後山[1344.6m]/船木山[1334m]

所在地:兵庫県宍粟市/岡山県美作市  地形図:1/25000 西河内      ルートMAP    



< イントロ >


  久しぶりに中国自動車道を西に走って、昨秋、登り残した50山の一つである「後山」(p1)に登ることにする。「後山」は、兵庫県では氷ノ山、三室山に続く第三位の高峰であるが、岡山県では最高峰で、修験の山として良く知られている。登山ガイドブックの「兵庫県の山(2008年2月初版 山と渓谷社)」や「ふるさと兵庫50山(2003年 兵庫県山岳連盟)」では、県道72号線沿いの「松ノ木公園」から板馬見渓谷沿いの林道を辿って兵庫県側の登山口を目指すルートが紹介されているが、林道は荒れていて普通車でのアクセスは無理な様子。舗装道路でアクセスできるという岡山県側の後山キャンプ場に車を置いて、中国自然歩道を経て、船木山から後山への稜線にとりつくことにする。

     
         p1 ベルピール自然公園からの後山、船木山



 日時:2012年5月23(水)    天候:晴れ、時々曇り

 コース:後山キャンプ場 → 船木山600m道標 → 船木山 山頂 →  後山 山頂 → 後山キャンプ場

      駐車場                                駐車場

             10:50       11:55      12:20/12:25  12:45/13:25     15:05




< アクセス >


  西宮北ICから中国道に入って西に走る。今日も忌々しい黄砂が飛んでおり、社ICの手前から半年ぶりに眺める笠形山も霞んでいる。作用ジャンクションから鳥取道(無料)に入り、大原ICで降りて国道429号で後山川沿いを北上する。東粟倉村に入ると前方に船木山(p2)が大きく見えてくる。左手道路脇に「←後山キャンプ場4.5km」と表示された道標(p3)がある三叉路(p4)で左折する。曲がると左手に「後山」と書かれた木製の道標(p5)も立っている。

       
    
  
  p2  国道429号からの船木山       p3 後山キャンプ場への標識

       
    p4 愛の村パークへの分岐        p5 後山地区への道標


 対向二車線の立派な舗装道路を上って行くと、左手に天然温泉施設「愛の村パーク」の本館(p6)が現れ、後方に船木山から後山への稜線が見える。右手には昨秋、登った日名倉山(p7)が鮮やかに目に飛び込んでくる。愛の村パークの東側を抜けて北上すると、再び三叉路がある。標識(p8)の「後山キャンプ場→」の指示に従って右折し、東進する。

  
 p6  愛の村パークの本館     p7 愛の村パークからの日名倉山   p8 後山キャンプ場への標識


 左手道路脇に注意して進むと、木製の道標(p9)が置かれた三叉路があり、道標に「キャンプ場」の表示(p10)がある。ここで左折する。曲がると左手道路脇に「後山キャンプ場」と書かれた分かり易い標識(p11)が立っており、この舗装された林道(p12)を進む。スギの植林帯を抜ける車1台+αの道幅の林道(p13)を走ると、道路脇左手に登山口が見え、さらに進むと前方に車止め(p14)がある。その手前の右折路に「P」の表示があり、右手に進むとキャンプ場の大駐車場(p15)がある。ここに車を停める。先着車は2台。

         
      p9  後山キャンプ場への分岐       p10 後山キャンプ場への道標   

         
    p11 後山キャンプ場への標識       p12 後山キャンプ場への林道

  
 p13  スギ植林帯を抜ける林道    p14 後山キャンプ場の入口    p15 後山キャンプ場の駐車場



< ゴーイングアップ >

■ 船木山へ
 駐車場の入口付近には、中国自然歩道の案内板(p16)と併せて、派手な「クマ出没注意」の警告板(p17)(p18)が立てられている。キャンプ場横の林道に沿った植林帯からは、モータ音が聞こえてくる。作業者が入って伐採作業が行われているようだ。

  
 p16 中国自然歩道の案内板    p17 「クマ出没」警告板(1)   p18 「クマ出没」警告板(2)       


 駐車場入口の「←登山口100m」の表示板(p19)の指示に従って、林道を下り、登山口に向かう。心地良い瀬音が聞こえ、右手の山側から沢が降りている。その手前に道標(p20)があり、沢に沿って木組みの階段道(p21)が続いている。道標(p22)には船木山まで2000mと表示されている。小さな熊鈴をザックに取り付け、首から100円ショップのデカ鈴をぶら下げて山に入る。

          
     p19  登山口への道標            p20  登山口  

       
     p21 木組みの階段道            p22  道標


 この中国自然歩道は、まずスギの植林帯(p23)から始まる。大きな岩(p24)の横を抜けると、直ぐに辺りは自然林に変わる(p25)。左手に沢の音を聴きながら、清々しい新緑に囲まれ、苔むした岩が頭を出した山道(p26)を進む。厳しい陽射しを樹木が適度に遮ってくれる。

          
 
    p23  スギ植林帯を抜ける登山道         p24  巨岩

       
    p25 自然林に囲まれた登山道       p26 岩が転がる登山道


 「船木山1600m」の道標(p27)を過ぎると、沢沿いの新緑が一際鮮やかになる(p28)。素晴らしい新緑の下で一息入れて、汗を拭う。沢を渡って(p29)、今度は右手下に沢を見ながら(p30)高巻いて、もう一度、沢を渡り返す(p31)。沢の岩の上で休憩中の若者3人のパーティと遭遇する。下山途中のようだ。

  
 p27 「船木山1600m」の道標     p28 鮮やかな新緑          p29 沢を渡る

 

 p30  右手が沢の登山道     p31 沢を渡り返す(1200mポイント)


