二度目のナイアガラ(レインボー・ブリッジを渡ってアメリカ側の「風の洞穴」に)                       
                                                                      2010.6.16
 


<イントロ>

 年初から今年はスイスアルプスを眺めてみようと決めていた。4月初めにJTB旅物語のルフトハンザ直行便を使うドイツ経由スイス行きツアー(7月出発)を申し込むが、何と、予約満杯でキャンセル待ちになってしまう。4月中旬にアイスランドの火山が噴火して欧州の航空路線がマヒし、別の火山の噴火の可能性も取り沙汰されていたので、欧州ツアーはキャンセルが続出するだろうと見ていたが、どういうわけかキャンセル待ちの身分から一向に解放されない。
 
 仕方なしに行き先をカナダに変更して、JTB旅物語の「カナダベストハイライト8日間」に申し込む。トロント経由でナイアガラへ、再びトロントに戻ってカルガリーへ飛び、カナディアン・ロッキーで遊んでからバンクーバへ足を延ばすツアーです。前回の10万円ポッキリツアーと違って、全食事付きで、宿泊も一応、名前の知られたホテル。N子と私にとっては、最初で最後となるかも知れない超豪華版のツアーです。

 フリー・タイム(オプショナルツアー付き)は、ナイアガラでの二日目の午後だけ。ツアー仲間の他の皆さんは、ナイアガラを空から眺める遊覧飛行や、ワインの試飲付きのオン・ザ・レイクへのバスツアーのオプションを申し込んでおり、単独行動は、私とN子の二人だけ。今回は、宿泊したホテルの真ん前にあるレインボー・ブリッジ(p1)を歩いて渡ってアメリカ側に渡り、ナイアガラで最も刺激的なアトラクションと言われる「風の洞穴」(p2)で全身水浸しになろうという計画です。さて、今回の首尾は・・。
     
 p1 レインボー・ブリッジ     p2 風の洞穴(滝の下の木製のデッキ上)
 


<レインボー・ブリッジへ>

◆ 準備

 添乗員のKさんから午後の段取りについての説明があった後、昼食は、ホテル・シェラトン・オン・ザ・フォールスの滝の見えるレストランでのバイキングです。Kさんの説明で、単独行動は私たち二人だけということが皆にばれてしまって、食事をしながら午後はどこに行くのか?とさかんに訊かれる。「そこの橋を渡ってアメリカに入国して、・・」と話すと、東大阪にある会社の社長さんらしいTさんがかなり興味を持った様子で、さかんに頷いてくれる。私たちがアメリカ側へ渡ることを知った添乗員のKさんが、アメリカの入出国管理カード(様式I94W)を提供してくれる。ありがたい。事前に記入しておけばアメリカ側の入国審査での手間が省けるだろう。

 カジノの隣りにある私たちが宿泊するホテル・クラウン・プラザの前でオン・ザ・レイク行きのバスに乗り込んだツアー仲間の皆さんと別れて、いったんホテルの自分の部屋に戻って準備をする。様式I94Wに記入を済ませる。「風の洞穴」では、荷物を預けるか自分で持つことになるので携行物をできるだけ減らす算段をする。日本で購入した防水のインスタントカメラは必携。荷物を濡らさないためのポリ袋、用意しておいた橋の通行料金の「25¢コイン2枚」を二人分計4枚、アメリカ入国税の6$×二人分、それとパスポートを忘れずに、いざ、出発。

◆ 橋の真ん中へ

まずホテル(カジノ)の前の道路(フォールス・アベニュー)を渡る。道路の向こう側には、レインボー・ブリッジへの方向を示す大きな看板(p3)が設置されている。道路を渡り、駐車場を通り抜けて橋の方に向かうと、免税店の奥に「徒歩専用」の出入り口(p4)がある。「To USA」と表示されたドアを押して入る。

  
p3 レインボー・ブリッジへの道標   p4 歩行者専用出入口

 右手に両替機(p5)が置かれている。25¢コイン×2枚の手持ちが無い場合は、紙幣を両替できる。カナダドル用とアメリカドル用の二種類の両替機が置かれているので、どちらの紙幣でも両替ができる。私たちは、あらかじめコインを用意してあるので、25¢2枚の計50¢を回転バー(p6)の投入機に入れてバーを回転させて通り抜ける。

  
    p5 両替機             p6 回転バー

 橋の上からの眺望は素晴らしく、まさに絶景(p7)(p8)。アメリカ滝とカナダ滝の位置関係などが良く分かる。橋の真ん中に国境線を示す表示板(p9)が設けられている。これを越えるとアメリカです。


      
p7 ブリッジ上からの両滝      p8 ブリッジ上からの滝と霧の乙女号   p9 「米国/カナダ」国境表示板


<アメリカ入国審査> 

 橋を渡ったアメリカ側に入国管理室がある。ラテン系と思われる人たち、韓国人のツアー客と添乗員らしい人が先着している。皆さんアメリカに再入国するらしくパスポートを見せるだけで出て行く。私たちの順番が来る。パスポートと既に記入済みの入出国管理カード(様式I94W)をアフリカ系と思われる窓口担当官のオジサンに提出する。

