三川山[887.8m]  所在地:兵庫県美方郡香美町     地図:1/25000 香住、神鍋山     ルートMAP          



<イントロ>

 
  10/13「来日岳」から降りて、江原駅前のホテルに投宿し、翌(10/14)朝、予定どおり三川山(p1)に向かう。三川山は、但馬妙見山から続く但馬中央山脈の北端に位置する山で「シャクナゲ」の花の山としても有名である。香住側から佐津川沿いに上った山麓には日本三大権現の一つである三川権現がある。ガイドブック(注)にある「シャクナゲコース」で登り、下りは「奥の院コース」を辿ることにする。

(注) 兵庫県の山(山と渓谷社 2009年5月)
  

  
    p1  来日岳からの三川山



日時 : 2012年10月14日(日)
    天候 : 晴れ

コース :三川権現  シャクナゲ  あと1100M    山頂  → シャクナゲ → 分岐 → 駐車場 

     駐車場   コース分岐  道標            群生地

      8:40    9:00     10:20   11:10/11:40  12:50   13:45  14:00



<アクセス>


 江原から国道312号、国道178号を経て香住区下岡から県道256号で佐津川沿いを走る(p2)。道幅が狭くなり、三川地区に入ると、前方にアンテナ塔がある三川山の山頂付近(p3)が見えてくる。三川権現の本堂の北側に設けられた清潔な水洗トイレの横の駐車スペース(p4)に車を停める。先着していた遠路、淡路島からいらしたというシニアのご夫婦の出発を見送り、身支度をする。毎年5月に行われる三川権現の大護摩供養に訪れる大勢の参拝客に備えるためか、本堂の周辺の舗装道路沿いには駐車スペースがふんだんに設けられている。

   
      
   p2 県道256号線を南下する     p3 県道からの三川山(後方)    p4 三川権現の駐車スペース 


<ゴーイングアップ>

 三川権現の本堂(p5)に参拝してから本堂前の舗装道路(p6)を南方向に進む。スギの植林帯を抜けると、左手に流れる佐津川の堰堤が見えてくる。堰堤のコンクリート壁面に沿って設けられた石段(p7)を登って堰堤を越える。左手に川筋を見下ろしながら、右手の斜面の山肌につけられた踏み跡を暫く進む。やがて踏み跡が不明瞭になったため、いったん河原に降りて地形図を確認する。


        
      p5 三川権現の本堂        p6 権現前の舗装道路        p7 堰堤脇の石段


  地形図のルートは佐津川の二つに分かれた支流の一つ(西側)を渡っていることに気がつき、倒木が橋代わりに使えそうなポイント(p8)で支流を渡ると、明瞭な踏み跡が現れる。さらに進むと「三川山 A」と表示された木板の道標(p9)が立つ分岐に出る。分岐近くの立木の根元付近には赤字で「シャクナゲコース→」と書いた道標(p10)が置かれている。

      

     p8  支流を渡渉する     p9 A(シャクナゲ)コースの道標   p10 シャクナゲコースの道標


 道標に従っていきなりの急勾配を登る。5分ほどでシダが覆った登山道にシャクナゲが現れる(p11)。やがて登山道周りは一面シャクナゲだらけになり、シャクナゲのトンネル(p12)の中を腰をかがめて前進する事態となる。前方を塞ぐシャクナゲの枝木を左右にかき分けると同時に、その枝木につかまって体を支えながら急勾配を登る。体中から一気に汗が噴き出す。分岐から20分弱で「山頂まであと2000M」(p13)の看板に至る。


      
    p11 シダとシャクナゲ      p12 シャクナゲのトンネル      p13  あと2000Mの道標


 さらに木枝をかき分けて進み、分岐から約25分ほどでシャクナゲの群生地を抜けると、登山道は右手の山肌(東向きの斜面)にへばりつくように設けられた細い山道(p14)になる。崖と呼んだ方が良さそうな斜度がきつい山肌につけられた「道」は、雨水で土が流されて荒れており、やがて山肌と「道」の区別がつかなくなる(p15)。国土地理院の地形図では、シャクナゲコースは456mピークを経て、山頂までほぼ稜線を辿るはずだが・・。しかし、この「道」と呼ぶにはおぞましい「踏み跡」には、明らかに人のものと思われる真新しい足跡がつけられていて、行く手を阻むはずのクモの巣も破れている。明らかに先行者がいる。周りの木枝には残置テープもある。幸い、崖下にあたる登山道の左手には木枝が多く、落ちても枝にひっかかるだろうと、そのまま進むことにする。斜面に残った木枝を掴んで体を支えながら「踏み跡」を辿って30分ほど進むと、辺りにブナ(p16)が目立ってくる。


