白馬岳[2932.2m]/小蓮華山[2766m] 

 所在地:長野県小谷村/白馬村  地図:1/50000 小滝、白馬岳  ルートMAP #1    ルートMAP #2     



<イントロ>


  斜面に未だ雪が残る穏やかな上り勾配の稜線に今まさに湧き出てきたような雲が掛かる美しい映像(p1) がTV画面に現われ、サラ・ブライトマンの澄みきったソプラノによる主題歌「stand alone」のスキャットが流れる。2009年の11月末から放映が開始されたNHKドラマ「坂の上の雲」(第一部)のエンディングシーンである。この美しい映像はネット上でも話題になり、天上に向かって遊歩道を辿るようなこの稜線の頂(いただき)が、後立山連峰の小蓮華山(2766m)であることも時を経ずして知ることができた。

                     
      p1 TVドラマ「坂の上の雲」の映像


  繰り返しTVドラマを眺めるうちに、この稜線を歩いてみたいという気持ちが湧いてきたが、いざとなると決心がつかず、昨夏は7月半ばから山行の準備を進めてみたが、天候不順で断念せざるを得なかった。今年は7月末になって漸く太平洋高気圧が東北以南の日本列島を広く覆うようになり、気力・体調もまずまずのところなので、この計画を実行に移すことにした。

 大気が不安定で午後には確実に雷雨になると予報が出ていた8/2(日)を移動日に使って、8/3(月)の午前中に栂池高原から白馬大池のテント場まで入って幕営し、テントを張ったまま翌8/4(火)の朝一番に軽装備で白馬大池を発ち、船越ノ頭から小蓮華山を経て白馬岳まで歩き、さらに同じルートを白馬大池に戻って再度テント泊して、8/5(水)の朝に栂池高原に下山することにした。この計画であれば、大荷物を背負って大雪渓を下る必要がなく、しかも夕刻に予想される雷雨も回避できるだろうという算段である。




日時 : 2015年8月3日(月)〜5日(水)    天候 : 晴れ

コース :

 第1日   栂池自然園ビジターセンター →  天狗原  →  乗鞍岳 → 白馬大池(泊)

(8/3[月])      9:15        10:15/10:20   11:50     12:35

 第2日   白馬大池  →  船越ノ頭  →  小蓮華山  →  三国境  →  白馬岳  →  白馬山荘 

(8/4[火])   6:00       6:40/6:55    7:50/7:55     8:35/8:40     9:40      9:50/10:10

       
       → 小蓮華山 → 船越ノ頭 → 白馬大池(泊)

                 12:20         13:05          13:40


 第3日   白馬大池 → 栂池自然園ビジターセンター

(8/5[水])   6:00       8:45


 


<アクセス>

 8/2(日)のAM11:00過ぎに自宅を出発。じゃらんネットの1000ポイントを拠出して大糸線の信濃大町駅近くの旅館に投宿する。夕刻に予報どおり雨が降ったが、宿の冷房設備が貧弱な上、ノイズだらけだったのは想定外で、全く熟睡できないまま朝を迎える。



  【 第1日 】

■ 栂池自然園ビジターセンターへ

 AM6:11発の各駅停車で南小谷駅に移動する。途中、白馬駅のホームで小蓮華山から白馬三山に延びる稜線(p2)が目に入りカメラに収める。南小谷駅前から7:35発の栂池高原行の村営バスに乗車する。この路線バスは、保育園や小学校での課外活動に参加するらしい学童が次々に乗り込んで、さながら学童の送迎バスのようになる。ハイカーは私一人だけだ。AM8:00前に栂池高原の大きな駐車場の隅にあるバス停に到着する。

   
     p2 大糸線白馬駅ホームからの白馬三山


 栂池高原は1994年4月に家族揃っての春スキーで訪問して以来21年ぶりだ。駐車場を抜けて、ゲレンデの北側にあるゴンドラリフト「イブ」の乗り場に向かう。乗り場の横にある登山受付所で所定用紙に登山計画を記入して提出した後、「イブ」と「ロープウェー」の乗車券を購入(往復3,300円)して、既に数十人が乗車待ちをしている列の最後尾に並ぶ。ほとんどが家族連れなど栂池自然園に向かうハイカーのようで、登山者は少ないようだ。


