裏六甲 赤子谷中尾根(兵庫県西宮市/宝塚市)       ルートMAP


 【 山行日時/ルート 】 

   日時:2024年2月28日(水)   天候:晴れ 時々 曇り

  ルート:JR生瀬駅 → (生瀬水路道) → 赤子谷方面分岐 → 西宝橋 → 古木橋
        10:06             10:28     10:42   10:43

      → ケルン(左|右)→ 赤子谷中尾根取付き→ 長いロープ場 #1→ 長いロープ場 #2
        10:49       10:55/11:01     11:23       11:42

     → 展望ポイント → Y分岐 → 譲葉山北峯 → 東六甲縦走路(合流)
       11:49/12:01  12:08    12:28      12:32

  総時間(ルート探索・休憩時間等を含む) : 2時間 26分



【 プロローグ 】
 昨年(2023年)の12月から再開した「裏六甲から六甲山系の主稜線に登る」山行シリーズの9回目は "赤子谷中尾根" を歩いてみることにする。

 赤子谷中尾根は、西宝橋の南側200m辺りから立ち上がり赤子谷を左俣と右俣に分割して南方向に延びる山陵であり、終端は譲葉山北峰(標高526m)から北に向かう陵線に結合している。標高差は300mほどだが、標高190m~450mの間はかなり急峻で緊張感のある山登りが愉しめるという。

 登山ルートは、昭文社の「山と高原地図 六甲・摩耶(2021年版)」では "登山コースでない小道" を意味するという薄い黒色の破線で示されており、吉備人(きびと)出版の「新版 六甲山系登山詳細図(東編)」(以下、登山詳細図という)では "道標なし・経験者向き" の注釈が付されている。

 赤子谷中尾根の北側の取付きは、西宝橋から南へ400mほど歩いた標高185m辺りにあるので、JR生瀬駅から "生瀬水路道" を歩いてアクセスする。

 「朝一番は冷え込むものの、日本列島は高気圧に覆われて日中は10℃を越える暖かさになる」との予報が出ている 2/28(水)に入山することにした。



【 JR生瀬駅 → (生瀬水路道) → 西宝橋 】
 JR生瀬駅(p1)の改札を出た東側の丸型椅子が置かれたエリアで出発準備をしてから、駅前道路を西方向に進む。駅前のミニコープの西側で左折(p2)して歩道がついた上り勾配の道路(p3)を南方向に歩く。

         
     
p1 JR生瀬駅         p2 コープ西側で左折       p3 歩道を南へ


 道なりに右に折れてからU字型に反転して
(p4)左手に住宅街を眺めながら今度は北方向に進む。さらに、右手に児童公園を眺めながら道なりに西方向に進み(p5)住宅街の西端に達してから道なりに南方向に進むと"生瀬水路道"に入る(p6)

         
   
p4 U字型に反転して北へ     p5 道なりに西方向へ     p6 生瀬水路道に入る


 横幅が数十cm~1m余のU字型の水路に綺麗な水が流れており、水路に沿って歩き易い小道が西方向に延びている
(p7)。これが "生瀬水路道" [生瀬水路道については"赤子谷右俣" の山行記録を参照ください] である。

   
      
p7 生瀬水路道


 生瀬駅から20分強歩くと水路道が一旦、谷(タマガ谷)に降りるポイント
(p8)があり、階段道を上り返すと直ぐ右手に昔の水道施設らしい廃屋がある(p9)。その手前に左(南)方向への分岐がある。これが赤子谷方面へのアクセス路の入口である。入口付近の右手の木幹にはトラテープ(p10)が巻かれ「←赤子谷」と書いた小さなプラスチック片(p11)が木幹に縛り付けられており、根元近くには地元の自治会が設置したらしい道標(p12)に「赤子谷への近道」と書かれている。ここで左折すると、南方向に踏跡(p10)が延びている。

 南方向に延びる踏跡は明瞭で、急勾配を登り切ると直ぐに歩き易い尾根道
(p13)になる。入口から10分弱で尾根道は左手(東側)のタマガ谷側に降りる(p14)。下りは急勾配だが、お助けロープが設置されている(p15)

