いている道が尋常でないことに気が付く。道は踏まれていて、たまに木枝に赤や白のテープも巻かれているが、雑草や木枝の張り出し方が大勢の人が頻繁に通っている道とは思えない。地形図では下山道は、砂山を抜けて南西方向に進むはずだが、南南東か南方向に進んでいるようだ。自衛隊員と遭遇した地点あたりで枝道に入ってしまったのかも知れない。とはいえ南方には、向かっているのでこのまま進むことにする。


◆ 枝鉄塔#180から沢筋ルートで東山橋へ

 緩やかな上り、下りを繰り返しながら、突然、幅広の道と交差する。頭上に送電線が走っている。少し進むと、登山道脇に「No.181」と、No.欄がブランクの黄色の矢印表示板が設置されていて、関電の巡視路を歩いていることが分かる。次はNo.180か、No.182だろうと想定して右手の鉄塔の方向に進む。No.180の鉄塔の下に出た。さらに左手の樹脂製のブロックを打ち込んだ階段状の長い急坂を下る。頭上に送電線が走っているので、地形図を確認する。どうも、△281.4mピークの西側の送電線の下にいるらしい。

 道は沢筋に入り、沢を二つ渡って、二つ目の沢を右手にして進む。右「No.179」の標識がある。沢沿いの道は、沢を何度もトラバースしながら下っていく。沢の瀬音が心地よい。どうやら関電巡視路を抜けて、1/25000地形図にある砂山を経由するルートのもう一つ南側のルートに合流したようだ。福知山線の列車の音が聞こえて来る。

 突然、登山道の前方を塞ぐ樹脂製のロープが現れる。ロープを潜って向こう側に回ると、何と「入山禁止」の掲示板(p16)がある。ここは、東山橋からこのルートで登るときの最初の分岐にあたる。山頂にあった掲示板には、登山道から外れさえしなければ、マツタケの季節でも入山してよいと解釈できる文言があったが・・。とにかく、私は入山するのではなく下山するのだからと勝手に自分に言い聞かせる。

 浄水場の駐車スペースに戻ると、車が一台増えている。サイレンが聞こえて救急車が私の前に止まり、生まれて初めて救急隊員に道を尋ねられる。色んなことがありました。


   p16 入山禁止表示


< エピローグ >


 帰宅して、いつも参考にさせて頂いている「やまぼうし」さんのHPの大岩ケ岳の山行記録に、No.179とNo.180を含めて全ての鉄塔の位置が記載されているのを発見する。自分が想定した位置に近かったことにほんの少し満足すると同時に「やまぼうし」さんの実力に驚嘆する。凄い人がいる。世界は広い。



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