 10分ほど待って、イブ(p3)に乗り込む。直ぐに懐かしい「鐘のなる丘ゲレンデ」(p4)が眼下に広がる。途中駅で「栂池ヒュッテ」のスタッフだと言う同年配の女性二人がゴンドラに乗り込んできて、三人で40年前(1970年代)の栂池スキー場の思い出話で盛り上がる。当時は栂の森ゲレンデまでリフトを乗り継いで上がる必要があり、吹雪いたときに乗ったリフトが一時停止してしまうと、凍死してしまうかと思えるほど寒かったことや、昼間はリフト待ちが大変なので人が少ないナイターを活用したことなどを懐かしく思い出す。「今はお客さんが少なくてナイターはやってないよ」とスタッフのお母さん。少子高齢化の波は、かってのスキーのメッカ栂池高原の経済も揺るがしているようだ。丁度、下に「馬の背」が見えるあたりから東方向に、雪が山肌に残る杓子岳と鑓ヶ岳(p5)の山頂付近が眺められる。

      
    p3 ゴンドラリフト・イブ    p4 鐘のなる丘ゲレンデ     p5 イブからの杓子・鑓


 終点の栂の森でゴンドラを降りて、懐かしい「栂ノ森ゲレンデ」(p6)の横にできたロープウェー駅に向かう。ここでも先行していた数十人が発車待ちの行列を作っている。10分ほど待って、自然園がある栂池平まで上がるロープウェー(p7)に乗り込む。5分ほどの空中散策で栂池平に到着。さらに栂池自然園の入口方向に5分ほど歩くと、栂池ヒュッテの横に出て、その先にビジターセンター(p8)がある。時刻は既に9:10を過ぎている。


          
    p6 栂ノ森ゲレンデ     p7 ロープウェイ     p8 ビジター・センター


■ 天狗原へ

 ビジターセンター入口の直ぐ横に設けられた水道でペッドボトル(500ml)とポリタン(1000ml)に注水し、昨晩信濃大町で購入した爽健美茶(525ml)と合わせて約2リットルの水をザックに詰め込んで、ビジターセンター横の「登山道入口」の看板(p9)のあるポイントから入山する。看板には天狗原まで1時間半、白馬大池まで4時間半の表示がある。

  
  p9 「登山道入口」の看板

 登山道はいきなり急傾斜の登りだ。足下が悪い一画には木組みの階段道(p10)が設けられている。ザッグの重さは今回は15kgほどのはずだが意外と腰にくる。大汗をかきながらゴロゴロとした岩が転がる急勾配の山道(p11)を進む。登山道は沢筋を延びており、そこかしこで小さな沢に遭遇して、涼しい沢音に少しばかり癒される。やがて登山道は大きな岩だらけ(p12)になる。

          
   p10 木組の階段道       p11 ゴロゴロ岩の登山道     p12 大岩が転がる登山道


 不思議なことにここまでハイカーと遭遇していない。爽やかな風が抜ける小さな雪渓(p13)を越えて、初めて上りのハイカーの姿を見る。直ぐに木道(p14)が敷かれた湿原(p15)に入り、天狗原に到着したことが分かる。登山口から丁度1時間だ。突然、目の前に大勢のハイカーが現われる。ベンチが置かれた休憩ポイント(p16)のようだ。ベンチの横に立つ道標(p17)には「天狗原 標高2180m」の表示がある。ここで私も小休止。

        
   p13 雪渓を横断する       p14 天狗原の木道       p15 天狗原の湿原

     
   p16 休憩ポイント       p17 天狗原の道標


■ 乗鞍岳へ

 天狗原の楽しい木道(p18)歩きが終わると、登山道は大きな岩だらけの道(p19)に変わる。やがて高さが腰ほどまである巨岩(p20)を踏みながら進むとんでもない事態になる。大荷物を背負って、巨岩(p21)の上でバランスを取りながら一歩一歩、足裏を預けるポイントを探しながら慎重に進む。幸い、岩の表面は濡れておらず登山靴のグリップも効くようだが、足を滑らせて転倒したら一巻の終わりだ。死にはしなくても大怪我をして、間違いなく山行を中止せざるを得なくなるだろう。

        
   p18 天狗原の木道       p19 大岩を踏む登山道     p20 巨岩を踏んで進む

     
  p28 巨岩を乗り越えて進む



 巨岩に加えてハイカーの数(p22)が一遍に増えてくる。振り返ると木道が延びる天狗原(p23)が眼下に広がっている。天狗原から40分ほどで涼しい風が吹く小さな雪渓(p24)(p25)が現われ、これを越えると、ネットでも有名な幅が数十メートルの雪渓(p26)がある。ネット情報のとおり、この時季であればアイゼンは必要なく軽登山靴でも安全に通過できる。