      
   
p8 谷に降りる    p9 廃屋の手前で左折    p10 アクセス路の入口    p11 私設の道標1


  
p12 私設の道標2    p13 歩き易い尾根道    p14 左手に降りる     p15 急勾配を下る


 降りると東西方向に延びる幅広の道に出る。このポイントはT字型の分岐
(p16)を形成していて、左(東)方向に折れると生瀬高台住宅地の南西端まで延び、右(西)方向に進むと西宝橋に至る。ここは右に折れ、緩やかな下り道(p17)を100mほど歩いて西宝橋(p18)(p19)に出る。
 
 
p16 T字型分岐を右へ   p17 下り勾配を西へ    p18 西宝橋に到着    p19 西宝橋の銘板



【 西宝橋 → 赤子谷中尾根取付き 】
 西宝橋の西側で、北から延びて来ている踏跡に合流して南方向に進む(p20)と、古い材木を並べた橋(登山詳細図では "古木橋" と表示されている)(p21)に出る。脚を載せたら材木が折れそうな雰囲気で高所恐怖症のジジイにとっては少々厄介だ。古い木材の下側に敷かれた二本の橋桁は鉄骨のようなので右側の橋桁上を狙って渡りきる。

 右手に結構な水量の沢と古い堰堤を眺めてから落葉に覆われた上り勾配の山道を進む。登り切ると右手の沢(赤子谷右俣の沢)に向かう分岐
(p22)があるが、ここは直進する。(右に折れると、赤子谷西尾根の取付きに向かう)

         
     
p20 左折して南へ       p21 古木橋を渡る       p22 分岐で直進する


 残置テープを追いながら山道を南方向に進むと、東側から降りて来る小さな沢
(p23)に出る。沢を渡ると右手にケルン(p24)があり、南方向に踏跡(p25)が延びている。

         
      
p23 沢を渡る       p24 右手にケルンがある      p25 踏跡を南へ

 
 右手の木枝から垂れた赤テープを確認してから踏跡を南方向に往くと、左手に苔が生えた大きな石積み(ケルン)
[p26]が現れる。石積みの北向きの横腹には「左俣|右俣」と表示した赤錆びた金属板(p27)が立てられている。ここ(p28)で左手に進むと "赤子滝"など複数の滝 や "ゴルジュ" などで人気のある「赤子谷左俣」へ向かう。倒木を越えて上り勾配の右手に進むと「赤子谷右俣」や今日の目的地である「赤子谷中尾根」方面である。

         
    
p26 左手に石積みがある    p27 赤錆びた金属板       p28 右手に進む


 右手に進んで上り勾配を往くと2分ほどで尾根道
(p29)になり、石積み(ケルン)[p26]から3~4分でY字型の分岐(p30)に出る。ここが赤子谷中尾根の "取付き" である。ここで上り勾配の左手に進むと "赤子谷中尾根" に向かう。下り勾配の右手に進むと "赤子谷右俣" 方面である。JR生瀬駅から約50分。ここでどら焼き、キットカット、爽健美茶で小休止とする。

          
       
p29 尾根道を往く       p30 赤子谷中尾根の取付き



【 赤子谷中尾根取付き → 長いロープ場 #1 】
 左手の上り勾配の踏跡を往くと直ぐに岩が突き出た上り勾配の尾根道(p31)になる。灌木に囲まれた一画(p32)を抜け、シダ道(p33)を歩くと、今日初めてのロープ場(p34)がある。テープを巻き付けて補修された古いロープは、比較的新しい "トラロープ" に置き換わっている。

   
 
p31 岩が出た尾根道   p32 灌木を抜ける     p33 シダ道を往く    p34 最初のロープ場


 上り勾配が厳しくなる
(p35)と同時に尾根幅は狭くなる(p36)。前方に360m小ピークの山影が見えてくる。左手の谷側が急斜面になったロープ場(p37)を慎重に通過して再び狭い尾根道(p38)に出る。

