TOTO製水洗トイレ ボールタップのバルブの交換修理  2019. 3. 11



< プロローグ >

 34年間使い続けているTOTO製の水洗トイレ(C420)で、洗浄水を貯めるタンク(S517BL)から便器側に少量の水が漏れ続けていることにN子(配偶者です)が気がついた。確かに、寝静まった頃にタンクから "ポチョン・・、ポチョン" と、微かにではあるが「水滴が水面を打つ音」が聞こえる。便器側の水面も僅かに揺れているようで、水漏れは確かなようだ。




< 水漏れの現象/原因 >

 まずは不具合の現象/原因を確認しようと、タンクの手洗部が付いた蓋(p1)を上方に持ち上げて外し、タンク内を観察する (p2)。ネットに掲載されている水洗トイレの解説と照らし合わせるとタンクへの注水量を制御するメカニズムは、次のようである。

        
    
p1 水洗トイレのタンク        p2 タンクの内部


 レバーハンドル
(p3)を操作すると、タンク底部のフロートバルブ(p3)が持ち上げられてタンクから便器側への排水が行われる。排水によってタンク内の水位が下がるとボールタップ(p3)のフロート(p4)の位置も下がり、これに連動してボールタップのバルブ(p5)が下方に移動して開き、水道管側から水がタンク側へ流れ込んで注水が開始される。注水によってタンク内の水位が上がると、今度はフロートの位置が上昇し、同時にバルブ(p5)が上方に移動して注水量が減少し、水位が既定値に達した時点でバルブが完全に閉じて注水が終了する。

      
   
p3  水洗トイレのタンクの構造図      p4 ボールタップのフロート     p5 ボールタップのバルブ


 ところが我が家の水洗トイレは、注水量を制御するためのキーパーツであるボールタップのバルブ
(p5)が経年劣化を生じているのか「水位が規定値に達してもバルブが完全に『閉』状態にならず、微量の『注水』が継続されて、結果として水位がさらに上昇し、オーバーフロー管の上面(p6)を越えた水が当該オーバーフロー管を介して便器側に流れ込む」という現象を起こしているようだ。まずは、バルブを新品に交換してみることにする。

      
    
p5 ボールタップのバルブ        p6 オーバーフロー管




< 修理用部品の調達 >

 ネットにあたると、街中のDIY店や通販で「ボールタップ全体」又は「バルブ単体」のいずれでも交換部品が販売されており、"ボールタップのバルブ交換要領−TOTO" という「そのものズバリ」の解説まで存在することが分かった。

  34年も使い続けたボールタップの機構部の "ヘタリ具合" は、外観的にはかなり深刻なようだが、ボールタップ全体を交換すると部品代だけで約4,000円かかる。バルブだけの交換であれば500円程度で済みそうなので「まずはバルブを交換して・・、失敗したらボールタップ全体を交換する」という作戦で進めることにする。

 早速、近くのロイヤルホームセンター(大和ハウス)で交換用のバルブ
(p7)[THY584 479円]を見つけて購入する。

    
    
p7 交換用バルブ




< 修理手順 >

 バルブの交換作業は、インターネット上で紹介されている "ボールタップのバルブ交換要領−TOTO" に従って、次の手順で行った。
(1) まずドライバー(マイナス)の尖端を止水栓
(p8)のネジ溝に挿入して右(時計回り)方向に回して止水する。
(2) 次にレバーハンドルを操作してタンクの水位を作業に支障がない位置まで下げる。
(3) さらに次の手順でボールタップを取り外す。
 a) タンクにつなぎ込まれている水道管の袋ナット
(p9)をモンキーレンチを使って(p10)緩めて管を外す(p11)
 b) ボールタップをタンクに留めているナット
(p12)をモンキーレンチを用いて緩めてボールタップ(p13)を取り外す。

      
   
p8 止水栓を閉める       p9  袋ナット      p10 レンチで袋ナットを緩める

      
    
p11  管を外す      p12 ナットを緩める     p13 外したボールタップ


(4) ボールタップのクランク部の蝶ネジ(2箇所)
(p14)をラジオペンチ(p15)を用いて取り外す(p16)
(5) クランク部を外してからバルブ
(p17)を下方向に引き出す。確かに先端部が経年劣化している(p18)ようだ。
(6) 新品のバルブ
(p19)を準備し、タップに挿入して交換し、さらにバルブを介してクランク部側のネジ穴位置をボール
  タップ側のネジ穴位置に合わせる
(p20)
(7) 蝶ネジを取り付けて締める
(p21)。さらにボールタップのフロートを上下させたときバルブが確実に上下するのを確
  認する。

 
p14 蝶ネジ(2箇所)   p15 ラジペンで蝶ネジを外す   p16 蝶ネジ       p17 バルブを引き出す


 
p18 劣化したバルブ   p19 新品のバルブを準備  p20 新品のバルブを挿入   p21 蝶ネジを締める


     バルブの他にもボールタップとタンクの内壁の間のパッキン
が完全に変形するまでに劣化していた(p22) 
    
ので、一旦作業を中断してホームセンターでパッキンを調達して交換する(p23)。 残念ながらこのサイズ
     (内径21mm)のパッキンはロックナットと一体
(p24)でしか販売されておらず269円の追加出費となった。

         
      
p22 劣化したパッキン(左)    p23 パッキンを交換する    p24 購入時のパッキン


(8) 上記(3)の手順を逆順序で適用してバルブを新品に交換したボールタップをタンクに取り付ける
(p25)
(9) 止水栓を開栓してからレバーハンドルを操作し、排水と注水を繰り返してバルブが完璧に「閉」状態となることを
  確認する。やはり、水漏れの原因はバルブの経年劣化だったようだ。
(10) タンクに蓋
(p1)を被せて修理完了。

     
     
p25 修理が完了したボールタップ




< エピローグ >

 交換後3週間以上経過するも、水漏れの発生は無し。修理は成功のようです。実働作業時間は約40分。使用工具は次の三点(p26)だけで、費用は、479円+269円→748円(税込 808円)でした。水漏れが無くなり、使用水量が減って上下水道料金も幾ばくか少なくなるかも知れません。

     
       
p26  使用工具


 34年使っても不具合はバルブの劣化だけとは・・、TOTOの水洗トイレの耐久性には感心します。しかも、そのバルブの "メーカー純正品" が現在でも巷のDIY店で簡単に購入でき、その上交換手順の詳細までもがネット上で紹介され、素人でも容易に行うことができることにも驚きました。Made in Japan製品の優秀さとメーカーの良心は本当に世界に誇れると思います。



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