        
  p22 巨岩上を行くハイカー    p23 天狗原を望む        p24 雪渓を越える

     
  p25 雪渓と巨岩を越える     p26 雪渓を横断する


 雪渓を越えてさらにハイマツに覆われた一画を抜ける岩だらけの登山道(p27)を30分ほど登ると、前方にケルン(p28)が見えて、乗鞍岳の山頂(p29)に到着する。ケルン(p30) の周りはハイカーだらけだ。

        
  p27 岩だらけの登山道      p28 遠くにケルンが・・    p29 乗鞍岳の山頂

  
  p30 山頂近くのケルン


■ 白馬大池へ
   
 乗鞍岳を下り始めると前方に白馬大池と山荘(p31)が見えてくる。「山小屋は見えてからが遠い」というが全くそのとおりで、ここから今度は安山岩の巨岩(p32)の上を歩く羽目になる。転ばないように慎重に歩を進めること約40分で白馬大池のテント場(p33)に到着する。登山口から休憩時間を含めて3時間20分を要した。

  
                p31   乗鞍岳近くから白馬大池を望む

     
   p32 安山岩の登山道     p33 白馬大池のテント場
 

 山荘で缶ビール(スーパードライ350ml \600)を調達して一息入れた後、受付で \2,000(一泊一人\1,000)の幕営料金を支払って、テント(p34)を張る。カレーうどんの昼食を済ませてからチングルマなどが咲き乱れるお花畑(p35)で囲まれたテント場の周辺を散策する。お目当ての花を見つけたのか・・、先着したハイカーの皆さんが歓声を上げている。

     
   p34 本日の宿泊所      p35 山荘の周囲のお花畑


 白馬大池のテント場は公称30張と言われているが、若干狭く感じる。今晩は20張程度だろうか? グラウンドは基本的に「土」であり、ペグも打ち易く、小石などの凸型物をしっかり排除すればマット無しでも横になれる。水は無料だがタンクに入っている分だけの由で、無駄使いは厳禁だ。蛇口をひねると生温かい水が出てくる。トイレは、小(男用)×2、大(男女兼用)×4(うち洋式×2)で比較的清潔に維持されている。ペーパが置かれていないというネット情報があったが、入り口近くに募金箱が置かれており幕営者の寄付金で購入されたペーパが常備されている。携帯の電波は「圏外」だ。

 池の端のテント場の割には虫は少ないが、日が沈むとブヨの行動が活発になるようで、夕刻に半袖シャツでテントの外に出ていて前腕の裏部をかまれる。汗の臭いが大好きなようで顔にもかみついてくるので気が抜けない。

 大音響を発する山荘の発電機は21:00に停止して、漸くテント場が静寂に包まれる。一昨年夏の薬師峠と異なり白馬大池は空が大きく開けているので、月が出るまでのひととき、満天の星空を楽しむことができる。1975年夏の白山の南龍ヶ馬場以来、40年振りの「天の川」に圧倒される。テントのメッシュ製の吸気部を閉め忘れたためか、零時頃に寒気で目が覚める。時計の温度計が14℃を示していて驚愕する。


【 第2日 】

■ 船越ノ頭へ

 白馬大池の朝は早い、AM2:00には辺りがザワつき始めて、発電機が稼働を開始するAM3:00にはテント泊のほぼ全員が起き出すようだ。ライト無しで行動できるのは4時半過ぎのはずなので、今回も寝袋の中でウトウトを決め込む。明るくなって朝飯作りを始める頃には、周りのテントの皆さんは、もう出発だ。


 おっとり刀で朝飯を胃袋に詰め込み、ザッグに水2リットル、雨具兼防寒具、一人用ツェルト、携帯食料などを放り込んで出発する。丁度AM6時を回ったところだ。振り返ると、逆光の中に山荘とテント場(p36) が見える。期待していたとおり今日は快晴のようだ。
 
  
   p36 山荘とテント場


 比較的穏やかな上り勾配の登山道を一頻り登ると、前方に今回の山行の目的地である船越ノ頭から小蓮華山へ延びる稜線(p37)が見えてくる。ハイマツに覆われたこの辺り(p38)は雷鳥が多く棲息することから「雷鳥坂」と呼ばれているが、未だ就寝中なのか、それとも大勢のハイカーに驚いているのか、ライチョウの姿は見えない。