 北東方向からの小さな沢を横切り、山腹に付けられた山道を進んで、さらに2mほどの幅(長さ)の岩場(p32)を渡る。[結局、この岩場が今回のルートで唯一、少しばかり危険を感じたポイント(特に、下りで・・・)でした。] 辺りはブナの原生林の鮮やかな若葉色に変わる(p33)。秋には素晴らしい紅葉になるのだろう。「船木山1000m」の道標(p34)を過ぎて、大型の犬を連れた下山途中のシニアのご夫婦とすれ違う。ここからは、いつも通りに「誰もいない山」を楽しめそうだ。

  
 p32 岩場を越える登山道    p33 ブナ原生林を抜ける登山道     p34 船木山へ1000m


 辺りはヒノキの植林帯に変わり(p35)、左手の沢が消える(p36)と、木組みの階段道(p37)の急登が始まる。階段道(p38)はヒノキ林の中を、Z字を描いて進む。単調な登りに飽きてくる頃、前方に再びブナやコナラの自然林(p39)が現れる。

  
p35 ヒノキ植林帯を行く登山道     p36 沢の終端部         p37 階段道の急登

 
 p38 ヒノキ林を延びる登山道   p39 自然林に囲まれた登山道


 クマ出没注意を促す表示板(p40)のある「船木山600m」標識(p41)を通過し、登山道は1136mピークから船木山に向かう尾根筋を北上する。この尾根筋の道は、ヒノキ林が右側(p42)、左側(p43)、両側(p44)と変わるものの、真っ直ぐに北に向かう。

  
p40 「クマ」の警告表示板    p41 「船木山600m」の道標     p42 右側がヒノキ林の登山道

 
p43 左側がヒノキ林の登山道    p44 両側がヒノキ林の登山道



< トップ 船木山 >

 道沿いのヒノキは、冬期の積雪のためか、幹は太いが背丈が低く、稜線が近いことが分かる。ササ藪を抜ける階段道(p45)を登り切ると、船木山から駒の尾山に至る稜線(p46)に飛び出す。西方向から那岐山(p47)が圧倒的存在感で迫り、大きく開けた南東方向(p48)には、後山の右手に稜線からぴょこんと突き出た黒尾山、南側には一ノ丸から三ノ丸への稜線が鮮やかな日名倉山(p49)のパノラマが眺められる。初夏の陽射しが降り注ぐ稜線道を東方向に辿ると、直ぐに船木山の山頂(p50)である。南東から南方向に広がる大展望を楽しみながら、ここで一息入れる。

   
p45 稜線に向かう登山道      p46  稜線の道標      p47 稜線から西を望む(最後方が那岐山) 

   
          p48  稜線から「東→南」方向を望む

     
     p49  日名倉山          p50 船木山の山頂


■ 後山へ

 後山へは稜線道(p51)をいったん下る。木枝の間から北側も開けて、三室山の左手に東西に長い裾野を引いた氷ノ山が望める(p52)。パノラマコースと呼ばれるとおりの素晴らしい南側の展望を楽しみながら東方向に稜線(p53)を辿る。幅の広いササ道(p54)を登り切ると後山の山頂に到達する。

        

       p51 後山への稜線道          p52 氷ノ山と三室山

       

    p53 後山へ向かう登山道           p54  後山の山頂に向かう登山道 



< トップ 後山 >

 小さな祠が建つ百平米ほどの広さの山頂(p55)には誰もいない。三角点の南側には「板馬見山」と書かれた山頂表示板(p55a)もある。山頂からは、北西と南東方向の一部が樹木に隠れるが、北東や南方向に大展望が広がる。生憎、見通しは良くないが、北側には氷ノ山や三室山(p56)、北東方向から東方向(p57)には、藤無山、須留ヶ峰、段ヶ峰、植松山。微かに雪彦山や暁晴山(p58)。南東方向には黒尾山(p59)がくっきり。そして南側には山腹にベルピール自然公園を抱いた日名倉山のパノラマ(p60)と東粟倉村の集落(p61)が望める。15:00頃にはキャンプ場に降りられるので、帰路にベルピール自然公園に寄って、日名倉山に上がることにする。独り占めの山頂で大展望を楽しみながら昼食とする。

  
    p55 後山の山頂        p55a 「板馬見山」の表示板      p56 氷ノ山と三室山
  

               p57  山頂から「北→東」方向を望む
 
          
      p58 東方向を望む           p59 南東方向を望む

       
      p60  日名倉山           p61  南方向を望む



< ゴーイングダウン >

 陽射しがあった空は、いつの間にか雲に覆われている。下山は、駒の尾山へ向かう長閑な稜線(p62)を眺めながら登ってきた稜線道を西に戻る。駒の尾山までノンビリ歩きたいところだが、急遽、日名倉山に上がることに決めたので、真っ直ぐキャンプ場まで降りる。駐車場には私の車だけが残っていた。

   

   p62 船木山から駒の尾山への稜線



< エピローグ >

 好い山です。ヒノキの植林帯を抜ける階段道の急登には、いささか閉口しますが、船木山から後山へ延びる稜線からの大展望は、これを十分に相殺できると思います。沢の音を聴きながら登る岩道、ブナ原生林の新緑の鮮やかさもこの時季のこの山の魅力の一つでしょう。秋には素晴らしい紅葉を楽しむことができると思います。 道中、特に危険な箇所はありませんが、「浮き石注意」と「よそ見厳禁(特に下山時)」は、この山でも当てはまるようです。





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