 まず入国目的を訊かれる。「風の洞穴に行く」と答えると、滞在時間を訊かれる。とりあえず「3時間」と答える。ここまでは、順調。すると「メガネを取れ」と言われる。エッ? 確かにTake off (yourが聞こえなかったが・・)glasses. と言った。何故、ここでメガネなんだろう? いつもの私の悪い癖で、予期しない事態に遭遇すると固まってしまうのです。ひょっとすると「風の洞穴」の水しぶきでメガネが吹っ飛んでしまうから・・それを言ったのかな?と、とんでもないことを考えて、ニッと笑って、「風の洞穴で?」と言ってしまう。先方は一瞬キョトンとしたが、直ぐ気を取り直したように、さっきよりも強い口調で、もう一度「メガネを取れ」と言う。何でメガネを取るんだ? と隣にいるN子に言うと、「カメラかな?」とN子。「カメラ?」と言いながら私の目の前に突き出ている先端にガラス球のようなものがついた湾曲した棒に気が付く。そうかこれがカメラか? メガネを取ってカメラの前に顔を突き出す。OKと言われる。

 次に Push ・・(your first fingerと聞こえた)と言って、ガラス板を指差す。これは指紋だなと判断して、your first finger と言ったようなので、人差し指か?と思いつつ指を一本、ガラス板に載せる。すると four fingers と言ったような・・。親指を除く4本を載せると、Push hard と言われる。力を入れて押すと、今度はharder!と言う。エライコッチャと思いながら力一杯押す。どうやら私の指紋の溝が浅くて見にくい様子。OK, and thumb と言う。「親指だな」とつぶやきながら今度は親指でガラス板を押す。またPush hard を繰り返される。次はN子。N子は指紋が深いらしくスンナリ終わる。今度は「6ドル」とぶっきらぼうに言われる。入国税の6$×二人分の12ドルをアメリカドルで支払う(注1)。オジサンは「スロー、スロー・・」と呟きながらパスポートにスタンプを押して、様式の一部をパスポートにホチキス留めする。パスポートを返してくれて「OK」と言いながら小さく両手を挙げてバンザイポーズをする。これで完了だ。

(注1) 入国税の支払いはクレジットカードでもOKです。



<風の洞穴>

 橋からアメリカ滝(p10)の横を通って「風の洞穴」に向かう。風の洞穴(p11)のアトラクションは、今日は混雑はしていないようだ。入場料は、一人11$。ガイドブックには8$/人と書いてあったが、値上げされているようだ。受付に進むと、アジア系のお兄さんから突然「足のサイズ」を訊かれる。予期しない質問。インチで答えるのかな? センチメートルでいいのかな?と考えて、また固まってしまう。しょうがないなといった顔つきで、お兄さんがゴム底のビーチサンダル風の履物を出してくる。このサンダルは持ち帰って良いと言う。さらに荷物入れ用のポリ袋と黄色のカッパをくれる。カッパを着て、靴をサンダルに履き替え、荷物をポリ袋に入れて水がはいらないようにしっかり縛り、アメリカ滝に向かう。

 「風の洞穴」の水の凄まじさは、筆舌に尽くしがたしです。まさに全身びしょ濡れです。写真をご覧ください(p12)。N子の水濡れ姿のお色気は、カッパの色は同じでも、映画「ナイアガラ」のマリリン・モンロー嬢には遠く及びませんでした。

    
 p10 横から見たアメリカ滝    p11「風の洞穴」のチケット売り場       p12 風の洞穴


<カナダ再入国>
 
 大分、疲れてしまったようでホテルまでの帰り道は、かなり遠く感じる。米ドルが残っていたので、丁度、全部使い切る分のアイスクリームを道端の売店で買って、歩きながら舐める。カナダ側の入国管理室は、両替機と回転バーがある徒歩専用の出入口に隣接して設けられている。パスポートを差し出すと、担当官からの質問は、「アメリカに何時間いましたか?」だけだった。パスポートにホチキス止めした切れ端を担当官が外し(注2)、パスポートを返してもらって全て完了。 

(注2) これを渡しておかないと記録上アメリカに入国したままになってしまうので注意が必要です。  


<エピローグ>

 夕食後、東大阪のTさんから、アメリカ入国の冒険談を聞かせてもらいました。Tさんは、遊覧飛行のオプショナルツアーに参加した後、昼食時に私が話したアメリカ入国の計画に刺激されて、奥さんと一緒にレインボー・ブリッジを歩いて渡り、アメリカに入国したそうです。米ドルは一切持たず、入国審査では一言の英語も話さなかったようです。審査官と日本語でやり合っていると、韓国人の若者が助け舟を出してくれて、入国税まで払ってくれたと感激していました。大阪人の行動力は素晴らしいですね。


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