 西側に時折 "赤子谷西尾根" の稜線
(p39)がはっきりと見えるが、北方向は未だ木枝の間から僅かに望めるだけだ。

               
     
p35 厳しい上り勾配      p36 狭い尾根道     p37 左手が急斜面のロープ場

         
       
p38 狭い尾根道       p39 西尾根の稜線が見える  


 箒(ほうき)状樹形の大木を乗り越える
(p40)[左手が急斜面なので "お助けロープ" が設置されている]と、木の根が地表に張り出したエリア(p41)(p42)に出る。登山詳細図で "根張樹" と表示されているポイントのようだ。厳しい上り勾配なので、靴底を預けられるこの木の根はありがたい。立木を掴めない一画は木の根(p43)を掴んで這い上がる。この格好は、まさに陸上自衛隊の第一匍匐(ほふく)前進だ。
 
p40 箒状樹形の大木を越える   p41 根張樹(1)      p42 根張樹(2)    p43 木の根を掴んで


 中尾根の取付きから22分、いよいよ "長いロープ場"
(p44)の登場だ。右手が切れ落ちている急斜面に二段構えで "お助けロープ" が設置されている。ここも古いロープは撤去されて比較的新しいトラロープに置き換わっている(p45)。有り難い。まずは左手に設置されたロープに助けられながら登って、次は砂地の急斜面を長い一本ロープ(p46)にすがって登り切る。この急勾配の斜面は手が届く範囲に体重を支えられる立ち木などが存在しないので、完全にロープに頼ってしまう。

 さらにロープが設置された狭い尾根を登り切ると、木立や木枝の向こうに北方向が開けて、三田の秀峰 大船山の山頂付近や羽束山、三田市最高峰の三国ヶ嶽が遠望できる
(p47)
  
p44 長いロープ場#1に到着    p45 新旧のロープ   p46 一本ロープの斜面   p47 三田方面の山々


【 長いロープ場 #1 → 長いロープ場 #2 → 展望ポイント 】
 ここからは滑りやすい真砂土(p48)が覆った狭い尾根道(p49)を往く。前方には460m小ピークの山影が見える。狭い尾根道(p50)は7分ほど続き、最後は両脇が切れ落ちた尾根道(p51)になる。尾根道の横幅は優に1mはあるが、左右の両方が切れ落ちているので高所恐怖症ジジイにとっては厄介だ。

     
p48 尾根道の表面(真砂土)   p49 尾根道(1)     p50 尾根道(2)    p51 両脇が切れた尾根道  


 ヤブ模様の一画を抜けると崩れ易い小岩や小石が堆積した "ザレ場"様の斜面に長いロープが設置されたポイント
(p52)に出る。ロープは年季の入った樹脂製でビニールテープなどで何度も補修の手が加えられているようだ(p53)。斜面の傾斜は比較的緩く、ロープに頼るのはザレ場に足をとられて体勢を崩したときなので完全な破損は免れたのかも知れない。

 ロープに頼らずに一頻り登ると、今度は古い樹脂製のものの他に比較的新しいストランド型のものも加えた複数のロープを纏(まと)めた「長いロープ」が設置されている
(p54)。ここもロープは掴んでも体重を掛けないようにして通過する。補修を繰り返したロープのこの(p55)状況を眺めると「永い間、本当にお世話様でした」と感謝の言葉が出てしまう。

        
 
p52 長いロープ場#2(1)   p53 補修されたロープ   p54 長いロープ場#2(2)   p55 ロープのメインテ状況


 さらにもう一つ新しいロープ
(p56)のお世話になって急斜面を登り切る。これで本日の体力勝負のお仕事は終了?と思いきや、ここから "お助けロープ無し" の急斜面(p57)がさらに一頻り続く。周囲の立木を掴んで前進するのだが、繰り返し大勢のハイカーがしっかり掴んだ立木は、折れていたり、抜ける寸前の状態だったりで全く気が抜けない。

 急斜面を登る途中、標高450m辺りに達したようで北側が大きく開けて
(p58)、兵庫100山に選ばれている大船山、大岩ヶ岳、羽束山、千丈寺山などが見える。カメラを構えるが足下が未だ斜面のため体勢が安定せずブレてしまう。もう一頻り標高460m辺りまで登ると平地になる。ここで春らしい日差しを受けて、母恵夢・一口羊羹・爽健美茶で北側の展望(p59)を愉しみながら小休止する。
   
  
p56 長いロープ場#2(3)   p57 ロープ無しの急斜面        p58 北側の展望(1)

