千丈寺山(589.6m)  所在地:兵庫県三田市      地図:1/25000 藍本           ルートMAP        



<イントロ>

 
 千丈寺山(注)は、三田市のほぼ中央に位置し、一等三角点と天狗伝説、そして大権現の信仰の山として知られている。登山ルートは、今春開設された三田市乙原(おちばら)の「てんぐの森」から沢筋の遊歩道を辿る山頂への最短コースを選ぶことにする。秋の彼岸と中秋の名月が重なった昨日、日本上空を長らく支配して猛暑をもたらした太平洋高気圧は南方に退き、寒気を含んだ大陸の高気圧がこれにとって換わり、日本列島は一気に秋の涼しさとなった。

  朝一番、イチローの10
年連続200安打達成をTVのニュースで知り、対ブルージェイズ戦の録画中継を横目で見ながら弁当を造り、イチローの最終打席を見届けてから車で出発する。

 (注)明智光秀の丹波攻略の戦場跡として有名な「千丈寺山」は、丹波市黒井にある別の山です。

日時 : 2010年9月24日(金)     天候 : 晴れ

コース :
三田市乙原(おちばら)→ 庚神さん → 松住権現 → 千丈寺山頂(南千丈寺山頂) → てんぐの森 多目的広場
          てんぐの森
多目的広場                  12:00     12:15/ 13:00         14:00
                 11:00

<アクセス>


 有馬富士公園線(県道570号)を東に進んで有馬富士公園口で左折、さらに志手原交差点で左折して三田篠山線(県道49号)に入り、飯盛山を左手に小野地区を北上する。左手にどっしりとした山容の千丈寺山(p1)が迫って来る。乙原口の手前の左手道路脇に「てんぐの森」の看板を確認し、矢印表示に従って左折、500mほど道なりに進んで「てんぐの森」の看板で左折する。車一台通るのがやっとの真新しいコンクリート道を登りきると「てんぐの森」の多目的広場の下の駐車スペースに出る。駐車区画が表示されていないため、何処に駐車すべきか迷ったが、とりあえずバイオトイレの横のスペースに駐車する。(p2) 


  
「てんぐの森」は、乙原から沢筋の登山道を経て、南北の千丈寺山頂に至る登山ルートに沿ったケヤキ、コナラ、アベマキなどの落葉樹を主体とする自然林を指すようです。兵庫県の「里山ふれあい事業」の一環として県と三田市によって遊歩道などの整備が進められ、今春、遊歩道の工事が完了しました。詳しくは現地の掲示板をご覧ください。

 
 p1 平田地区からの千丈寺山    p2 駐車スペースと掲示板(右)


<ゴーイングアップ>


 多目的広場下の道標(p3)の指示に従ってコンクリートの舗道を沢の方に進む。沢を渡って登山道に出る。登山道脇には、道標と併せて、森の動植物について解説した掲示板が設けられている。道標の指示に従って、旧登山道沿いの「愛宕さん」の祠を左手に見ながら進む。「ハチ」と「マムシ」の注意表示がある。千丈寺山は、毎年この季節にキイロスズメバチの被害が報告されている。巣がありそうな古い木株などを不用意に転がすことのないように注意して進む。

 遊歩道は、丸太を打ち込んで階段状に整備されている(p4)この手の階段状の道は、それぞれの段の高さとスペースに自分の脚の動きを強制的に整合させなければならず、足腰が弱ってきた私の世代の登山者にとっては、極めて厄介なしろものなのです。ペースを乱さないように慎重に脚を運ぶ。しかし、心配は杞憂にすぎなかったようです。高齢登山者に配慮してくれたのか、一定した程よい「高さ」の階段が続き、リズム良く登ることができる。太い杉で作ったベンチが、そこかしこに置かれている。時折、吹き降ろす沢風が心地よい。頂上付近は風が強いかも。

 
沢筋の近くには杉が植えられているが、本質的には、あたり一帯は落葉樹が主体の自然森で、掲示板によるとリスやイタチの他、シカやイノシシも棲んでいるという。登山ルートは、千丈寺山の二つのピーク間の鞍部から乙原へ向かう沢と、北千丈寺山の南東斜面を下る沢の二つが合流した沢を三度、横切って稜線に向かう。しかし、沢には水が全く無い。三田市街地に近い団地では昨日の朝方に雷雨があり、今日は、沢の音を楽しみながら登山ができると期待していたのだが・・。
 
      p3 道標            p4 遊歩道


 山頂まで730m
の道標あたりから急登になる。頑丈な木に結び付けられたロープが遊歩道上に垂れている。石組みの「庚神さん」の祠跡を過ぎると遊歩道は終わり、一層の急登となる。ロープの助けを借りながら、左足膝の古傷をいためないように進む。周囲が明るくなり、稜線が近いことが分かる。ふもとの集落の12時を告げるサイレンが二つ聴こえ、稜線にある「松住権現」の祠の横に出た(p5)
 
  道標(p6)によると一等三角点がある南側のピーク(南千丈寺山頂)は、ここから稜線を南に400mほど辿ったところにある。二度、リスと遭遇するが、動きが速過ぎて写真は撮れない。ひとしきり登ると左側の展望が開けた岩場に出る。左手の木枝の隙間から大船山の美しい山容が現れ、一息つく。汗に濡れた体に風が冷たい。


<トップ>


 山頂は岩場のさらに南側で、20
平米程度のスペースの中央付近に一等三角点がある(p7)大権現の祠は頂上直下にあり、山頂から屋根が見える。

  
    p5 松住権現          p6 稜線の道標          p7 一等三角点


  南側と北側の一部は樹木に覆われて展望がきかないが、その他の方向の眺望は雄大で、東側には大船山(p8)、昼ケ岳、奥山、北には峰山と後方に多紀アルプスの山々、西には虚空蔵山(p9)、その右手には三田テクノパークの工場群が一望できる。本当に素晴らしい。600mに満たない低山で、しかも1時間そこそこの山行で、この眺望が楽しめるとは、なんとも贅沢なことです。時折、強い風が吹き、ヤッケを被って東西を展望できる岩場で昼食を摂る。どうやらこの山も登山者は、私だけのようです。帰路、南東側の展望も開けているのに気がつく。小野の集落(p10)やその奥に六甲の山並み
遠望でき、暫し眺望を楽しむ。(山頂での携帯電話[ドコモ]の電波強度表示は「3本」)

   
    p8 大船山            p9 虚空蔵山          p10 小野の集落


<エピローグ>


 帰宅すると、尖閣沖で海保の巡視船に衝突した中国漁船の船長を那覇地検が処分保留のまま釈放するという仰天ニュースが流れている。イチローの200安打の朗報で始まり、心地よい山行を楽しんだ初秋の優雅な一日は、日本の政府と検察が中国の恫喝に屈し、しかもその責任を政府が検察に転嫁するという破廉恥で無残な国恥の日というべき一日に変わりました。



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