     
   p37 稜線を遠望する       p38  雷鳥坂


 背中が汗ビショになり、船越ノ頭(p39)が近づくと、稜線の左手に圧倒的な存在感の双耳峰「鹿島槍ヶ岳」(p40)が見えて来る。「やってきたぞ」の思いが湧いてくる。白馬大池のテント場から40分ほどで涼しい風が吹く「船越ノ頭」(p41)に到着する。

        
   p39 小蓮華山への稜線     p40 唐松/五竜/鹿島槍       p41 船越ノ頭の表示柱


 そして眼前にはあのTV映像とまさしく同じ稜線(p42)が延びている。しかし、雲は全く無い。素晴らしい快晴だ。ここから小蓮華山に延びる稜線上は携帯がつながるので早速、N子に稜線の写真と一緒に「坂の上に雲は無し」のメールを発信する。
        
          p42  小蓮華山の北陵


■ 小蓮華山へ

 船越ノ頭から南方向に少し下ってから稜線を見上げると、あのTV画面とほぼ同じ角度から稜線の写真が撮れる(p43)。遠方から眺めると天国への遊歩道のようにも見える稜線道だが、実際は、鋭角に砕けた岩が敷き詰められた起伏の激しい登山道(p44)である。しかし、登山道脇には、イワギキョウ(p45)やウサギギク(p46) などの高山植物の花々がそこかしこに咲いて目を楽しませてくれる。

      
     p43 小蓮華山へ延びる稜線        p44 起伏の激しい稜線

       
    p45 イワギキョウ          p46 ウサギギク


 小蓮華山の山頂が近づき、稜線が反時計回りに緩やかにカーブするあたりからは、今日の目的地の白馬岳から鹿島槍ヶ岳に延びる後立山連峰の稜線(p47)が鮮やかに見渡せ、「来て良かった」の思いが湧いてくる。白馬大池から1時間50分ほどの稜線漫歩で小蓮華山の山頂(p48)(p49)に到達する。小蓮華山の山頂はガレて危険なために立ち入り禁止になっているとのネット情報があったが、禁止措置は解かれているようだ。ここで小休止。

  
              p47  小蓮華山の手前から後立山連峰を望む

     
  p48 小蓮華山頂の三角点     p49 小蓮華山の山頂表示



■ 白馬岳へ

 ここからは起伏だらけの稜線道(p50)を白馬岳を目指して進む。辺りは高山の様相(p51)(p52)が激しくなり、先行するハイカーの皆さんの歩行速度も極端に鈍ってくる。前を歩いていたシニアのハイカーが突然振り返って「空気が薄い!!」と吠えるし、その前を歩いていたハイカーは止ったまま前屈みで何かを吸っている仕草だ。追い抜いて振り返ると何かの液体からブクブクと出てくる泡を吸い込んでいるようだ。小型の携帯酸素ボンベというのは聞いたことがあるが、「ブクブク泡」のタイプに出くわしたのは初めてだ。私も「立ちんぼ休み」の頻度を増やして対応することにする。

        
    p50 白馬岳へ延びる稜線     p51 荒涼とした稜線道(I)    p52 荒涼とした稜線道(II)


 小蓮華山から休憩時間を含めて45分を要して雪倉岳(p53)方面への分岐となる三国境(p54)に到着する。振り返ると小蓮華山への稜線には、雲がかかり始めている(p55)

        
    p53 雪倉岳方面を望む       p54 三国境の道標     p55 雲が掛かり始める小蓮華山


 白馬岳へは、未だ荒涼とした稜線が続く。一見すると山頂かと思えるような露岩の小ピーク(p56)を越えると、ようやく前方に白馬岳(p57)の山頂と、その右手に剱岳の秀麗な三角錐が圧倒的な存在感を示す立山連峰(p58)が目に飛び込んで来る。思わず「ウォー」という声が出てしまう。
        
  p56 白馬山頂手前の小ピーク   p57 白馬岳山頂を望む       p58  立山連峰


 白馬大池から休憩時間を含めて3時間40分を要して白馬岳の山頂(p59)(p60)に到着。山頂からは、南方向に絶景(p61)が広がる。立山連峰(p62)も一段と鮮やかで、杓子岳から西方向に延びる稜線の後方には槍ヶ岳(p63)も遠望できる。左手の下方には、大雪渓が指呼のうちで、雪渓を登るハイカーが黒い点々で見える(p64)