 
      
p59 北側の展望(2)


【 展望ポイント → Y分岐 → 譲葉山北峰 → 東六甲縦走路(合流) 】
 展望ポイントからは、明るい木立の中を一旦緩やかに下る(p60)。やがて踏跡は左手に谷を眺めながら緩やかに左(東)へカーブする。今日のルートは譲葉山北峰まで尾根筋を辿るはずだったので、地形図を確認すると、どうやらY分岐ポイントで左ルートを進んでしまったようだ。

 分岐ポイント辺りまで戻って周辺を探るが残置テープは無い。緩やかな上り勾配で南方向に延びる踏跡らしい雰囲気の筋を見つけてこれを往くと残置テープ
(p61)が現れて、ほっとする。

 再び緩やかに下ると十字路らしい雰囲気のポイントに出る。倒壊した古い私製の道標
(p62)が地べたに置かれており、辛うじて "譲葉山"、"赤子谷"、"生瀬" の三語が読める。Y字型分岐で左手に分かれた踏跡が再び合流するポイントが此処らしい。

 ここから尾根筋の上り勾配の踏跡を5分ほど往くと、譲葉山北峰の北側のピーク(登山詳細図には "ピーク" と記されている)と思われる30~40平米ほどの平地エリアに出る。木幹に "譲葉山北峰 標高526m" と表示した私製の山頂表示
(p63)が掛けられている。展望は無し。南側には磐座跡らしい石積みがある。


 
p60 木立の中を下る    p61 残置テープを追う   p62 私製の古い道標    p63 私製の山頂表示


 さらに踏跡を南方向に辿ると、4分ほどで右手木幹に「← 10m 譲葉山 祠」と表示した小さなプラスチック片
(p64)が釘で留められている。右手(西方向)に分岐すると直ぐに磐座(p65)があり、"譲葉山北峰" の私製の山頂表示(p66)が木幹に留められている。登山詳細図に "北峰" と記されているピークが此処のようだ。此処も木立に囲まれて展望は無し。

         
     
p64 私製の道標       p65 譲葉山北峰の磐座    p66 私製の山頂表示


 プラスチック片
(p64)の私製道標が留められたポイントに戻って南方向に延びる立派な山道(p67)を150mほど往くと、スーパーハイウェイ 東六甲縦走路(p68)に合流する。今日の起点のJR生瀬駅からルート探索・休憩時間を含めて 2時間26分である。山中で遭遇したハイカーは無し。

 東六甲縦走路側から北峰に向かう山道の入口
(p69)付近には公設又は私製の道標は存在しないが、縦走路から山道を5mほど入った左手の木幹に赤色のペンキで "北峰" と書かれている(p70)


p67 譲葉山北峰から南へ  p68 東六甲縦走路に合流   p69 北峰への入口   p70 木幹の赤ペンキ表示



【 エピローグ 】
 赤子谷中尾根ルートは気の抜けない急勾配の登りが続きますが、ここぞというポイントに "お助けロープ" が設置されていて心強いと思います。数年前にアップされたネット情報には、設置されているロープが「かなり劣化している」、あるいは「補修が繰り返されている」など不安を感じてしまう記載がありますが、2024年2月28日現在、ロープに頼らざるを得ないような急勾配の斜面については、ロープは比較的新しい十分な強度を持ったものに置き換えられています。このルートの整備を続けて下さっている皆さんに心から感謝します。

 "お助けロープが設置されていない急勾配の登り" で、足の踏ん張りだけでは十分に体重を支えきれないときには周囲の立木や木枝、木の根などを掴んで前進することになりますが、この中尾根ルートでは登山道脇の掴み易い木枝などは大勢のハイカーの皆さんに頼りにされてきた故か、かなり "くたびれて" います。体重を掛ける前の簡単な強度チェックが不可欠です。

 このルートの愉しみの一つは標高460m辺りでの北側の大展望だと思いますが、景観を台無しにしている "よみうりCCの南半分に敷き詰められた太陽光パネル
(p71)" は何とかならないものでしょうか。

         
         
p71 標高460m辺りからの北側展望の一部


                       Top Page

inserted by FC2 system