       
   p14 斜面につけられた登山道     p15  荒れた登山道       p16 ブナ(後方)が現れる
  

 大雪のためか根元近くが曲がった無数のブナが繁る右手の斜面(p17)を登り、「・・あと1100M」の標識(p18)を経るといよいよ稜線(p19)だ。ブナは葉が僅かに色づいた巨木になり(p20)、ときどき紅葉したカエデ(p21)も現れて目を楽しませてくれる。

      
  p17 ブナが群生する斜面を登る    18  あと1100M の標識          19  稜線道

    
  p20 ブナの巨木が林立する群生地    p21  紅葉したカエデ


 ハイキング団体が設置した「シャクナゲコース 出入り口」の看板(p22)があり、山頂に向かう草が覆い繁った林道(p23)に飛び出す。先行していたご夫婦と遭遇する。「兵庫50山」巡りをされているそうで、この三川山が47座目だという。長水山と須留ヶ峰の二つの「ヒル山」を残しているというお話で、しばし「ヤマビル談議」で気張らしをする。

    

  p22 シャクナゲコースの出口の標識   p23 山頂に向かう林道


<トップ>

 アンテナ施設(p24)の横を抜けて、なだらかな林道をさらに進むと、山頂のアンテナが見えてくる(p25)。山頂の三等三角点(p26)は東側に位置するアンテナ建屋の裏のスギ林のなかに埋められている。樹木に囲まれて山頂からの眺望は無し。僅かにアンテナ建屋の北側の木立の間から香住市街と日本海が望める(p27)。日本海を眺めながら昼食を摂っていると、若いカップルのハイカーが到着する。


      
   p24  アンテナ施設        p25 山頂のアンンテナ         p26  三等三角点

      
    p27 香住方面と日本海


<ゴーイングダウン>


 山頂の西側のアンテナ建屋(p28)のさらに西側に、白い木板に「三川権現 B」と書いた道標(p29)がある。ここが「奥の院コース」の入り口である。なだらかで、だだっ広い稜線のスギの植林帯(p30)を進む。スギの枯れ枝が堆積して踏み跡が分かりずらい上、稜線の幅が広く、道を失い易い。木幹に巻かれた残置テープ(p31)などに注意しながら北西方向から北方向に延びる稜線を外さないように進む。

      
  p28 奥の院コースへのアクセス路  p29 B(奥の院)コースの道標    p30 スギ林を抜ける登山道  

  
   p31 スギの幹に巻かれたテープ


 辺りが自然林に変わり、北方向が開けたポイント(p32)で小休止。幾重にも折り重なるように連なる山々をノンビリ眺めていると「無我を悟るは、このときぞ・・」と、山の歌の一節が浮かんでくる。シャクナゲが現れて急勾配になり(p33)、いよいよ奥の院コースのシャクナゲ群生地に突入する。低く横に枝木が伸びたシャクナゲのトンネル(p34)の中を、その木枝に掴まって体を支えながら、とんでもない急傾斜を下って行く。枝木を掴んだ手を離すと滑り落ちて、群生するシャクナゲに突っ込んでしまう。今日、奥の院コースを下るのは私が初めてのようで、クモの巣にも行く手を阻まれる。1時間ほど悪戦苦闘してようやく佐津川の上流の沢(p35)に出る。


 いやはや、大変な登山道でした。休日の山行でしたが、山中で遭遇したハイカーは二組だけでした。


      
     p32 北側の展望        p33 シャクナゲが繁る急坂道    p34  シャクナゲトンネル 

  
     p35  沢を渡る


<エピローグ>

 今まで歩いた「兵庫50山」の43座で、登山道の凄まじさ(歩きにくさ)は、この三川山が断トツです。大汗をかき、尻餅をつき、下手をすると腕に擦過傷まで負いながら歩く羽目になりますが、奥の院コースの痩せた稜線上の北方向に開けたポイントで、淡く色づいた北但馬の山々をノンビリと眺めるとき、この山の良さが理解できるように思います。苦労して歩いた代償を求めなければ気が済まないという人であれば、シャクナゲが咲く頃か、ブナの紅葉が楽しめる時季の登山をお薦めします。




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