丹生山(515m)/帝釈山(585m)  所在地:兵庫県神戸市  地形図:1/25000 淡河  ルートMAP 



< イントロ >


 先般、羽束山の展望岩から雄岡/雌岡を眺めたときその左手に東西に延びる大きな山塊があることに気が付いた。1/50,000「神戸」の地形図やガイドブック(注)で確認すると神戸市北区の神鉄線沿線に散らばる団地群の北側にある丹生山(p1:ふるさと兵庫50山)を中心とする丹生山系であることが分かった。久しぶりに空気が澄んでいるので、明石海峡が望めるのを期待して丹生山からその東側の帝釈山へ縦走してみることにする。山田町の衝原(つくはら)まで入れば、駐車場があるようなので、衝原から義経道、表参道を経て丹生山頂に至るルートを歩くことにする。
(注)兵庫県の山[山と渓谷社]、ふるさと兵庫50山[兵庫県山岳連盟]

 テレビは衆議院予算委員会の質疑を中継している。丁度、高市早苗氏が尖閣沖で海保の巡視船に衝突した中国船の船長を那覇地検が「政治的判断」の下に処分保留のまま釈放した件に関して、民主党が10/19に、容疑者を起訴するかどうかの刑事処分を検察官が判断するにあたって「国際関係への影響などについても・・考慮できる」という答弁書を閣議決定したことを取り上げて質問している。この閣議決定は、ネット上の一部の保守系サイトでは話題になったが、マスコミは大きく報道しなかった。仙谷が仕切る菅政権は「船長釈放の判断をしたのは検察だ」と自らの責任を検察に転嫁し、野党やマスコミから検察が政治的判断を行うことの妥当性を追及されて形勢が不利になると、今度は、驚くべきことに、それを閣議決定で追認してしまったのである。閣議決定事項は、政権が交替しても基本的に踏襲される継続性のあるものである。自らの保身が目的の一時逃れのために閣議決定を行うなど言語道断である。しかも、選挙で選ばれた政治家が当然に行わなければならない政治判断を検察官に委ねてしまうという危険極まりない内容の閣議決定である。この政権は、自らの保身のためには、越えてはならない一線をいとも簡単に越えてしまう。まさに独裁政治である。けしからん・・。しかし、こんなに興奮すると運転中に脳血管が切れてしまうかも・・。冷静に、冷静に・・と気を静めながら自宅を出る。


時 : 2010年11月9日(火)     天候 : 晴れ、時々曇り

コース :神戸市北区山田町    表参道と

          衝原 登山口 → の合流点 → 丹生山頂 →  帝釈山頂  → 丹生神社鳥居前 → 衝原 登山口

           11:25       12:15   12:25/12:50   13:30/13:55    14:30       15:20



< アクセス >

 阪神高速7号北神戸線の箕谷ICで降りて、国道428号線に入る。「原野南」交差点で県道85号(神戸社線)に入り、右手に丹生山系を眺めながら西進する。右手道路沿いの丹生神社の鳥居を過ぎる。右手に丹生山が見える。道路右側に「千年家」の表示がある「自然休養村管理センター」の手前(東側)を右に入り、管理センターの東側の有料駐車場(p2)に駐車する。

    

p1 西下地区からの丹生山       p2 自然休養村管理センター横の駐車場



< ゴーイングアップ 丹生山 >

 強い西風に煽られながら駐車場の西側(管理サンターの東側)の舗装道路を北に進む。志染川にかかる小さな橋を渡ると右手に、カタカナの白文字が書かれた屋根の「つくはらサイクリングターミナル」の建物(p3)が見える。この建物の前を左に進むと右側道路脇に「丹生山登山口」の看板(p4)がある。看板の横(右手)から山道に入る。

 竹が浸食して竹薮に姿を変えつつある雑木林の中の登山道(p5)を進み、さらに人の背丈ほどある笹薮の中を抜けると感じの良い自然林に変わる。やはりこの辺りの山は、丹波や北摂の山々に比べると紅葉は一、二週間ほど遅いようだ。強風で木立が激しく揺れるが、不思議に風は体にまでは届かない。コナラの群生する一角を過ぎると周囲が尾根筋に相応しい雰囲気になる。程よい傾斜の登山道で額に汗が滲んでくると、右手(東側)に神鉄線沿線の箕谷や山の街あたりの団地群が姿を現す。