     
   p59 白馬岳の山頂       p60 山頂表示柱

  
                  p61   白馬岳山頂から南方向を望む

      
  p62 白馬岳山頂からの立山連峰    p63 槍ヶ岳を望む       p64 大雪渓を見下ろす



■ 白馬山荘

 白馬山荘(p65)は、山頂から10分ほど下ったところにある。直下には白馬岳頂上宿舎(p66)が見える。缶ビール欲しさに山荘の食堂に飛び込むと、何と「生ビール」(\800)まで置かれている。早速、剱岳を眺めながら一人乾杯(p67)して小休止とする。

        
    p65 白馬山荘       p66 頂上宿舎を見下ろす     p67 剱岳と生ビール


■ 白馬大池へ

 気圧が低いせいか中ジョッキ1杯で少々、酩酊してしまう。あとは来た道を白馬大池に戻るだけなので、14:00大池到着を目標にノンビリ稜線歩きを楽しむことにする。

 帰路はハイカーの姿もめっきり減って、静かな稜線漫歩が楽しめる。船越ノ頭から眺めた小蓮華山の稜線には雲が掛かり、幻想的(p68)だ。ハイカーが少なくなった雷鳥坂には、ライチョウ(p69)が姿を現わして砂浴を楽しんでいる。予定どおり14:00前に白馬大池のテント場(p70)に帰着する。

      
   p68 雲が掛かった稜線       p69 ライチョウに遭遇    p70 テント場に帰着


 二日目は火曜日ということもあってかテントの数も若干少ない。夜は快晴で、連夜の「満天の星空」に歓喜する。



【 第3日 】

■ 白馬大池から栂池へ

 二日目と同様にAM6:00にテント場を出発して栂池に向かう。乗鞍岳から少し下った辺りで、足を痛めて昨晩は雪渓でビバークしたという「上り」の若いハイカーに遭遇する。同じ時間帯に栂池に下るハイカーは、私のほかは山荘に宿泊した2パーティと、テント泊と思える親子連れのパーティだけで、休憩ポイントでは今回の山行での「できごと」などについてのお喋りに花が咲く。白馬大池の山荘の夕食は、ネット情報にあった通り、やはり「カレーライス」だった由で、ハンバーグがトッピングされていたが、サラダは無しで、缶詰のマッシュルームがついていたとのこと。

 天狗原を過ぎた辺りから朝一番のロープウェーで上がって来たらしいハイカーが次々に現われて賑やかになる。そのうちに登山道は上りのハイカーだらけになって、私の歩行速度も一編に鈍ってしまう。話し好きの皆さんが多く、白馬大池の「お花畑」だけが目的で登ってきたというハイカーや、大雪渓を登り切る自信がないので逆回りにしたと自ら告白するハイカーさんもいる。

 AM9:00前にビジターセンター(p71) に到着。歩いてロープウェー駅に向かう途中でタイミングよく初日に遭遇した栂池ヒュッテのスタッフのお母さんと再会して、無事帰着を報告する。

  
   p71 登山口の看板(裏側)


 ゴンドラリフトを降りて直ぐの「栂ノ湯」に向かうが、昼までは閉館の由で、栂池大駐車場から200mほど歩いたところにある「栂池温泉」(入浴料\800)の熱々の湯で汗を流す。栂池温泉も栂ノ湯と同様にゴンドラとロープウェーの乗車券を見せると100円割引になる由で、スタッフの親切なお母さんから「乗車券有りますか?」といきなり訊かれて「有ります」と応答してしまったため、自分が「シルバー料金(65才以上は\600)」の対象者であることを言い出せなくなってしまう。さらには、ヒゲ剃りに夢中になって「露天風呂」の存在をすっかり忘れてしまう大失敗も。露天風呂は栂池温泉の名物の由。栂池温泉では、ヒゲ剃り用の「かみそり」が購入できない(自販機も無し)。また、「ドライヤー」が置かれていないので御用心。

 栂池温泉の自販機の缶ビールを空けてから、11:12発の南小谷行きの路線バスで帰路につく。


< エピローグ >

  雲上の稜線漫歩は格別です。北摂のヤブ山歩きが少しばかりバカバカしくなります。特に今回のお目当て「船越ノ頭から眺める小蓮華山の北陵」は、まさに絶景です。

 今回のルートは比較的歩き易い人気のコースですから登山者だらけです。目が合うと、途端に話しかけてくるハイカーさんが多いので、本当の「人嫌い」の方にはお勧めできません。

 出発前にネットでチェックした白馬岳の天気予報は連日「霧又はくもり」でしたが、三日間とも晴れで、特に午前中は雲一つ無しの快晴でした。山の天気予報はあてになりませんね。



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