 尾根に出ると西側が開けて、雄岡/雌岡山(p6)、その後方に加古川の工場群が遠望できる。左側登山道脇に小さな石仏が5体ほど並び、左手に墓石群が見える。これが明要寺墓地らしい。さらに尾根筋を一頻り登ると、表参道との合流点(p7)に出る。今、登ってきた義経道は、この分岐では「千年家」方面と表示されている。


    
    
 p3 サイクリングターミナル       p4 登山口の道標       p5 竹が浸食した雑木林の登山道  

  
 p6 稜線から望む雄岡/雌岡山    p7 表参道との合流点の道標             


< トップ 丹生山 >

 
 「表参道」と呼ぶに相応しい立派な山道を5分ほど歩き、丹生山城の面影を残す古い石垣の横を抜けると丹生神社の鳥居(p8)の前に出る。鳥居をくぐり、さらに社務所横の見ごろが近い紅葉の下の石段(p9)を上がると、本殿(p10)のある丹生山頂に到着する。単独行の若い男性ハイカーと入れ違いになる。

 山頂はほとんど樹木に覆われ、僅かに開けた南東方向に神鉄沿線の団地群が見える。一息いれ、呼吸を整えてから本殿に参拝する。無人の社務所前に戻り、静寂な佇まいの中に置かれた古いベンチに腰掛け、色づき始めた楓を見上げながら弁当を広げる。風の音で打ち消されてしまうのか、先週歩いた高御位山と違って生活騒音は全くここには届かないようだ。

 こんな山頂も有りだな・・と満足感に浸っていると、突然、賑やかな話し声が聞こえて10人ほどの中年女性グループが現れる。表参道を上がって来たようだ。退散した方が良さそう・・と、弁当の残りを頬張っていると、案の定、集合写真のシャッター係を仰せつかってしまう。

      
p8 丹生神社の鳥居。右方向に進むと     p9 社務所横の石段          p10 山頂の本殿
  帝釈山



< ゴーイングアップ 帝釈山 >

  鳥居まで戻って、道標に従って左手に進み帝釈山への縦走路(p11)に入る。縦走路は、ヒノキ林を抜けた後は、自然林となる。義経道と違って、そこかしこに道標が設けられている。いったん下り、そして上り、小ピークを二つ抜けて、さらに下ると鞍部に出て、丹生会館方面に降りる道との分岐(p12)がある。帝釈山への道標に従って進む。気持ちの良い自然林の中の道だが眺望は無い。小ピークを二つ越えると、南方向に展望が開けた山頂に着く。

       
  p11 縦走路への道標        p12 鞍部の分岐の道標      


< トップ 帝釈山 >


  山頂(p13)には小さな石造りの祠と二等三角点がある。南方向の眺望は素晴らしく、左手(東側)から再度山、鍋蓋山、菊水山、高取山、須磨アルプス、その右手後方には明石海峡大橋と淡路島が遠望できる(p14)(p15)。残念ながら逆光で明石海峡大橋の鮮明な写真は無理。

    
    p13 帝釈山頂        p14 高取山(右端)、菊水山(中央)  p15 須磨アルプス(右側)、高取山
                     鍋蓋山(中央左)/再度山(左)   


< ゴーイングダウン >


 帰路は、表参道を下りると西下から衝原まで、大型車両の交通量が多く、歩道が無い対向二車線の県道85号線を歩く必要があるので、往路と同じ義経道を行くことにして、表参道の分岐で「千年家」へのルートをとる。義経道は、道標がほとんど設置されていないが、迷いそうな分岐も、特段に危険なポイントも無い。尾根道なので明るく、眺望にも恵まれ、何より距離が短い。登山口近くに大きな駐車場もあるので、マイカー派にもお勧めのルートである。


< エピローグ >


 結局、山中で遭遇した登山者グループは二つだけ。樹齢を積んだ古木に囲まれた山頂の丹生神社の静かな佇まいや、登山道脇の苔むした石垣、石仏や墓石などは、俗世を離れた幽玄の雰囲気を感じさせる。同様に市街地に近接した東播磨の笠松山や高御位山に比べて、静かで落ち着いた山歩きが楽しめる山であると思う。


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